周波数 | 三角山放送局 76.2MHz「トークinクローゼット」内コーナー |
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放送時間 | 毎週火曜日 AM 9:15~ |
札幌弁護士会広報委員会が昨年7月からお送りしている「札幌弁護士会の知恵袋」。
10月の月間テーマは「憲法公布70年に寄せて」です。
札幌弁護士会「憲法委員会」の精鋭3名が4週にわたり憲法や委員会での活動について説明していきます。
10月の第2週目は、憲法委員会で熱い思いをもって活動されている神保大地弁護士の登場です。
神保大地弁護士が、昨年話題になった安保関連法についてわかりやすく解説し、また弁護士会としてどういった活動をしているかについて、お話させていただいています。ぜひ、お聞きください。
放送日 | 2016年10月11日 |
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ゲスト | 神保大地弁護士 |
今週の放送 キーワード |
①日本国憲法 ②公布70周年 ③安保関連法 ④自衛隊 |
— 今日も始まりました「札幌弁護士会の知恵袋」。
札幌弁護士会の弁護士が今日も熱く語ります。
今月は「憲法公布70周年に寄せて」と題して、札幌弁護士会憲法委員会の弁護士をゲストにお招きしています。
今日のゲストは神保大地(じんぼだいち)さんです。
神保:皆さんこんにちは。札幌弁護士会憲法委員会の神保大地です。宜しくお願いします。
— さて、今年は日本国憲法公布から70周年を迎えることを記念して、全4回、札幌弁護士会憲法委員会の皆さんとともに憲法をめぐるホットな話題をお届けしていきます。
第2回目の今日は、昨年話題になった安保関連法について、札幌弁護士会がどのように考え、どのように取り組んだのかということを聞いて行きたいと思います。
神保さん、そもそも安保関連法ってなんですか?
第1 安保関連法とは
神保:安保関連法というのは、昨年成立した11個の法律をまとめた名前です。
正式名称が長いので、一般的には、安保関連法とか安保法制と呼ばれています。
— 具体的にはどのような法律があるのですか。
神保:例えば、自衛隊の活動についてきめた自衛隊法、PKOなどの活動に参加するためのPKO協力法や、アメリカ軍の行動に協力するための米軍等行動関連措置法、日本が攻められた時の対応についてきめた武力攻撃事態対処法など、全部で10個の法律が改正されています。
また、自衛隊の海外派遣について手続を簡略化した国際平和支援法という法律が新しくできました。
第2 集団的自衛権とは
— まず、昨年、話題になっていた集団的自衛権というのは、どのようなものですか。
神保:簡単にいえば、日本ではないほかの国が攻められた場合に、日本は攻められていないのに、日本が反撃することができることを言います。
世界190か国以上が加盟している国際連合(国連)というのがありますが、その国連の憲法といわれる国連憲章で認められています。過去にアメリカ・イギリス・ロシアなどが行使したことがあります。日本では、自分が攻められていないのに反撃するという点が、自衛のための行動ではない、ということで、憲法上認められない、とされてきました。
— その集団的自衛権が行使できるようになったのですね。
神保:はい。
武力攻撃事態対処法を改正して、日本の「存立」が危なくなったといえる危ない場合に、憲法上集団的自衛権の行使を認められる、ということになっています。
ところが、様々な批判があったため、昨年大きな問題になりました。例えば、日本が攻められてもいないのに、日本の「存立」が危なくなった場合などないのではないか? 結局、ほかの国の戦争に協力することになってしまうんじゃないかなど、たくさんの批判がありました。
第3 札幌弁護士会の取組
— 札幌弁護士会は、どのように考えているのですか?
神保:札幌弁護士会は、集団的自衛権というのは、戦争をしないと定めた憲法9条に違反するので、集団的自衛権を行使できるようにすることは許されないと考えています。
日本の憲法は、全世界の人々が平和に暮らす権利を持っており、それを守ることが日本の責務であると考えています。ですので、日本が国同士のもめ事を戦争で解決すること、要するに海外で武力を行使することは、許されないと考えています。ところが、集団的自衛権は、結局、国同士のもめ事を戦争で解決するために、海外で武力を行使することになるので、認められない、ということです。
— それで、札幌弁護士会は、どのようなことをされてきたんですか?
