周波数 | 三角山放送局 76.2MHz「トークinクローゼット」内コーナー |
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放送時間 | 毎週火曜日 AM 9:15~ |
札幌弁護士会広報委員会が昨年7月からお送りしている「札幌弁護士会の知恵袋」。
7月の月間テーマは「弁護士の見つけ方・相談・依頼・契約について」です。
ゲストは、プロデューサーの肝いりで選ばれた札幌弁護士会の大デブ小デブこと、後藤雄則弁護士と高橋健太弁護士。
法律相談センターという弁護士会の相談窓口の運営をしている後藤弁護士と広報担当の高橋弁護士が、月間テーマである「弁護士の見つけ方・相談・依頼・契約について」のよくある質問に答えながら、このテーマの総括を行います。
今週までの3週間、真面目あり、笑いあり、涙あり(?)でお送りしてきた放送を無事総括し、皆様のお役に立つ情報を提供することができるのか。
是非、括目、いや、「括耳」して聞いてください!
放送日 | 2016年7月26日 |
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ゲスト | 後藤雄則弁護士、髙橋健太弁護士 |
今週の放送 キーワード |
弁護士,裁判,交渉,調停,着手金,報酬,場環境,紛争解決センター,柔軟な解決,少額,使用者,労働者,早期解決,民事調停,調停前置主義 |
— はい,今週も「札幌弁護士会の知恵袋」の時間がやって参りました。
今回は,「弁護士の見つけ方・相談・依頼・契約」というテーマの最終回です。
ゲストは札幌弁護士会に所属の後藤雄則(ごとうたけのり)さんと髙橋健太(たかはしけんた)さんです。
後藤・髙橋:よろしくお願いします。
— 前回まででは,弁護士の見つけ方,相談から契約締結までの流れ,そして実際に依頼した後の流れについてお話をお聞きしました。
最終回の本日は,どういう話でしょうか。
後藤:髙橋先生が年収を公開します。
髙橋:それは勘弁して下さい,今初めて聞きましたし。
— どうなっていくのでしょうか。
後藤:え,髙橋先生,言ってくれないのですか。
髙橋:ちょっと,それはこっちの方で…(ジェスチャーで×印)。
— じゃあ,後でこっそり。
髙橋:あ,こっちって言っても見えないですよね。
— ラジオですからね。
えーじゃあ私の方から一つ質問をしますね。
後藤:何でも答えまーす。
第1 弁護士へのセカンドオピニオンについて
— まず,弁護士を依頼する前に,複数の弁護士に相談に行っても良いのでしょうか?
髙橋:これは問題なくOKですね。
第1回でもお話ししましたが,複数の弁護士の話を聞いて,自分に合うと思う弁護士に相談した方が良いと思いますので,これは大丈夫です。
札幌弁護士会の法律相談センターでも,同一の相談内容に関し,3回まで無料で相談が受けられます。
— 既に弁護士に依頼した後に,別の弁護士にセカンドオピニオンを聞きに行くのはどうでしょうか?
後藤:これも前の回でお話ししましたけど,全く問題はありません。
ただ,他の弁護士に依頼されている事件を重ねては依頼を受けてはならないことになっていますので,冒頭でそれを言っていただければありがたいというか,言っていただく必要はあると思います。
実際やっぱりトラブルになっていて,この弁護士さんの進め方がおかしいんじゃないかとか,そういう不安になることもあるので,それは全然来てもらって構わないですし,どこまで言うかというのはセカンドオピニオンの相談を受けた弁護士によるのですが,ずばっと言う弁護士の方が割と多いと思います。
むしろ,安心して進めていただいていいですよと言うことの方がどちらかと言うと多いと思いますが,まあ中にはちょっと変かなという時には率直に申し上げる場合もあります。
第2 弁護士との連絡について
— 弁護士とコミュニケーションがうまくいかない場合はどうしたら良いのでしょうか?
髙橋:耳が痛い質問ですが…これは後藤大先生がびしっと答えてくれると思います。
後藤:そうですねえ,だいたいはコミュニケーション不足なのだろうと思います。
自分のことを離れて,一般論として言いますけど…
髙橋:一般論ですか?
