周波数 | 三角山放送局 76.2MHz「トークinクローゼット」内コーナー |
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放送時間 | 毎週火曜日 AM 9:15~ |
札幌弁護士会広報委員会が昨年7月からお送りしている「札幌弁護士会の知恵袋」。
7月の月間テーマは「弁護士の見つけ方・相談・依頼・契約について」です。
ゲストは、プロデューサーの肝いりで選ばれた札幌弁護士会の大デブ小デブこと、後藤雄則弁護士と高橋健太弁護士。
法律相談センターという弁護士会の相談窓口の運営をしている後藤弁護士と広報担当の高橋弁護士が弁護士にどうやって相談するか、今回は2人が小芝居に挑戦しながら相談方法をご紹介します。99.9%似ていない芸能人の名前を出してまでの迫真の演技にご注目ください。
弁護士との相談でどのような準備があればいいか、どのような点が大事かというお話です。
是非聞いてご参考にしてください!
放送日 | 2016年7月12日 |
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ゲスト | 後藤雄則弁護士、髙橋健太弁護士 |
今週の放送 キーワード |
弁護士,法律相談,裁判,交渉,調停,着手金,報酬,弁護士と契約,弁護士の専門,セカンドオピニオン,弁護士への依頼,弁護士のホームページ,弁護士の探し方 |
— はい,今週も「札幌弁護士会の知恵袋」の時間がやって参りました。
前回から,「弁護士の見つけ方・相談・依頼・契約」というテーマで放送します。
ゲストは札幌弁護士会に所属の後藤雄則(ごとうたけのり)さんと髙橋健太(たかはしけんた)さんです。
後藤・髙橋:よろしくお願いします。
— 前回は,見つけ方ということでしたが、今日は実際の相談ということでお願いした
いと思います。
第1 法律相談
後藤:実際の相談を見て頂くとよくわかると思うのですが、本来の事例が一番でしょうが、
我々も守秘義務がありますので、ちょっと架空の相談でやってみたいと思います。
— わかりました。ではお二人に架空の相談劇をやって頂くということでお願いします。
後藤:私が相談者で髙橋先生が弁護士役でやりたいと思います。
では、始めますね。高橋先生どうぞ
髙橋:今日は宜しくお願いいたします。
まず初めてなのでお名前聞いていいでしょうか。
後藤:はい、「キタヤマ」と呼ばれているものです。
髙橋:呼ばれている?
後藤:あ、本名じゃなきゃだめなんですか
髙橋:はい、さすがにそれはちょっと本名でお願いします。
後藤:仕方ないですね。後藤と言います。
髙橋:ありがとうございます。で、どういったご相談ですか
後藤:勝てますか?
髙橋:は?
後藤:だから勝てるんですかって聞いてるの?
髙橋:いえいえ、まだ何も聞いていないので、さすがに内容聞かないと何も言えませんよ。
後藤:使えない弁護士ですね。
髙橋:何かおっしゃいました?
後藤:いや独り言です。じゃあ言いますね。
私、車にはねられました、勝てますか?
髙橋:ふざけているんですか。それだけではわからないですよ。
後藤:じゃあ何言えば分かるんですか
髙橋:そもそも勝てる、と約束をするものではありません。
もちろんある程度見通しは言えますけれども、法律相談では法的な見解をお伝えしますが、勝ち負けまで言えないことも多いですから。
後藤:わかりました、自転車で走っていたのですが、ふと、車と喧嘩しても俺は勝てるんじゃないかと思って車にぶつかってみました。
勝てますか?
