昔,とある弁護士ドラマを見ていた時,弁護士役の俳優が「遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)」のことを得意気な顔で「いりゅうぶんげんさつせいきゅう」と言っていて,思わず「あれ?」と反応してしまったことがありました。
「遺言」を法律家は「いごん」と読み,世間一般では「ゆいごん」と読んだり,「競売」を法律家は「けいばい」と読み,世間一般では「きょうばい」と読むように,法律用語と日常語とで違う読み方をするものもあります。字で見ると同じですが,声に出して説明されたら戸惑うかもしれませんね。読み方の違いだけではなく,我々法律家は当たり前のように使っている言葉でも,一般の方には全く馴染みのない用語もたくさんあると思います。
ですから,弁護士に相談している中で,聞いたことのない用語が飛び出すことがあるかもしれません。そんな時,聞き返したりしたら気分を害するんじゃないかと弁護士に遠慮して,そのまま流してしまうという人もいるようです。
でも,弁護士は,別にわざと難しい用語を使ってわかりづらい説明をしようとしているわけではなくて,弁護士にとっては慣れ親しんだ用語なもので専門用語だということをつい忘れたまま使っていることもあるんです。
先日も,依頼者から「キジツって何ですか?」と聞かれてはっとしました(「期日」というのは,裁判手続をする日時のことです)。
法律用語の意味に限らず,わからないことがあったら,どうぞ遠慮なく弁護士に質問して下さい。
かくいう私は,「三元豚」が「さんげんとん」なのか「さんげんぶた」なのかわからなくて,飲食店で注文する際,メニューを指さしながら「これを下さい。」とごまかしたりしています。