後藤:一般論です。
どの弁護士も複数の事件を抱えているので,仕事が重なって忙しい時期もありますし,良くも悪くも裁判というのはこういうものだと弁護士は慣れてしまっているところがあるのですよね。
裁判の間隔っていうのは1か月から1か月半,時にはそれ以上空くのですが,弁護士といてはあまりそこに違和感を抱きませんが,他方で,依頼された方は,どうなっているのだとうとか,長いとか思ってしまって,でも遠慮して,任せているからということで連絡をしない。
そういうことがあってモヤモヤモヤモヤして,逆に言うと,この弁護士おかしいのではないかということで,コミュニケーションがうまくいかなくなっているというケースがあるのではないかと思います。
あとは,弁護士の方で,良い報告がしたいと思いながら,これではそれが難しいと悩んでしまって,弁護士の方で時間が過ぎてしまっているケースも,正直,あると思います。
それは本当は良くないのですが,そういうことからトラブルになっているケースも少なくはないと思います。
髙橋:あくまで一般論ですけど,自分の準備が遅れてしまってなかなか連絡が遅くなってしまうこともありますし,あとは後藤先生が言ったように,相手方の書面を見てこれは良い報告ができず,しかもこの書面を見せると依頼者の血圧が上がってしまうのではないかと思い,書面ではなく直接会って報告しようと思っているうちに時間がたってしまったというケースもありますね。
— では,そういう場合は,どうしたら良いのでしょうか?
後藤:やはり,弁護士と連絡をとっていただいて,状況が確認したいということで連絡をすることだと思います。
連絡の方法は,電話でも,メールでも,FAXでも構わないと思います。
弁護士として,自分が遅れている件のお客様から連絡が来た時には,正直ドキリとすることもありますが,やはりそういう機会にきちんと話してお詫びをして進めていくのが大事だと思います。
髙橋:あと,例えば,相手方に受任通知を送って,1週間後に回答があれば,依頼者にその回答の内容を連絡するのですが,この場合,特に問題はありません。
他方,相手方に受任通知を送って,2週間以内に連絡下さいと書いたけど,1週間が経過しても回答がなかったとします。
この時,我々は,単にもう1週間待とうと思うのですが,依頼者の方は,1週間たったけどどうなっているのかと思われたりもして,本当は,依頼者に,「この1週間は何もありませんでした。」と報告した方が良いのかもしれませんが,動きがないと,こちらから逐一連絡しないというのはあったりしますね。
— でも,依頼者の方は待っていますよね。
後藤:はい,それは本当にそのとおりだと思います。
だから,本当にできる限りの報告はした方が良いと思っています。
ただ,人によっては,もう任したのだから連絡しなくても良いというありがたい方もたまにいるのですけども,連絡があれば,仮に動きがなかったとしても,その旨はきちんとお伝えします。
弁護士の怠慢と言われてしまうかもしれませんが,依頼者さんの方から頻繁に連絡をいただいた方が,説明しやすいかなとは思います。
お客さんの中には,割と躊躇なくどんどんかけていただく方と,かなり思いつめてぎりぎりまで我慢してからかけていただく方と別れるように思いますので,その思いつめた方の電話の時などは,自分がまずかったなあと反省することもありまし,できるだけそういうことがないように,できるだけそういう不安かなあという事件に関しては,私は早め早めに連絡をするようにはしています。
— 髙橋先生はどう思われますか。
髙橋:そうですね,依頼者の方からご連絡をいただければ,我々としても助かりますね。
もちろん,何も用がないのに電話されても話すことがないですし,依頼者の方も忙しいと思いますけど。
何かある時には,思い切って連絡をしていただいた方がいいと思います。
そういうときの弁護士の態度を見て,今後の信頼関係が築けるかなというところで決めてもらうのも良いと思います。
第3 弁護士との契約解除について
— それでもなお弁護士とコミュニケーションがうまくいかない場合はどうしたら良いのでしょうか?
