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2012/09/05

9月8日(土)開催のシンポジウム「えん罪~あなたは自分を守れますか」 企画担当者事前インタビュー

広報委員会

平成21年5月から裁判員制度が始まり、わが国の刑事裁判は大きく様変わりしています。しかしながら,再鑑定により新犯人とのDNA型の不一致が明らかとなったため,再審無罪が確定した足利事件や,これから再審が開始される東電OL殺人事件,あるいは,特捜検事による証拠の偽造が明らかになった厚労省元局長事件など,最近でも「えん罪(冤罪)」であることが明らかになった事件は後を絶ちません。

なぜえん罪が発生してしまうのか? どうしたらえん罪をなくすことができるのか?

実際にえん罪被害をこうむった方々,そして,えん罪を生み出す自白強要の実態を告発した元検事の方をお招きして,こうしたえん罪の問題について考えるシンポジウム「えん罪~あなたは自分を守れますか」が,2012年9月8日(土)に開催されます。

今回は,このシンポジウムを札幌弁護士会と共同で開催する「司法を考える市民の会」会員の矢野あいさんと,「市民の会」を支えている弁護士の大賀浩一さんのお二人に,今回のシンポジウムの魅力や「市民の会」の活動について伺いました。

矢野さん(右)と大賀さん(左)

――今回のシンポジウムは「司法を考える市民の会」の創立10周年記念行事として開催されるそうですが,「市民の会」とはどのような団体なのですか。
【大賀】もともと札幌弁護士会の活動について市民から意見を頂く「市民モニター」という制度があったのですが,そのモニターを経験された方々をはじめとする市民の方々が任意で集まって「裁判や司法制度全体についてもっと勉強しよう」という目的で,2001年に「司法を考える市民の会」を立ち上げました。

その後,1~2か月に1回程度集まっては,様々な分野で活躍する弁護士などのゲスト講師を招いて勉強会をしたり,法廷傍聴や刑務所見学に行ったり,公開の模擬裁判をしたりするなど,この10年間地道に活動を続けてきました。

――矢野さんは以前から「司法を考える市民の会」に参加していらっしゃるのですか。
【矢野】いえ,実は最近入ったばかりの新人なんです。「市民の会」の発足当時から参加している方に勧められて,今年6月の例会に顔を出したのがきっかけです。

――矢野さんはもともと裁判に興味があって会に参加されたのですか。
【矢野】いえ,会社員をしていますが,これまで裁判に興味があったわけでもなく,裁判所には一度も行ったことがありませんでした。「裁判」って自分とはすごく遠い世界のことというイメージを持っていました。

――実際に「市民の会」に参加されてみてどのような印象を持ちましたか?
【矢野】「司法を考える」会という名前なのでカッチカチに真面目な人たちの集まりなのかなと想像して行ったのですが,皆さんとても暖かく迎えてくれて,これまでの「市民の会」の活動についていろいろ教えていただきました。布川事件のことも,今回のシンポジウムの打合せで初めて知ったのですが,こんなに怖いえん罪事件が現実に起こっているのかと衝撃を受けました。

――今回のシンポジウムでは,布川事件のえん罪被害者の方々など,4人のゲストをお招きするそうですが,こういう大規模なシンポジウムをこれまでにも開催したことがあったのでしょうか。
【大賀】「市民の会」の創立5周年記念行事として,ジャーナリストの江川紹子さんをお招きして講演会を開催したことがあります。それで10周年の記念行事もやりたいねと話していたところ,ちょうど2011年5月に布川事件の再審無罪判決が出され,「市民の会」でも布川事件の勉強会を行ったことを機に,実際にえん罪被害者のお2人(桜井昌司さんと杉山卓男さん)をお招きしようということになったのです。

――ゲストの飯島滋明さんと市川寛さんはどのような方なのですか?
【大賀】飯島さんは名古屋の大学で教えている憲法学者なのですが,ご自身が広島で痴漢事件の「容疑者」として逮捕されるという目に遭い,その体験をふまえて「痴漢えん罪に巻き込まれた憲法学者」という著書をこのたび出版されました。飯島さんの場合,最終的に不起訴処分となり刑事裁判の被告人にならずに済んだのですが,それでも逮捕されて実名が報道されたことで大変な被害を受けました。その体験などをお話しいただく予定です。

市川さんは,現在は弁護士ですが,かつて検事として,えん罪ではないかと疑いながらも「自白」を強要する取調べをしたご自身の体験をテレビ番組で告白し,今春出版された「検事失格」という本でも赤裸々に語っています。えん罪の原因を知り,その防止策を考える上では,えん罪被害者だけでなく,えん罪を作ってしまった人の話も聞く必要があるということで,市川さんをお招きしてお話を伺うことになったのです。

――矢野さんは今回のシンポジウムにはどのようなかたちで関わることになるのでしょうか。
【矢野】布川事件の桜井さんと杉山さんへのインタビューを担当します。とても大変な経験をされた方々にお会いしてお話を伺えるので,今から楽しみですが,その反面,こんな大役を任されて緊張でドキドキしています。

――とても興味深いシンポジウムになりそうですが,最後に記事をご覧のみなさんにメッセージをお願いします。
【大賀】まずは,たくさんの方に今回のシンポジウムへ参加していただき,これを機会にえん罪について知り,考えていただければと思います。さらに深く学びたいという方には,「司法を考える市民の会」の例会にも顔を出していただければ嬉しいです。参加に当たって予備知識や準備は何も必要ありませんので,どうかお気軽にご参加ください。

大賀さんは,9月4日16時から放送のラジオ番組「サツベン放送局」にも出演してシンポジウムのPRをしました。
こちらの番組もぜひお聴きください。

「えん罪 あなたは自分を守れますか」
・・・司法を考える市民の会創立10周年記念シンポジウムのご案内

日時 2012(平成24)年9月8日(土) 

開場13:00 開会13:30 閉会17:00ころ

場所 北海道大学クラーク会館(札幌市北区北8条西8丁目北大構内、JR札幌駅北口から徒歩8分)
概要 第1部 「えん罪」を語る 

  • えん罪「布川事件」被害者 桜井昌司・杉山卓男両氏との対談
  • 痴漢えん罪被害者 飯島滋明氏のミニ講演
  • 「検事失格」(毎日新聞社刊)の著者 市川寛氏(元検事)に聞く

第2部 パネルディスカッション

  • 桜井昌司・杉山卓男両氏
  • 飯島滋明氏
  • 市川 寛氏
  • コーディネーターは吉田康紀(札幌弁護士会会員)
対象 市民の皆様 

司法修習生、法科大学院生、法学部生など、これから法律家を目指す方々

弁護士、法律事務所職員、家族の方々

など、どなたでもお気軽にご参加ください。

定員 クラーク会館講堂1階 378名
参加方法 事前申込は不要です。
入場料 無料
主催 司法を考える市民の会・札幌弁護士会
後援 札幌市教育委員会・北海道弁護士会連合会
問い合せ先 札幌弁護士会 

(札幌市中央区北1条西10丁目札幌弁護士会館7階 電話011-281-2428)

司法を考える市民の会(E-mail: sapporo_shihou@yahoo.co.jp

こちらのイベント情報は札幌弁護士会のウェブサイトに掲載されております。