皆さんは,テレビや新聞の報道などで「再審請求」という言葉を見たり聞いたりしたことがあるでしょうか。
再審請求手続とは,簡単にいいますと,結論が確定した裁判についてその審理(事実関係や法律関係の調査)のやり直しを裁判所に求める手続です(なお,通常ニュースで取り上げられるのは,刑事事件についての再審請求ですが,民事事件にも再審請求手続はあります)。
私も,ある刑事事件の再審請求弁護団に参加しています。 その刑事事件がどのような事件なのか,その概略は以下のようなものです。
平成9年,外国船籍の船の乗組員であった外国人男性が,けん銃不法所持の容疑で警察に現行犯逮捕されました。 その後の刑事裁判手続で,男性とその刑事弁護人は,男性が所持していたけん銃は,警察がその捜査協力者を利用した違法なおとり捜査によって男性の母国から持参させたものであり,そのような捜査手法によってけん銃を押収したり,男性を取り調べたりしたことは違法であるから,男性は無罪であると主張しました。
しかし,裁判所は,捜査関係者の証言を信用し,男性側の主張を認めず,懲役2年の実刑判決を言い渡しました。 しかし,その後,捜査関係者が先の刑事裁判で偽証したことなどが明らかになりました。 そこで,再審請求弁護団は,数年間の準備期間を経て,今年の9月に裁判所に再審請求の申立をしました。事件は,申立を行ったばかりの段階ですので,いろいろな手続が進められていくのはこれからとなります。
再審請求事件は,多くの弁護士にとっては,弁護士人生の中で1件関わるかどうかという程度のものであり,関与する機会があまりないタイプの事件なのではないかと思います。
私にとっても,再審請求事件に関与する機会は,これが最初で最後なのではないかと思いますが,弁護団の他のメンバーと一致団結して全力を尽くそうと思います。