近頃,環境にまつわる事件や,イベント・集会などに関わることが増えました。
そのイベントの中の,環境○×クイズという催しにおける,一つの問題で,興味深い回答結果となりました。
「良好な環境を享受する権利を内容とする環境権は,憲法又は法律に定められている」という問いに対して,一般の参加者約100名のうち,×と回答されたのは5名で,残りの方が○と回答されました(尚,後から尋ねると,×と回答された方のほとんども○だと思いながら勝負をかけて×と回答したとのことでした…。)。
正解は,ご想像どおり,×です。環境権という権利に言及した憲法又は法律の条文はなく,また,直接的に個人の権利としての環境権を認めた裁判例もありません。
というのも,どのような環境であれば環境権による保護の対象になるのか,どのような範囲の人が環境権を行使できるのか,(あくまでも裁判をする基準としての)環境権という権利の内容が不明瞭にならざるを得ないからです。
現在,政治の世界では,「環境権」を国民の権利として憲法に盛り込もうという議論もなされているようです。
ただ,クイズの結果が表すのは,知っている知らないではなく,「現代社会においては,環境権が個人の権利として認められてしかるべきだ」という素朴な思いではないでしょうか。
これからの議論状況を注意深く見守りたいと思います。