髙橋:その場合はもう委任契約の解除しかないとも思います。
弁護士との契約は委任契約という種類で,法律上はいつでも解除できます。
ただ,当事者の一方が相手方に不利な時期に委任解除したときは賠償しなければいけないという決まりはありますが,弁護士にとって不利な時期というのはないと思いますので,依頼者から解除するのは割と自由と思います。
後藤:今回,髙橋先生の原稿が出ないので解除寸前だったんですけど…もうこの話はやめますね。
解除して,また別な弁護士というのは非常に大変ですので,慎重に判断された方がいいと思います。
あとは,解除する場合,ご自分の頼まれている手続の関係で,時間的な制限などもありますので,問題が生じないように注意することが大事かなと思います。
例えば,控訴などのように期限が厳格に決まっているものもありますので,弁護士を解任して,次の弁護士を探している間に期限が過ぎちゃったなどということがないようにした方がよいので,やめる時も前の弁護士にそういうことを確認してからの方がいいと思います。
第4 弁護士報酬について
— 弁護士との委任契約を途中で解除した場合,弁護士費用は返って来るのでしょうか。
あるいは,報酬を支払う必要はなくなるのでしょうか。
髙橋:これは気になるところですよね。
第3回でお話ししたことの確認ですけど,前提として,弁護士費用には,着手金と成功報酬があります。
着手金は,事件の成功・失敗にかかわらず,事件の開始時にいただく費用です。
他方で,成功報酬は,事件の終了時に,事件がどれくらいうまくいったかをふまえていただく費用です。
後藤:質問に答えてないので,私が答えますけど。
契約書,この前も契約書は絶対に作るという話はしたと思うのですが,契約書には,契約が途中で解約された場合の弁護士費用に関する条項が入っていることがほとんどだと思います。
だいたい,進行状況によっては着手金の一部又は全部を返金できない場合がありますよとか,あとは事件のほぼ終わり,直前までいっているような場合には一定の報酬を認めていただく場合もあると思います。
ただ,これは本当に事件の内容とかで,まあお金の話は逆に弁護士もしたくないのですけど,一番大事なことなので,どのように話をするかは個々の弁護士と契約の内容で決めていただくしかないと思います。
髙橋:そうですね,弁護士の業務の成果は,特に事件の途中の場合,どうしても単純に数値化できないことが多いので,ある程度抽象的な定め方になってしまうとは思うのですけど,そこもあらかじめ定めておいた方が良い場合もあると思います。
後藤:頼んだ次の日にやっぱりやめようという場合は,それで全く返さないような時はやっぱりあり得ないと思いますし,髙橋先生のように余裕がある人はすぐ返してくれると思いますけど。
でも,途中の解約という場合は本当に難しくて,私はあまり途中解約の経験はないのですけど,あまりに揉める場合は弁護士会にそういう相談窓口とかもありますので,そういうところに聞いてもらうのも一つかなと思います。
第5 弁護士との電話相談について
— 少し話は変わりますが,札幌弁護士会では,実際に会って行う面談相談と電話相談を行っていますが,それぞれのメリット・デメリットを教えて下さい。
後藤:電話相談の最大のメリットは,気軽に時間や場所を選ばずに相談できることかなと思います。
そもそも,特に法律問題かどうかかわからないという方もけっこういらっしゃるのですよね。
弁護士に話すような話じゃないかなとおっしゃる方もけっこういます。
費用や時間をかけてわざわざ相談に行ったのに全然大した話じゃなかったということもあるので,それを軽く最初電話で聞くというのは,交通整理として意味はあるのかなと思っています。
— なるほど。
では,電話相談のデメリットは何でしょうか?
髙橋:やっぱり資料を見ながら相談を受けられないことが一番大きいと思います。
第2回でも,相談の際に可能な限り関連する資料を持ってきてほしいとお話ししましたが,客観的にどんな資料があるかを確認することで,より具体的なアドバイスが可能になりますので,電話だけだと抽象的になってしまうこともあると思います。
後藤:逆に言うと,電話相談のデメリットの裏返しが,そのまま面談相談のメリットになると思います。
会えば,資料を見ながら相談を受けることができますし,具体的なアドバイスが可能ということにもなりますし,まあ頼む弁護士がイケメンなのかどうか,私みたいな残念な感じなのかってこともわかりますし,逆に来ていただくためには時間とか交通費がかかりますので,そのへんはやっぱりケースバイケースですね。
髙橋:松潤似かどうかもわかりますからね。
後藤・ — ……。
第6 法律相談センターについて
髙橋:そこはつっこんでくれないのですね。
ただ,以前は法律相談センターの面談相談は有料でしたが,平成25年から,完全無料になりましたので,面談相談の敷居は以前より低くなったのではないかと思います。
— 法律相談センターの面談相談や電話相談では,弁護士を選べるのでしょうか?
