周波数 | 三角山放送局 76.2MHz「トークinクローゼット」内コーナー |
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放送時間 | 毎週火曜日 AM 9:15~ |
札幌弁護士会広報委員会が今年7月からお送りしている「札幌弁護士会の知恵袋」。
第20回は、分譲マンションのトラブルを取り上げてきます。
「もし買ったばかりの新築マンションで結露による漏水が発生したら・・・」と「上層階の区分所有者との騒音問題」という2つのテーマに、岡崎拓也弁護士が挑戦します。
夢のマイホームで起こりがちな身近なトラブルについて学習しておきましょう!
第21回(来週)も、引き続き分譲マンションのトラブルを取り上げますが、特にマンション管理組合の理事になられた方に聞いていただきたいテーマになっています。
来週もお楽しみに!
放送日 | 2015年11月17日 |
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ゲスト | 岡崎拓也 弁護士 |
今週の放送 キーワード |
サツベン放送局、分譲マンション、漏水、補修工事、結露、瑕疵、通常有すべき品質を欠く、住宅品質確保法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)、瑕疵修補請求、損害賠償請求、騒音問題、マンション管理組合、慰謝料請求 |
— はい、今週も「札幌弁護士会の知恵袋」の時間がやって参りました。
札幌弁護士会の法律相談によせられる皆様の質問に、弁護士がズバリ答えます。
ゲストは札幌弁護士会に所属の岡崎拓也さんです。
岡崎:よろしくお願いします。
— 先生、あの前から私思ってたんですけど、スタジオで私の番組にゲストインで出てくれたこととかもありますよね。
岡崎:ありますよね。
— 何にも見ないで。台本とか用意していても、見ないですよね。
岡崎:いや、見てます、見てます。あれ見てます。
— 本当ですか?
だけど、すらすらっと答えが出てくる感じですよね。
岡崎:よく口から生まれたと言われています。
— おしゃべり好きということですか。
岡崎:よけいなこと言いたがるというか・・・よく注意されます。
一言よけいなことを言って、誰かを怒らせるとか・・
— 泣いてる人とか・・・いるんじゃないですか?蔭で・・・
岡崎:そうですよね。よく言われます。
最近は気をつけてます。
立場があるので・・・
— そうですよね。弁護士先生ですしね。
前のサツベン放送局の時も、かけあいでゲストの方、お迎えしていているのに・・・あんまりそういうもの(台本)なかったと聞いていますけど。
岡崎:あれ、台本なかったですからね。
— なかったですものね。それでやってたんですね。
岡崎:あれは話す内容だけ決めてその場で話していただくという形でやってました。
— テーマだけ最初に決めちゃって? へえ。
法律の話も、実はしてましたよね。
岡崎:法律の話なんかしてましたっけ?
— ちょっとだけしてたこともありましたね。
岡崎:ただ、僕はしてないので。ゲストの方に、皆さん話していただいて。
— ゲストに来た方のプライベートの話とかを結構してましたね。人となりとか・・・
岡崎:そちらに興味があったんで・・・
— あっ、そうそう。年齢よりも何「期」が重要だと。
岡崎:先輩・後輩関係。
— そこが私、印象的でした。私そこすごく覚えています。
岡崎:だから、後輩しか呼んでませんからね。
— 呼びやすい人を・・・
岡崎:呼びやすい人です。
— 呼びやすい人。そういう裏事情もあったんですね。なるほど・・・
じゃあ、今日も難しい話も出てくるかもしれませんが・・・
岡崎:頑張っていきましょう。
— それでは、本日の相談にいってみましょう。
本日は、分譲マンションを買った方からの相談が2件あります。
最初の御相談からいきます。
岡崎:はい。
第1 新築マンションなのに結露した水で天井に汚れが
— 3LDKの新築マンションをローンで買ってからもうすぐ1年が経ちます。
雪が融けてから入居したので、最初は気がつかなかったのですが、年末から2月くらいにかけて、天井の水回りの配管部分あたりに漏水が原因と思われる「シミ」のようなものが目立つようになりました。同じフロアの別の部屋では、そのようなことがないようなのですが、上下階の私のところと同じ作りの部屋でも同じような現象が起きているようです。
調べてもらった結果、水道管自体に亀裂等はなく、結露した水がしたたって天井を汚しているようです。
マンション販売業者は、「水道管自体には問題がない」「断熱材も入れている」「去年は特に寒かったからだ」等といって、補修工事等に後ろ向きです。
私たちはどのように戦っていけば良いでしょうか?
岡崎:はい。
— まだ、1年しか経っていないのに、新しくて、きれいなはずなのに・・・。
ちょっと残念ですね。シミが出来てしまった。
これはどういう問題になっていくんですか?
岡崎:これはまず、このシミが出来た原因が瑕疵といえるかどうか、そこになります。
第2 瑕疵とは何か
— 瑕疵って何ですか?
