執筆:浦河ひまわり基金法律事務所
葉山 裕士 弁護士
弁護士への法律相談というと、多くの方は何かトラブルが発生したときにするものというイメージを持っていると思います。
しかし、それだけではなく、将来のトラブル発生を防止するために弁護士へ相談しておくことが有効な場合もあります。
例えば、離婚を例に考えると、円満に離婚ができそうな場合でも、子供の養育費を決めるとき、養育費をいくらとしたらよいか目安となる金額を聞くことができます。さらに、お互いの口約束で離婚の内容が決まったとしても、口約束のままで問題はないのか、離婚協議書を作るとしてどんな内容を入れたら良いのかといったことも質問できます。それだけでなく、万が一相手が約束を守らない場合に備えてどんな手続をとっておけばいいのかといったアドバイスを受けることもできます。
最近では、インターネット上に養育費の決め方が書いてあったり、離婚協議書のサンプルが載っていることもあります。
ただ、そういったものは、それぞれの人の事情を聞いて作られたものではないため、そのまま使うことが適切でない場合もあります。また、ご本人達で考えた合意内容のままでは、弁護士から見て後々に紛争の火種を残すことになるのではないかと感じられるものも見られます。
これまでは離婚を例にお話ししましたが、例えば遺言書の書き方や個人間の金銭の貸し借り、不動産の賃貸借契約などについても、事前に話を聞いておくことでトラブルを防止できるケースもあるかもしれません。
トラブル防止の相談を躊躇してしまう一番の理由としては、法律相談にかかるお金の心配ではないかと思いますが、札幌弁護士会が主催する法律相談であれば、相談料は原則として無料です。
一度トラブルが発生してしまうと、時間的にも、精神的、金銭的にも大きな負担を感じることとなります。将来のトラブル防止のために、これから誰かと契約、約束を交わすなどというときには、一度弁護士への相談を検討されてみてはいかがでしょうか。