私は道外出身で、札幌に初めて住んだのは弁護士になる前の研修のときです。弁護士として仕事を始めてから、本格的に北海道へ移住しました。
北海道での生活に魅入られたのは、春夏の季節の素晴らしさもさながら、元々冬場のスポーツが好きだったからというのがあります。年1回雪が降るか 降らないか程度の地域で生まれ育ちましたが、冬にはスキーやスノーボードをしていたため雪=楽しいものという意識が強く、気軽に山へ行ける札幌の地に住み 着きました(札幌に住み始めてからは、雪に対して早く消えてくれという意識も生まれましたが(笑))。
ここ数年は、雪山に登るという楽しみが増えました。ニセコ等のゲレンデが管理している山だけでなく(ニセコには「ゲート」と呼ばれるゲレンデ外へ 行けるものがあります。)、リフトもなく林の中をひたすら辿らなければならない山に登り、木々の間や広い斜面を滑り下りてくるという、バックカントリーや 山スキーと呼ばれるものです。登りが2,3時間かかるのに対し、滑り降りるのは10分程度というのもザラにあり(ひどい場合、ちゃんと滑ったのは2分程度 ということも)、そこまで大変な思いをして何が楽しいの?と聞かれることもありますが、誰も滑った跡がなく、底突き感のないパウダースノーが積もった斜面 は筆舌に尽くせません。
パウダーならゲレンデでも味わうことができるじゃないという意見もあるかと思いますが、目の前に聳える山を自分の足で登り、人工的な物が周りにな い自然の中に身を置くこともバックカントリーの楽しみだと思います。自分も最初は、何で辛い思いをして登らなければならないんだ、リフトで登ればいいじゃ ないかと思っていたのですが、ゆっくり登りながら自然を楽しむということもバックカントリーの魅力だということに気付きました。弁護士に限った話ではない と思いますが、日々の業務に追われるが余り、余裕がなくイライラしている自分にふと気付くときがあります。そういったときに2時間かけて山を登り、5分で 滑り下りてくるという端から見たら酔狂な行為は重要な意味を持ってきます。身体が疲れるのは当然ですが、頭の中も自然に触れることでリセットされるように 思います。
なお、当然ながら雪山には危険がつきまといます。毎年必ず何名もの方が雪山で亡くなっています。今シーズンも、早々にニセコで雪崩が起きたという ニュースを目にしました(幸いにも亡くなった方はいないようですが。)。もしこの記事を読んでバックカントリーに興味を持った方がいたとしたら、山を登る 前に、まずは雪山の危険と対処の仕方(巻き込まれた場合も含みます。)についての知識を身に付けて欲しいと思います。雪が深く積もった林の中を歩くだけで も楽しいですよ!