髙橋:えーと、損害賠償の方ですよね。
後藤:いえ、車に。
髙橋:それは勝てないんじゃないですか。
後藤:もうさっぱり進まないですね。
— はい、とここで一回止めます。
こんな相談あるのですか(笑)
後藤:まあ偽名の人はなかなかいないですけどありましたよ。
— 当然本人の名前は必要ですよね。
髙橋:はい、これはどうしても利害がぶつかる場合の確認のために必要です。
弁護士は相手の相談を受けていたら、普通は相談も受けられなくなりますので、誰か
の確認ということは当然必要です。免許証などの本人確認を徹底する事務所もあるそう
です。
— 厳密なんですね。
あと、勝てる勝てないというところもありましたが。
後藤:これはまあ極端な事例ですが、勝てますか?と聞かれることは割とありますし、それ
は当然気になると思います。
ただ、明らかな事案では相当程度詳しく言うこともありますが、裁判にかかる事件などは微妙な件も多く、簡単に勝てる、とは言えないし、これも弁護士倫理で結果を保証してはいけないというものがあるので、言い方は難しいですね。
髙橋:あとは、裁判の場合、最終的には裁判官が判断するので、自分としては、、という言い方になってしまうこともあります。
— なるほど。でもある程度の見通しは気になりますよね。
髙橋:そうですね。なので、進め方やある程度の幅でお伝えすることが多いです。
— これは弁護士さんによるということでしょうか。
髙橋:そうですね、ベテランの先生でズバッという方もいますが、絶対ということではない
でしょうから。
後藤:また、相談続けていいですか?
— ではお願いします。
後藤:それで、私が正月に泊まった千葉のホテルでどこの出版会社の社長と会ったかという話ですが
髙橋:それどこかの知事になっていませんか。
後藤:すいません、時事ネタも入れてみました。
事故の話ですね。何を説明すればいいですか
髙橋:まず、時系列ですね。
事故の流れを説明して頂けるとありがたいです。
あとは当事者のお名前や、状況。関係する資料があればお願いします。
後藤:そうですね。
まず事故の流れは紙にまとめてきたので、こんな流れです。
髙橋:ああ、ありがたいですね。
後藤:途中、私の妄想が入っていますが大丈夫ですか
髙橋:それは勘弁してください。
後藤:じゃあ、そこ削ります。
髙橋:そうすると横断歩道を自転車渡っているところに車が来てぶつかってるんですね。
全然さっきの話と違いますが、信号はどうだったのでしょうか
後藤:やはり今流行のLEDランプでした。
髙橋:そういうのはいりませんから。
後藤:すいません、自分は青だったと思うのですが。
髙橋:車が赤で走って来たのですね。
後藤:だから車がぎりぎりで止まろうとして少しの怪我ですみました。
髙橋:運転手は自分が赤で走ろうとしたこと認めているのですか?
後藤:「どこ見ているんだ。この豚野郎」と言われましたので認めていないですね。
髙橋:そうすると信号の色が問題になりそうですね。
過失割合というのが問題になると思います。
何か手がかりになる写真とか資料はありますか?
後藤:そういうのいるんですか?
髙橋:争った場合、裁判で証拠が必要になるので、出来るだけ資料は必要です。
後藤:自宅に取りに来てくれますか
何がいるか分からないので
髙橋:基本的には持参頂いています。
関係ありそうなもの全てですが、思いつくものをメモでお渡ししますね。
後藤:それで具体的に今後どうすればいいですか
髙橋:相手の保険会社と交渉しますが、後藤さんの治療が終わった段階で請求額がはっきりするので、正式な請求はそこからですね。
後藤:いつお金もらえますか
髙橋:まあ合意すれば1月くらいで入ってきますが、裁判になるかもしれませんし。
後藤:わかりました、では先生にお願いします。
もうこれだけ相談もしたので。断りませんよね。
というところで、一回止めます。
– 時系列でまとめというところですが、紙でまとめたものがあった方がいいのですね。
髙橋:あれば助かります。
もっとも、その場で聞き取ってこちらでまとめることの方が多いです。
後藤:困るのは話が前後してしまって、あとから大事なことが抜けていたなどのことがあるときです。意図的に話さないというケースは少ないと思いますが、どこまでが法的なことで大事かはわからないことがあるので、じっくり説明して頂ければと思います。
– あとは資料ですが、「何が必要か」は確かにこちらではわかりませんね。
後藤:そうですね。これはなかなか最初から揃わないことが多いです。
人によりけりですが、やりとりしていくことが多いです。結構高橋先生は取りに行きますか?
髙橋:会社で資料がごっちゃになっていたり大量の場合はありえなくはないですが、なかなかそれも大変なので、送ってもらったりすることの方が多いです。
– なんか関係ありそうと思ったら持って行った方がいいですよね。
最後の相談もしたけど断りませんよね。というのはそうなんですか?