神保:札幌弁護士会は、会としての意見を、会長声明や意見書、総会決議という形で公表して、国会議員さんや各政党に送ることがあります。この安保関連法については、2015年度に、4回の会長声明と1回の決議を挙げて、繰り返し反対の意思表明をしました。
さらに、7月、9月、12月、3月と1年に4回ものパレードを主催して、多い時で6000人以上の方にご参加いただきました。
札幌弁護士会は、多くの市民の方と一緒に、反対の運動の一翼を担うことが出来たと思っています。
— なんだか意外だなぁって思っていましたけど、弁護士さんって、そういう政治的な活動とかってされるんですね?
神保:はい。
弁護士というのは、「社会正義の実現」それから「基本的人権の擁護」を使命としています。あと、弁護士法という弁護士について定められた法律では、「法律制度の改善」も弁護士の使命だとされています。要するに、憲法によって保障されている基本的人権が侵害されないようにするのが仕事なんですよね。ですので、人権を侵害するような法律ができそうになったら、それに反対するのも、弁護士の仕事の一つだと考えられているんです。
— だからといって、弁護士さん全員がそう考えているわけじゃないんですよね?
神保:はい。何百人もいる弁護士全員が全く同じ意見だったわけじゃないです。
政府と同じように、安保関連法が必要だ、と考えてらっしゃる方もいます。
でも、弁護士会としては、いろんな議論をした上で、反対の態度をとることになりました。
— 札幌弁護士会だけが反対しているんですか?
神保:いえいえ、札幌だけじゃなく、全国のすべての弁護士会が反対の態度をとっているんです。全国各地で、弁護士会が主催する大規模な集会が開かれたりもしたんですよね。
弁護士だけじゃなく、日本全国の憲法学者の方々が反対の声明を挙げたり、元裁判官の方々も反対の声を挙げていましたね。
ほかにも、マスコミ関係の方、医療関係の方など、様々な分野の方が反対の声を挙げていましたよね。シールズという若者団体は有名ですけど、それを真似たオールズという高齢者の団体もあれば、ミドルズという中年の方々の団体もありました。海外に住んでいた方々で作ったオーバーシーズというのもあれば、ママの会というのもありました。
とにかく、全国各地で多くの方が反対していました。
— 札幌弁護士会の取組は、どのような反響があったのですか?
神保:一番多かったのは、もっと何度もやってほしいというリクエストでした。
弁護士が行うイベントだと、誰でも気軽に参加できるということを何度も言われました。イベントをやったあと、いろんな団体から、メッセージを寄せてほしいとか話をしてほしいというご依頼をいただくようになりました。
私たちとしては、多くの反響をいただくことができたと思っています。
第4 今後の札幌弁護士会の取組、イベント等の予定
— 札幌弁護士会は、今後どのようなことをされる予定なんですか?
神保:実は、いま、海外で活動している自衛隊の方々には、安保関連法は適用されていないんです。でも、この11月に南スーダンへ行く自衛隊の方々には、安保関連法が適用されると言われています。
札幌弁護士会としては、このような安保関連法の適用には反対をしていこうと考えています。すでに9月には、南スーダンに派遣される自衛隊の方々に安保関連法を適用するのに反対する会長声明を発表しています。
そして、そのアピールのために、11月3日、大きなイベントをやろうと思っています。
— どのようなイベントなんでしょうか?
神保:昨年、札幌弁護士会は、6000人以上の方にお集まりいただき、パレードを行いました。そのときと同じような、パレードを行いたいと思っています。いまの予定では、大通西10丁目から、札幌駅へ向かってパレードを行う予定です。そして、そのパレードに先立って、30分ほどの集会をやりたいと思っています。お話いただく方は秘密です。
11月3日というのは、いまの憲法が公布されてからちょうど70年なので、そのタイミングで行います。
文化の日でもありますので、日本の平和文化について考えるべく、ぜひ多くの方にご参加いただきたいと思っています。
— 多くの方が参加してくださるといいですね。
今月は、今年憲法公布70年を記念して、札幌弁護士会憲法委員会からゲストをお招きして、今ホットな憲法の議論や、弁護士会の取り組みについてお伝えしました。
神保さん、今日はありがとうございました。
神保:ありがとうございました。
制作・著作
<エグゼクティブプロデューサー>
弁護士坂口唯彦(札幌弁護士会)
<プロデューサー>
弁護士上田絵理, 弁護士北山祐記(札幌弁護士会)
杉澤洋輝(三角山放送局)
<脚本>
弁護士神保大地(札幌弁護士会)
<出演>
番組MC 田島美穂(三角山放送局)
ゲスト 弁護士神保大地(札幌弁護士会)
<監修>
弁護士上田絵理,弁護士山田敬純,弁護士佐藤敬治(札幌弁護士会)
<初回オンエア>
平成28年10月11日