岡崎:すごく難しいですよね。
法律的に言えば、通常有すべき品質を欠く。
これでも難しいですよね。
— 難しい(笑)。
何か例があれば・・・
岡崎:例えば車なんて買ったら当然走行できるものだというのが前提ですよね。
車、買ったけどエンジンが動かない。
これっていうのは、普通有すべき品質を欠いていますよね。
— そうですよね。(走るのは)通常有すべき品質ですよね。
岡崎:それを欠いている。
そういった状態を瑕疵といいます。
— ああ、そうなんだ。「瑕疵」、二文字ですませていいんでしょうか?という感じですけど。
岡崎:すごい難しい字なんですよね。
— そうなんですね。皆さん、なかなか聞き馴染みがないかもしれませんが・・・
こうしてマンション買ったりする方達は知ってる言葉なんですか?
岡崎:そうですね。不動産の売買契約書には、瑕疵がある場合にはこうです、と書かれていることがあります。
— 今回のケースは、通常有すべき品質を欠いているという瑕疵にあたる?
岡崎:まず、そこを判断しなければならない。
先ほどの車の例だとすごく分かりやすいですよね。
「走らない。」(笑)
— それはわかりますよね。
岡崎:あとマンションでいえば、水道が出ないとか、水が流れない、電気が通ってない、これはわかりやすいですよね。
じゃあ、水漏れというか、こういった天井にシミができているということについて、これが瑕疵にあたるかどうか?を検討する。
しかし、これはやはり瑕疵ですよね。
買って1年くらいのもの、水がしたたる、天井にシミが出来ている。
普通はシミが出来ないマンションとして買っていますので、これは瑕疵になる。
ということになります。
— でも販売業者は「去年は特に寒かったからだ」とか、「水道管自体に問題ない」と言ってるそうですが・・・
岡崎:ここが問題になって、通常有すべき品質を欠くと。先ほど、それが瑕疵かどうか?というところなんですが・・・
それが例えば、去年はすごく寒かったので、たまたま生じたんだ(品質としては通常のものがあるんだけども)という話なんですが・・・。
では、去年が特に寒かったというのが、どういうもんなんだ?
例えば氷河期のような寒さが来た。それは誰にも予想できないので、それで結露が生じたなら、それはしょうがないよねと。
ただ、北海道というところを考えると予測の範囲内、それくらい寒い年もあるよね。
そして、このような結露が生じたと。それは、やはり通常有すべき品質を欠いてるだろうと。
— じゃあ、これは理由にならないですね。
でも、調べたところでは、水道管の亀裂はないということを言っているようですけど・・・。
岡崎:まあ、亀裂がないとしても、北海道といえば結露が生じやすいところですよね。暖房も当然使いますので、しかも寒暖差が大きいところですので、それに備えておくべきで、
天井にシミが出来るということはあってはいけないこと。
皆さんが住まわれるマンションであっても、天井にシミが出来るというのはそうそうないはずですので、それで水道管に亀裂がないからといって許されないと・・・。
通らないだろうと。
— では、瑕疵にあたるということですね。
岡崎:そうですね。
— では、瑕疵にあたるとなると、皆さん、どういうことが求めることが出来るんですか?
第3 瑕疵に対してできること
岡崎:まず、一般的に思うのは、補修工事してくれ、ということだと思うんです。今回の相談者さんもそういっていますが、民法上、売買契約で購入したマンションに瑕疵があった場合、基本、損害賠償請求するということになります。
つまり、補修工事代金を賠償請求するということです。
ただ、これは特則がありまして、住宅品質確保法というのがありまして、こちらだとマンションの販売業者に対して瑕疵修補請求ができる。
つまり、補修工事を求めるということですね。
— 両方(損害賠償請求と瑕疵修補請求)できるんですか?
岡崎:はい。
— へえ。両方できるんですか。
これは期限とかあったりするんですか?
第4 瑕疵は知ってから1年、住宅品質確保法は引き渡しから10年の期限
岡崎:民法上は瑕疵を知ってから1年という期限があります。
住宅品質確保法の方は、物件の引き渡しから10年。原則10年という期限があります。
— ずいぶん開きがありますね。
岡崎:はい。
— 損害賠償の方は、知ってから1年以内なので急がなくちゃいけない・・・。
岡崎:はい。
— そうですか。
この方は瑕疵にあたるので、損害賠償請求でいくか、住宅品質確保法の方で直してもらうか。
岡崎:そうですね。
特に今回は、上下階のところで(同じ作りの部屋で)、同じような現象が起きてますので、皆さんで、集団で求めていくというのが大事かな、と思います。
— ここは皆さんで、団結したらいいですね。わかりました。
ちょっと気持ちが軽くなりました。
岡崎:軽くなりましたか?
— 私の気持ちが軽くなりました。良かったと思いました。
— それでは、二つ目の質問にいってみましょうか?