第2 弁護士への依頼
後藤:相談者が依頼される方は良いと思いますが、弁護士の方も受ける受けないは自由です。弁護士の契約は委任契約という契約になりますが、弁護士としても受けるかどうかという判断は慎重になることがあります。
弁護士としても事案によっては何回か相談してからという場合もありますね。
資料とかの状況で判断が困るということはあります。
髙橋:難しい事件ほど慎重になります。
やはり受けて費用を頂くので、あとでトラブルにならないようと思うと、簡単に安請け合いできないことが多いです。
– 相談すれば受けてもらえるというものではないのですね。
後藤:はい、逆に相談しても頼まなければいけないということではないので、何か違うかな~と思えば、依頼しなければいいです。
– 最初から再度、弁護士探すというのも大変ではないですか?
髙橋:今はインターネットでもいろんな事務所が広告を出していますし、前回も話しましたけど法律相談センターや法テラスは3回まで弁護士を紹介してくれますよ。昔よりは見つけやすいと思います。
後藤:違うかなという思いのまま進めるとトラブルになりやすいです。
年齢やキャリアも気になると思いますが、基本弁護士としてやっているので、親身になってくれているかどうかなどのことが一番大事なのかなと思いますが。
第3 弁護士費用
– あと、気になるのは弁護士の費用なのですが、これはどのように決めるのでしょうか。
髙橋:着手金と報酬金という制度が標準だと思います。
着手金は事件の最初に頂くもので報酬は事件が終わったときにどのくらいうまく行ったかでもらうもの。あと日当というのもある場合があります。
– 金額は基準があるのですか
後藤:昔は弁護士会で一律決めていた基準がありましたが、今は撤廃されています。
自由に各事務所が設定しますし、報酬基準表というのがあるはずです。
さすがにそこまで見せてやらない件が多いですが。
ただ、お金では揉めたくないので、見積もり等の説明をする事務所が多いと思います。
髙橋:私は日弁連の報酬基準を参考までに見せて説明することも多いです。
– 一括とか分割ということも選べるのですか?
髙橋:基本は一括という事務所も多いと思います。
ただ、やっぱりお客さんのためにというところがあるので、事情に応じて調整することはあります。
これ(分割払い)は思い切って相談して頂くのも一つと思います。
後藤:そうですね。(私自身も)最初弁護士の費用って高い!と思いました。
ただ、やっていくと本当に時間もかかるし負担も大きいこと、間違った時のトラブルの大きさなどから、一定の費用については説明させて頂いて(値段には)十分な理由はあると思います。逆にその辺りを聞かれれば率直に話すことにしていますね。
– あとで値切られることもあるのですか
後藤:私は幸いほとんどないです。もちろん事情あって、相談されたことはありますが。
だから契約書はちゃんと作らなければならないですね。
– 契約書は必ず作るものなのですか?
髙橋:はい、これは弁護士倫理で契約時に作ることになっていまして、特別の事情あって後に作成することも許されていますが、出来るだけ速やかに作ることが定められています。
後藤:慣れているお客さん、たとえば会社の顧問先の時とか作らなくてもいいと言われることはあるのですが、やはり作成しますね。
– 契約をして依頼開始ということですね。
次回は依頼したあとの流れをお話しして頂けることになっています。
今日はお二人ともありがとうございました。
さて,本日の札幌弁護士会の知恵袋は以上になります。
札幌弁護士会の知恵袋は,札幌弁護士会のホームページで過去の放送分をテキストで見ることができます。また,音声でも聞くことができます。今日の放送で聞き漏らした部分があるという方はぜひチェックしてください。
進行は田島美穂(タシマ ミホ)でした。
制作・著作
<エグゼクティブプロデューサー>
弁護士坂口唯彦(札幌弁護士会)
<プロデューサー>
弁護士北山祐記(札幌弁護士会)
杉澤洋輝(三角山放送局)
<脚本>
弁護士後藤雄則(札幌弁護士会)
<出演>
番組MC 田島美穂(三角山放送局)
ゲスト 弁護士後藤雄則(札幌弁護士会)
弁護士髙橋健太(札幌弁護士会)
<監修>
弁護士上田絵里,弁護士山田敬純,弁護士佐藤敬治(札幌弁護士会)
<初回オンエア>
平成28年7月12日