今年、北海道内では記録的な暴風雪により、各地で多くの被害が出たことが話題になっています。
北海道では弁護士の日常の法律相談の中でも、雪道での交通事故など雪に関わる相談を受けることが多くありますが、そのような相談を受けるたびに、雪が我々の日常生活に密接に関わっていることを改めて感じます。
雪に関する相談の中で意外と多いのが、屋根からの落雪に関する相談です。具体的には、「自宅の屋根に積もった雪が落ちて、隣の家の車に傷を付けてしまいましたが、賠償しなければならないでしょうか。」と聞かれることもあれば、逆に「道を歩いていたら、近くの家の屋根から雪が落ちてきて怪我をしたので、その家の所有者に賠償を請求することはできますか。」という相談を受けることもあり、相談内容も様々な角度に及んでいます。
建物の所有者には、その建物により周囲に危険が生じないよう安全性を確保するという法律上の義務があります。ですから、建物の所有者は、屋根からの落雪についても周囲に危険が生じないように対策を講じなければなりません。具体的には、屋根から雪が落ちないよう雪止めを設置したり、雪が落ちたとしても周囲に危険が及ばないよう防護柵を設置したりといった対策をする必要があります。
そして、そのような対策が不十分なために、屋根からの落雪によって周囲の人が怪我を負ったり、車などの物を壊してしまった場合、建物の所有者はその損害を賠償しなければならないことになります。
これに対して、今年のように記録的な大雪に見舞われた場合、建物を所有する方から「雪止めの対策をしていましたが、予想外の雪の量だったので雪が落ちて隣の塀を壊してしまいました。損害を賠償しなければならないでしょうか。」という相談を受けることがあります。このような場合、どの程度まで対策を講じれば十分といえるかについては明確な基準が定められていませんので、当時の気象状況や現場の状況、これまでにとっていた対策の内容など具体的な状況に照らして、建物の所有者が責任を負うべきなのかを検討していくことになります。
落雪を巡っては、些細なことから近隣の住民の方とのトラブルに発展してしまう場合も少なくありません。不安に思う点がある方は、一度弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。