私が法律相談を受ける事件の中で、交通事故に関するものの比率は大変多いです。北海道という場所柄から、とりわけ、雪が多い季節は、小さな物損事故も含め、相談件数が増えるという印象を持っています。
「車対車」の交通事故の場合、両当事者が任意保険に加入しているならば、保険会社同士でいわゆる示談による解決がなされることも、多いのですが、一方当事者が、任意保険に加入していない場合、そして、場合によっては、自賠責保険にも加入していない場合には、示談交渉や賠償金請求の局面で、難儀される方も多いです。また、最近増えている「自転車対人」の事故や「車対車」の事故でも加害者の方に100%の過失がある場合等には、保険会社に交渉を任せることができない場合があります。
このような場合に、あなたが「弁護士費用特約」に加入していると、一定の制限はありますが、保険会社が弁護士費用を払ってくれ、あなたが委任した弁護士が事件を解決してくれます。なお、保険会社に弁護士を紹介してもらうことも可能ですし、御自身で選んだ弁護士でもかまわないのです。
例えば小さな物損事故でも、過失割合が争われる場合等には、示談がまとまらないことも多く、裁判を起こし、裁判所に過失割合を認定してもらうことが多々あります。
しかし、御自身で弁護士に委任して、弁護士費用を支払うということになると、小さな物損事故では、弁護士費用の方が、獲得できる賠償金よりも多額になることが予測できるため、なかなか裁判に踏み切るという判断ができないものです。
弁護士費用特約に加入していれば、裁判を起こす費用のことも心配しなくて良いですし、御自身で相手方当事者加入の保険会社や相手方当事者自身と交渉をするという憂鬱な作業からも解放されます。
病気になった場合には、健康保険という制度で、大半を国の負担でお医者さんを利用できるのですが、交通事故等の紛争に巻き込まれた場合に、それを解決するための弁護士費用は基本的に御自身で負担する必要があります。
生命保険等も、病気や事故に対する備えとして有効な手段ですが、今後は、(車を運転する方は特に、)紛争に対する備えとして弁護士費用特約に加入しておきましょう。そして、まずは、御自身の任意保険の証書を確認され、弁護士費用特約がついているか、ついている場合は、どのような時につかえるか、を確認しておきましょう。
弁護士費用特約は、最近、種類が増えており、自動車事故専用のものと、自動車事故のみならず、日常生活における事故全般を対象とするものがあります。
備えあれば、憂いなし、とまで言えるかどうかは別ですが、事件が起こった時に、費用のことを気にせずに、弁護士に相談・依頼ができるということは大きな安心を生むと考えています。