執筆:ひだかひまわり基金法律事務所
原 英士 弁護士
昨年、札幌地方裁判所浦河支部の庁舎が新しくなりました。また、今後、静内簡易裁判所の庁舎も新しくなる予定です。地方の簡易裁判所は廃止・統合されることがあるため、日高地方で弁護士業務を行っている私としては、日高地方の司法を支える2つの庁舎がいずれも新しくなることを嬉しく思っています。そこで今回は、「紛争を解決するための裁判所の利用」について、話したいと思います。
弁護士の業務は、民事、家事、刑事、行政等、多岐に渡ります。しかし、これらの業務のすべてにおいて、裁判所を利用するわけではありません。弁護士の業務は、紛争の相手方との交渉から始まることが多く、相手方との交渉で紛争が解決すれば、裁判所を利用しないで業務は終了します。弁護士の業務は、むしろ裁判所を利用しないで終わることの方が多いと思います。
相手方と交渉しても紛争が解決しない場合、弁護士は、主に裁判所を利用して紛争解決を図ります。この点、裁判所以外にも紛争解決のための機関はありますが、日高地方にはそのような機関は多くありません(例えば、交通事故紛争処理センターは、札幌市にはありますが、日高地方にはありません。)。
裁判所での紛争解決方法は、主に「調停」と「裁判」という手続きになります。「調停」とは、裁判所で当事者が話しあって合意することによって、紛争解決を図る手続きになります。このように、調停は、交渉と同じく、あくまでも当事者の話し合いにより紛争を解決する手続きですが、調停委員が当事者の言い分や気持ちを十分に聞いて調停を進めていく制度になっているため、当事者同士で話し合いをするよりも解決を図りやすいというメリットがあります。一方、「裁判」とは、裁判所(裁判官)が法を適用することにより紛争を解決する手続きになります。裁判は、当事者の話し合いによる紛争解決ができない場合、(自分の思い通りの結果になるかどうかは別として、)裁判所の判断によって、紛争を終わらせることができるというメリットがあります。もっとも、裁判手続きの途中で、当事者双方が譲歩する「和解」、すなわち、裁判所の判断ではなく話し合いによって紛争が終わることも多くあります。
このように紛争解決には様々な方法があります。弁護士は、紛争解決について相談を受けた場合、相談者から得た情報に基づいて、事件の見通し(例えば、裁判の勝敗や紛争解決に要する時間等の見通し)や処理の方法(交渉、調停、裁判等の手続)等について説明しています。紛争をどのように解決すればよいか分からない等、お悩みがあるときは、すぐに、ご遠慮なく、お近くの弁護士にご相談いただければと思います。
以上