周波数 | 三角山放送局 76.2MHz「トークinクローゼット」内コーナー |
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放送時間 | 毎週火曜日 AM 9:15~ |
札幌弁護士会広報委員会が今年7月からお送りしている「札幌弁護士会の知恵袋」。
12月の月間テーマは「借金問題(債務整理)」です。
今週は、いくつかある借金整理の方法のうち、「任意整理」を取り上げていきます。
月々、「借金の返済に回せる余力はあるけれど、月々の必要返済額には及ばないという方」や「返済しても返済しても金利に負けて元本が減らないという方」などにお勧めの方法です。
一番簡易な債務整理の方法「任意整理」について、今週も高須大樹弁護士がわかりやすく解説していきますよ!
放送日 | 2015年12月8日 |
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ゲスト | 高須大樹 弁護士 |
今週の放送 キーワード |
債務整理、任意整理、クレジットカード、介入通知、引き直し計算、過払い金、利息制限法、ヤミ金、時効、過払い金 |
— 今週もはじまりました、「札幌弁護士会の知恵袋」。
札幌弁護士会の法律相談によせられる皆様の質問に、弁護士がズバリ答えます。
毎週火曜日の午前9時15分から15分間、役立つ情報を月替わりのテーマで放送していきます。
前回からは4回連続で,借金問題,債務整理をテーマとして取り上げていきます。
ゲストは前回と同じく,札幌弁護士会の高須大樹(たかすおおき)さんです。
第1 「任意整理」ってどういう手続き?
高須:よろしくお願いします。
— よろしくお願いします。
さて,前回の放送で,借金を整理する,債務整理の主な方法としては,「任意整理」「自己破産」「個人再生」という3つの手続があることが分かりました。
今日は,この内,「任意整理」についてお話しいただきたいと思います。
それでは質問です。
「私は,買い物などでクレジットカードを利用していますが,5年ほど前からカードの引落の日に残高が足りなくなって,キャッシングをしたり,消費者金融などで借入をするようになりました。借金の残高は150万円です。自己破産はしたくないので,できれば任意整理で借金の整理をしたいのですが,できますか。」
という質問です。
まず,先週も出てきましたが,任意整理とは,どのように借金を整理する方法なのですか?
高須:任意整理とは,債権者などと交渉して,借金の額や月々の返済額,返済期間などを新たに取り決め,合意した条件に従って借金を返済していく方法です。
自己破産や個人再生と違って,裁判所の手を借りずに借金を整理する方法ですね。
— 任意整理は,借金の額がどのくらいだと,利用できるのでしょうか。
高須:3年ほどで借金を全額返済できるかどうかが目安になります。
今回のご質問の方の様に,借金の残高が150万円であれば,3年で返せるかどうか,一月にならすと4万2000円くらいを,3年間支払っていけるかどうかが目安になるでしょう。
とても3年では返すことができないという場合は,自己破産などを検討することになります。
— 任意整理は,弁護士に依頼しなくてもできるものなのですか?
高須:はい,可能です。
ただ,後で述べる「引き直し計算」や,債権者との交渉もありますので,一般的には弁護士に依頼される方が多いです。
第2 弁護士に任意整理を依頼したら…
— 任意整理の手続は,どのように行われるのですか?
高須:まず,弁護士が債務整理の依頼を受けると,依頼を受けたことを債権者に通知します。
これは,弁護士が介入したよ,というのを債権者に伝えることから,「介入通知」と呼ばれています。
— 介入通知ですね。
たしか,この通知で,債権者からの取立が止まるのですよね?
高須:そうですね。
貸金業法等で,弁護士からの介入通知を受けた後は,債権者は直接本人に請求してはいけないということになっている為,債権者は,本人に会いにいったり,電話や郵便による請求をしたりすることもできなくなります。
これで債権者からの取立が止んで,ひとまず,気持ちが楽になられる方が多いですね。
— その後はどうするのですか?
高須:次に,借金の残りの金額について調査します。
この調査では,債権者に対して,借金を開始した時から現在までの全ての借入と返済,全ての取引について,明らかにするように求めます。
ご本人の手元にある資料と照らし合わせながら,弁護士は「引き直し計算」をします。
— さきほど出てきた「引き直し計算」ですね。
第3 「過払い金」って取り返せるの?
高須:はい。
利息制限法という法律で決められた上限金利を超えた部分の金利は無効になります。
ですので,これまでに利息として支払った金額の内,利息制限法の上限金利を超えた部分の金額は,元本の返済に充てます。
そうすると,元本が減ったり,さらには元本を超えて払い過ぎていたとなって,「過払い金」が発生したりすることもあります。
— なんだか,難しそうな計算ですね。
高須:インターネットなどで計算ソフトが簡単に手に入れられるようですので,ご自身で計算できないわけではないと思います。
ただ,弁護士に頼んだ方が確実ですし,楽ですね。
— 質問の方のように,ご自身では150万円だと思っていても,実際にこの「引き直し計算」をすると,元本が減ったり,過払い金が出てきたりするケースもあるのですね。
高須:そうですね。
ただ,ご相談される方の中には,必ず元本が減ったり,過払い金が発生したりするとお考えの方がいらっしゃいますが,絶対にそうなるとは限りません。
あくまで,利息制限法の上限金利を超えた金利で借りていた場合に限られますので,最初から過度に期待しないようにしたほうがいいですね。
— 最初に期待しすぎると,減らなかった時のショックも大きいでしょうからね。
それでも,元本を超えて払い過ぎていて,過払い金が発生したような場合,債権者はすんなり払ってくれるものなのですか?