岡崎:はい。
第5 マンションの上階の騒音
— 5階建てのマンションの2階の一室を中古で買って、今年から家族で暮らしています。
夢のマイホームだったのですが、深夜0時を回っても、上層階の人が「バタバタ」と走り回ったり、大声を出しているので、眠りにつけません。声の質からすると子供の声だと思うのですが、なにぶん、マンション内では新参者であり、直接、クレームを言いにいったり、管理組合に相談にいったりすると同じマンション内で人間関係が悪くなったりしそうで迷っています。
私はどうしたらいいでしょうか?
岡崎:これは難しいですよね。
— これよくありそうですよね。
岡崎:これ、私もよく相談受けることがありますよね。
— ありますか・・・多いですね。
第6 まずはマンション管理組合に相談
岡崎:やはり、同じマンションに住んでいる方なので、なかなか文句を言いにくい・・・というか、人間関係悪くなってしまいそうで迷うところですよね。
方法としてはいくつかあるんですが、管理組合に相談に行くというのが一つの方法だと思います。
管理組合は、管理規約、生活のルールとして、何時以降騒音を出さないようにする等、を定めておりますので、それを遵守するように求めるということです。
ただ、よくあるのは、管理組合に言っても、それは個人同士の問題だから、共有部分の問題ではなく、居住部分の問題なので、お互い同士でやってくれ、ということを言われることがあります。
— じゃあ、自分たちで解決しなきゃいけないですね。
岡崎:そうですね。
そういった時、じゃあどうしたらいいか?
やはり話しあうしかない。
裁判所の調停を使って話し合ったり、弁護士を入れて話し合ったり・・・
— いや、そうなると結構勇気いりますよね。
岡崎:勇気いりますね。
— でも、夢のマイホームを買ったので、我慢をするのか、ちゃんと話し合った方がいいのか、どちらを選ぶのか、ということですね。
第7 騒音の感じ方はひと様々
岡崎:そうですね。
騒音問題というのはすごく難しくて、何が騒音か?が、人それぞれだったりするので、今回の相談者さんがどれくらいの騒音を受けているのか、という問題があります。
例えば、少しでも音が鳴ったら気になってしまう方、それとも、誰が聞いてもこれはすごい騒音で睡眠の妨害になるだろう、というレベル。
誰もが聞いてもうるさいかどうか?という、その判断も一つ必要になります。
— そういうのは、数字で調べたりするんですか?
岡崎:そうですね。
例えば、何デシベル(db)以上だとうるさいと。
よく、飛行場なんか、近くの住民が何デシベル以上だと、騒音被害で訴えたりするという。
同じような形で数字に残すというか、誰が聞いてもうるさいという基準で。
— 結構、人によって違いますよね、うるさく感じるかどうか。
すごい繊細な方だと、ちょっとのことでもうるさく感じちゃうかも。
岡崎:私は繊細なんで、ちょっとのことでも。
— 繊細なんですか?
岡崎:ちょっとのことでもびくっとするタイプです。
— 上の階の方がバタバタしてたら、眠れない?
岡崎:そうですね。
最近耳が悪くなってきたんで、そういうことはなくなってきたんですが・・・
— どうしたんですか?
何で耳が悪くなったんですか?
岡崎:年齢ですね。
— そんなことはないと思いますよ。
岡崎:昔、20歳くらいの時は耳栓をして寝ていたんですが・・
最近何も聞こえないです。
— 極端すぎますよ。
そうか、でも騒音問題はとっても微妙な問題ですね。
第8 騒音問題は加害者にも被害者にもなる可能性がある
岡崎:ただ、どちらも被害者にも加害者にもなる可能性がありますので、お子さんがいる家庭だとお子さんがどうしても走り回ってしまう、夜大声を出してしまうということがあるので、それぞれ節度をもった配慮が必要です。
すごく極端な事例になってしまいますが、子供が騒いでしまって、下の階の住民からの慰謝料請求が認められた判決例もあります。たしかに、100万、200万円とそういう高額な慰謝料ではないのですが、慰謝料が認められた例もありますので皆さん気を付けて暮らしていきましょう。
— 眠りにつけないということになりますと、健康被害にもなってしまいますから。
岡崎:そうですね。
— でも、自分自身が大きな音を出してるかもしれませんし・・・
岡崎:それ、ありますよね。
— お互い気を付けないといけない問題ですよね。
皆さん気を付けて暮らしていきましょう。さて,本日の札幌弁護士会の知恵袋は以上になります。
札幌弁護士会の知恵袋は、札幌弁護士会のホームページで過去の放送分をテキストで見ることができます。また、音声でも聞くことができます。今日の放送で聞き漏らした部分があるという方はぜひチェックしてください。
進行は田島美穂(タシマ ミホ)でした。
制作・著作
<プロデューサー>
弁護士福田直之、弁護士北山祐記(札幌弁護士会)
杉澤洋輝(三角山放送局)
<脚本>
弁護士岡崎拓也(札幌弁護士会)
<出演>
番組MC 田島美穂(三角山放送局)
ゲスト 弁護士岡崎拓也(札幌弁護士会)
<監修>
弁護士上田絵里、弁護士山田敬純、弁護士佐藤敬治(札幌弁護士会)
<初回オンエア>
平成27年11月17日