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2017/12/25

日本国憲法施行70周年記念中高生憲法作文コンクールを終えて

広報委員会

札幌弁護士会は,2017年が日本国憲法施行70周年にあたることを記念して憲法作文コンクールを実施しました。日本国憲法公布70周年記念中高生憲法作文コンクールに続き,2回目の中高生憲法作文コンクールでした。

今回は,北海道内の中学生,高校生を対象として,①「私にとっての表現の自由」,②「民主主義と選挙」のどちらかをテーマとした作文を募集したところ,全道から101通のご応募をいただきました。

中高生の皆さんが,日頃の経験をもとに憲法について考えた作品,あるいは昨今のニュースから感じたことについて自身の意見を述べた作品など,多くの力作が寄せられたため,審査員としても非常に選考に苦労しました。ご応募いただきました皆様に改めて御礼申し上げます。

審査の結果,入賞された皆さんは次のとおりです。

【高校の部】
   最優秀賞  山村美里さん    北海道池田高等学校
   優秀賞   西村悠斗さん    北海道池田高等学校
   特別賞   大町ピータ龍馬さん 北海道大樹高等学校
   特別賞   八重樫岬さん    北海道雄武高等学校
   特別賞   長坂恭子さん    北海道足寄高等学校
   特別賞   中里好花さん    北海道上ノ国高等学校

【中学の部】
   最優秀賞  富野香織さん    札幌市立手稲西中学校
   優秀賞   貝森美咲さん    北広島市立西部中学校
   優秀賞   谷口遥菜さん    札幌市立手稲西中学校
   特別賞   安田こといさん   立命館慶祥中学校

各部の最優秀賞作品をご紹介いたします。

◎高校の部・最優秀賞
「有権者としての自覚を」
北海道池田高校 氏名 山村美里

「民主主義」とは,一体何なのだろうか。この言葉は,私たちが思っている以上に日常の中にあふれている。テレビや新聞,インターネット等の各メディアから,更には!学校教育における様々な場面でも見受けられ,それは社会の授業に限らず,生徒会活動や各学級での話し合いで,学校生活をより良くするために何をすべきかを生徒一人ひとりが考え,生じた問題や解決すべき課題に,自分たちで取り組もうとする姿勢にも深く関連しているのではないだろうか。加えて,民主主義と共に耳にする言葉として,「選挙」がある。選挙権年齢が満20歳以上から,満18歳以上に引き下げられ,話題となったことは皆さんも知っているだろう。このことによって,まだ10代の未成年者にも,より政治が身近なものとなった。それにもかかわらず,若年世代の投票率の低さが問題視されているのは何故だろうか。これら2つの言葉について考えてみようと思う。
まず,「民主主義」の意味を調べると,「国民(人民)自身が政治を行うこと。」と書かれていた。これは,私が使っている参考書から引用したものだが,他にもこんなことが書かれていた。「本来の民主主義は,意見の相反する人々の間で徹底的に話し合う精神から生まれたものといえる。ところが,我が国では最初から多数決がスローガンになっている。」と。つまり,民主主義とは,徹底的に話し合うことで他者を理解しようとする行為であり,多数決は必要悪とされるのだ。民主主義を採用する近代的な議会において,全員の意見が一致することにより,問題を解決するのは非常に難しい。これは,選挙についても言えることで,だからこそ多数決の原理を用いて選挙が行われている訳だが,当然そこにはいくつかの危険も孕んでいる。例えば,多数決を利用して合法的に独裁政治をしようと考える立候補者が現れてしまうこと,「自分が投票したところでどうせ何も変わらないだろう,だからわざわざ投票しに行く必要はないだろう。」と考えてしまう人が増えることが挙げられる。前者は,仮にそんな人間が権力を握ったらどうなるか,想像してみると分かりやすい。後者は,近年,ニュースでもよく取り上げられていることだ。街頭インタビューで選挙に行かない理由を尋ねられたとき,多くの人がこのように答えているのを見て驚いた。特に,20~30代の若者の中心的に意見のようで,道理で投票率が低くなる訳だと思ったのを覚えている。確かに,多数決の性質として「少数意見が尊重されにくい」という面もあり,そう考えてしまいがちだ。しかし,自分のこれからの生活に大きく関わってくるであろうことを無視し続けて,本当に良いのだろうか。いや,そんな筈がない。
私は,来年で18歳を迎え,いよいよ選挙権を得る。高校生であっても有権者の1人としての自覚と責任を持ち,他人に流されることなく,自分の意志で日本の将来をより明るくできる人を選びたい。

以上

◎中学の部・最優秀賞
「政治に参加するために」
札幌市立手稲西中学校 富野香織

日本国憲法の三つの原則のうちに「国民主権」があります。これは,国民によって政治が行われるということです。私たちにとって政治に参加する手段は何でしょうか。
代表的な例だと選挙があります。私は政治に興味を持ってみることも,ひとつの方法などではないのかと思います。今は,テレビや新聞に限らず,インターネットでも政治の仕組みなど,たくさんの情報が公開されています。だから,今の社会について知り,自分の考えを持つことが大切だと思います。その意見を主張する場はなかなか少ないですが,選挙の時に生かせるようにできたら良いと思います。他にもデモ行進と呼ばれるものがあります。しっかりと許可を得て,申請などをして行うのなら,私は悪いことだとは思いません。
選挙とは,出馬した人達を国民が審査するものです。だから,当然出馬している人たちは良い印象を持ってもらいたいと思うものです。そのため,選挙期間の各地域でのスピーチには国民にとって“良い”と思われる政策について熱く語ります。しかし,いざ当選すると,演説の時にあまり説明しなかったことを行なうというのは少なくありません。では,正直なことを言わない立候補者が全て悪いのでしょうか。私はそうは思いません。確かに,理想は全てのことを嘘偽りなく話すことです。しかし,当選するためにはそうもいきません。つまり,国民が演説で話していたことをくみ取り,誰を投票するかを見極める力が必要だと思います。
さて,投票する人を見極める力はどのようにしてつけるのでしょうか。やはり,選挙シーズンだけではつけられないと思うので,日頃から少しでも良いので気にかけることが大事だと,私は考えます。政治についてよく知らない人は,円高や保守主義などの政治用語について聞いたことがあっても,意味は分からないことが多いです。そんなときは,その都度インターネットで調べることも良いことです。しかし,私がさらに有効的だと思うことはニュースを見ることです。言葉の意味や出来事について,細かく,わかりやすく説明しているからです。方法はいろいろありますが,政治の知識を培って,より多くの人が政治に関心を持てたら良いと思っています。
私はまだ十五歳なので選挙権を持っていません。だからこそ,この期間で,さらに学習し,自分の意見を確立させていきたいです。また,様々な角度から考え,偏った考えになることを避けていき,全ての事柄において平等な視点でとらえていきたいです。

以上

札幌弁護士会では,今後も憲法作文コンクールを実施し,中高生の皆さんに憲法を考えてもらう機会にしたいと考えています。皆さんのご応募をお待ちしております。