後藤:現在は,この相談では弁護士を選ぶというシステムにはなっておりません。
札幌弁護士会の弁護士がシフトのような形で担当スケジュールを組んでおりまして,実際に電話をかけたり,面談相談をするまでは,誰が担当するかはわかりません。
ただ,一点,この前話した利益がぶつかる場合,お名前を聞いて,相手の弁護士ではないということは事前にチェックをしますので,そういう弁護士ではないということを確認して相談を入れております。
— 電話相談を担当してもらった弁護士に面談相談を依頼することはできるのでしょうか?
髙橋:はい,これはできます。
なので,その場合,電話相談中に担当弁護士に実際に会って相談をしたいですよということを伝えていただければ大丈夫です。
— 一度目の面談相談を担当してもらった弁護士に継続して相談を担当してもらうことはできるのでしょうか。
後藤:はい,それも可能です。
なので,1回の枠が30分とか45分とかなので,そこではちょっと話しきれなかった,もう少し話してからではないと決められないという時に,さらに相談をもう1度と指定することはできます。
一度目に会った弁護士がこれはいいなと,髙橋先生のような弁護士でいけるなと思ったら,さらに継続をお願いしますと言えば,弁護士が良いと言えばという問題はありますが,その場合はもちろん継続の話になります。
法律相談センターは3回の無料の相談枠を基本的には異なる弁護士に設定されていますので,この弁護士はいまいちだなと思って次は違う弁護士と思えば,2回目は違う弁護士になります。
なので,3回使い切って,その3回の中で気に入った弁護士にということもありますが,多くの場合は1回目,あるいは2回目で依頼されているケースがほとんどかなとは思います。
髙橋:確かにそうですね。
— では,最後になりますが,お二人から一言ずつお願いします。
まずは,髙橋弁護士,お願いします。
髙橋:今回この4回の放送で弁護士の頼み方がわかったかどうか,ベッキーとかある都知事の話とかしか残ってないのではないかと不安なのですが,弁護士は,やっぱり関わらないで済むのであればそれが一番幸せだなと思うのですが,どうしても頼まなければならない場面も出てくると思うので,そういう時に今日の話が少しでも参考になれば幸いだと思います。
— 続いて,後藤弁護士,お願いします。
後藤:4週にわたり,ありがとうございました。
どこまでお伝えできたかなというのもありますけど,色んな弁護士がいて,色んな考え方もあると思いますが,やっぱりお客さんが困っていることに対して力になりたいという思いで皆仕事をしていると思います。
ただ,状況や場所によって力を十分に発揮できなかったり,お客さんにとっては100%じゃなかったりすることもあると思うので,色んな弁護士がいることをわかっていただいて,色んな探し方があるということも知ってもらって,一番合う弁護士を探して,早く問題が解決してもらえれば良いというふうに思っています。
— はい,ありがとうございます。
さて,4週間にわたり,「弁護士の見つけ方・相談・依頼・契約について」を
テーマにお送りしました。
今日はお二人ともありがとうございました。
後藤・髙橋:ありがとうございました。
– さて,本日の札幌弁護士会の知恵袋は以上になります。
札幌弁護士会の知恵袋は,札幌弁護士会のホームページで過去の放送分をテキストで見ることができます。また,音声でも聞くことができます。今日の放送で聞き漏らした部分があるという方はぜひチェックしてください。
進行は田島美穂(タシマ ミホ)でした。
制作・著作
<エグゼクティブプロデューサー>
弁護士坂口唯彦(札幌弁護士会)
<プロデューサー>
弁護士北山祐記(札幌弁護士会)
杉澤洋輝(三角山放送局)
<脚本>
弁護士後藤雄則(札幌弁護士会)
<出演>
番組MC 田島美穂(三角山放送局)
ゲスト 弁護士後藤雄則(札幌弁護士会)
弁護士髙橋健太(札幌弁護士会)
<監修>
弁護士上田絵里,弁護士山田敬純,弁護士佐藤敬治(札幌弁護士会)
<初回オンエア>
平成28年7月26日