高須:債権者にもよりますね。
交渉しても払ってくれないような場合には,裁判所に訴えることになります。
これを「不当利得返還請求訴訟」といいます。
この訴訟で勝てば,払い過ぎた分を取り返すことができます。
— 裁判となると,大変そうですね。
高須:ご自身でやるとなると,大変かもしれません。
最初から弁護士に依頼しておけば,過払い金が発生したとなれば,だいたいどの弁護士も交渉から裁判まで併せてやってくれますので,そんなに心配ないと思います。
第4 債務が残っていたらどうやって支払っていくの?
— そうですか。
逆に,引き直し計算をしても過払い金が発生せず,元本が残った場合には,その後,どのような手続きになるのですか。
高須:返済する借金の残額が確定しますので,ご本人と相談した上で,支払える範囲内で,月々の返済額や返済期間などを決め,和解案として債権者に示します。
和解案に債権者が同意すれば和解が成立し,あとは和解した内容に従って,借金を返済して行く事になります。
— 返済期間が延びた場合には,利息や遅延損害金を,契約通りに支払わなければならないのでしょうか?
高須:弁護士が債権者と示談交渉する場合には,延滞している利息や損害金を一部,もしくは全部をカットしたり,返済期間が延びることによる将来の利息や損害金をカットしたりする交渉をします。
実際には,多くの場合,これらの利息や損害金をカットして和解が成立しています。
— 少しでも返済額が少なくなったほうが助かるでしょうからね。
もっと返済額が減ったりすることはないのですか?
高須:ごくたまにですが,時効が成立していて,元本も含めて,全く返済しなくてよくなることがあります。
— そんなこともあるのですね。
高須:貸金業者からお金を借りて、長い間新たな借入や返済がない状態が続いていれば,時効が成立し,支払い義務がなくなります。
もっとも,債権者もしっかり管理している場合がほとんどですし,裁判を起こしていたり,債務を認めさせる文書に署名させていたり,時効を中断する措置をとっているケースが多いので,時効が成立しているケースはあまり多いとは言えないですね。
— なるほど。
こちらも過払い金と同じく,時効が成立していればラッキーぐらいの感じなのですね。
高須:そうですね。
第5 「任意整理」の弁護士費用はどのくらい?
— さて,弁護士に依頼するとなると,費用が気になるところなのですが,任意整理の場合,どのくらいの費用がかかりますか。
高須:一般的には,債権者1社につき2万円から4万円が一応の目安になります。
また,過払い金が発生し,取り戻すことができた場合には,別に成功報酬が必要となるのが一般的です。
いまは弁護士の費用は,事務所ごとにある程度自由に決められるようになっていますので,いろいろな契約パターンがあるようです。
また,ヤミ金の場合には,値段が異なる場合もあるようですので,相談の際に確認したり,ホームページなどで調べたりしておくといいかもしれないですね。
— ヤミ金業者が相手の場合もあるのですね。
悪質な業者というのも多いのですか?
高須:警察の取り締まりなども厳しくなったおかげで,以前に比べるとかなり減りましたが,それでもまだ多いですね。
— ソフトヤミ金なんて言う言葉も耳にしますね。
第6 ヤミ金からお金を借りてしまったら
高須:そうですね。
一般的に、出資法という法律の制限金利を超えた、法外な利息で貸し付けを行っている業者を「ヤミ金」と呼びます。
ソフトであれどうであれ,ヤミ金は明らかに違法な業者です。
この場合,契約自体が無効になりますので,利息はもちろん,借金の元本自体も返す必要はありません。
— 返す必要が無いとはいっても,そのままにしておくのもちょっと怖いですね。
高須:そうですね。
相手がヤミ金だと思ったら,すぐに弁護士や警察に相談したほうがいいですね。
ヤミ金ではなくても,借金でどうにもならなくなったとき,困ったときは,依頼するかどうかは後で考えるとして,まずは弁護士に相談した方が良いと思います。
— まずは専門家の意見を聞いて解決策を考えましょう,ということですね。
高須:その通りです。
— さて,今日は任意整理についてのお話でした。
来週は,「自己破産」について,詳しく伺いたいと思います。
高須さん,ありがとうございました。
高須:ありがとうございました。
— 札幌弁護士会の知恵袋は、札幌弁護士会のホームページで過去の放送分をテキストで見ることができます。また、音声でも聞くことができます。今日の放送で聞き漏らした部分があるという方はぜひチェックしてください。
進行は田島美穂(タシマ ミホ)でした。
制作・著作
<プロデューサー>
弁護士福田直之、弁護士北山祐記(札幌弁護士会)
杉澤洋輝(三角山放送局)
<脚本>
弁護士髙須大樹(札幌弁護士会)
<出演>
番組MC 田島美穂(三角山放送局)
ゲスト 弁護士髙須大樹(札幌弁護士会)
<監修>
弁護士上田絵里、弁護士山田敬純、弁護士佐藤敬治(札幌弁護士会)
<初回オンエア>
平成27年12月8日