周波数 | 三角山放送局 76.2MHz「トークinクローゼット」内コーナー |
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放送時間 | 毎週火曜日 AM 9:15~ |
札幌弁護士会広報委員会が昨年7月からお送りしている「札幌弁護士会の知恵袋」。
10月の月間テーマは「憲法公布70年に寄せて」です。
札幌弁護士会「憲法委員会」の精鋭3名が4週にわたり憲法や委員会での活動について説明していきます。
10月の最終週は、憲法委員会での大きな活動の一つである憲法に関する教育活動に熱心にかかわられている伊藤絢子弁護士の登場です。
伊藤絢子弁護士からは、中学生・高校生など若い世代に向けて、どのように憲法を伝えているのかについて、お話させていただいています。
ぜひ、お聞きください。
放送日 | 2016年10月25日 |
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ゲスト | 伊藤絢子弁護士 |
今週の放送 キーワード |
①日本国憲法 ②公布70周年 ③18歳選挙権 ④中高生 ⑤憲法出前授業 |
— 今日も始まりました「札幌弁護士会の知恵袋」。
札幌弁護士会の弁護士が今日も熱く語ります。
今月は「憲法公布70周年に寄せて」と題して、札幌弁護士会憲法委員会の弁護士をゲストにお招きしています。
今日のゲストは伊藤絢子(いとうあやこ)さんです。
伊藤:皆さんこんにちは。札幌弁護士会憲法委員会の伊藤絢子です。宜しくお願いします。
第1 中高生に憲法を伝える取り組み
— さて、今年は日本国憲法公布から70周年を迎えることを記念して、前回まで3回に渡り札幌弁護士会憲法委員会の皆さんとともに憲法をめぐるホットな話題をお届けしてきました。
最終回の今回は、中学生・高校生など若い世代に向けて憲法を伝える取組みをテーマにお届けします。
札幌弁護士会憲法委員会には「中高生PT」と呼ばれるプロジェクトチームがあるそうですね。
伊藤:はい。札幌弁護士会憲法委員会では、中高生憲法教育プロジェクトチームを中心に、中学生や高校生など若い世代に憲法を伝え、憲法を一緒に考える取組みを続けてきました。
— 具体的にはどのような活動をしているのですか。
伊藤:これまで私達が続けてきた取組みは大きく分けると2つです。
ひとつは私達が中学校や高校へ出掛け、教室や体育館で憲法を伝える「憲法出前授業」、もうひとつは、毎年3月に参加者を募って札幌弁護士会館で開催している中高生のための憲法講座です。
第2 憲法出前授業
— まず、憲法出前授業とは何ですか。
伊藤:私達弁護士が中学校や高校に出向いて、憲法をライブでお届けします。様々なテーマで憲法を語り、できるだけ分かりやすく伝えるとともに、憲法を一緒に考える授業をお届けしています。
— 伊藤さんも憲法出前授業を行ったことがありますか。
伊藤:はい、私も何度も出前に出かけ、生徒さんの反応をダイレクトに感じながら憲法を伝え、一緒に考えてきました。
— 憲法、というと中学校や高校時代のテスト前に憲法前文(前の文ですね)を必死に暗記した記憶があって、内容も何となく難しそうで身構えてしまいます。
憲法出前授業ではどんなお話をするのですか。
伊藤:そうですね、一見難しそうなイメージがあるかもしれませんね。普段の生活の中で憲法を意識することはほとんどないかもしれません。でも、実は憲法は私達の人権を守る重要な役割を果たしているのです。
出前授業では様々な切り口から憲法をお伝えしています。
例えば時事問題から憲法を考えることもあれば、いずれ社会に出たときのために知っておいてほしい労働法を切り口に憲法についてお話しすることもあります。
特に今年から選挙権年齢が18歳以上に引き下げられましたから、選挙を切り口に、民主主義とは? 憲法とは?というお話もしてきました。
なるべく生徒の皆さんが睡魔に襲われないように、身近な問題を糸口に憲法を考える授業にしたいと思っています。
時には、弁護士の仕事内容を紹介することもあります。
— 生徒さんの反応はどうですか。
伊藤:初めは「憲法」と聞いて身構えていた生徒さんも、次第に素朴な疑問をぶつけてくれたり、自分の意見を発表してくれたりします。若々しいエネルギーが感じられて、授業を行う方にとっても楽しい時間です。
— 出前授業は中学校、高校が対象ですか。
伊藤:はい、もともとは高校への出前授業を始めたのがきっかけですが、その後、中学校にもお邪魔するようになりました。
最近では小学校や、大学にも出かけて憲法を語っています。
— 小学校もですか。
伊藤:はい。憲法を知り、考えることは、小学生にも十分できます。
例えば、多数決でどんなことでも決めてしまっていいのか、多数決で奪ってしまってはいけない少数者の権利があることや、少数意見も大事にしなければいけない、などということを一緒に考えながら、憲法がどのように一人ひとりの権利を守ろうとしているかお話をしたりします。
— 楽しそうですね。出前授業は随時申込可能なのですね。
伊藤:これまでに実施したことのない学校での実施も大歓迎です。テーマは希望するテーマをお伝えいただいても、おまかせでもどちらでも対応できます。
ぜひお気軽に札幌弁護士会までお声掛けいただけたら嬉しいです。
私達は、より多くの児童、生徒、学生の皆さんと直接憲法を語り合うことを楽しみにしています。
第3 中高生のための憲法講座
— では、中高生のための憲法講座とは何ですか。
伊藤:中高生のための憲法講座は、毎年3月に弁護士会館で開催しているもので、弁護士が教材を手作りし、参加する生徒さんにじっくり憲法を考えてもらう講座を展開しています。教材は、若手の弁護士が中心となって、中高生が興味をもってくれそうなテーマを選び、どのように憲法を伝え、議論するか真剣に検討を重ねて作成しています。
— どのような内容の講座なのですか。
伊藤:例えば、今年の3月には18歳選挙権がスタートすることを前に、選挙や民主主義を考える授業を行いました。授業の中では、実際に投票箱を使用して模擬投票を行ったり、選挙が終わった後にはどのように私達の意見を政治に反映させることができるかを議論したりしました。
このほか、これまでには、刑事弁護をテーマに「弁護士はなぜ『悪いことをしたひと』を弁護するのか」を考えたり、憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活」や生存権とは何かを考えたり、表現の自由はなぜ保障されなければならないのかを考えたりしてきました。
第4 憲法作文コンクール
— なるほど。いろいろな切り口がありますね。
さて、今年は憲法公布70周年を記念して、今までにはなかったイベントを企画しているそうですね。
伊藤:はい、そうなのです。
札幌弁護士会としては初めて中高生を対象とした憲法作文コンクールを企画しています。題して「北海道中高生憲法作文コンクール」です。
北海道の中学生、高校生を対象に、「わたしと憲法」をテーマとした作文を募集します。
日本国憲法公布から70周年を迎える今年、巷では憲法をめぐっていろいろな議論が交わされています。では憲法って私達の生活とどのように関わっているの?ということをじっくり考えてほしいのです。
— 憲法にまつわる作文、というと何だか大変そうなイメージですね。
伊藤:難しく考える必要はありません。「憲法」と聞いて思い浮かべること、憲法を身近に感じた経験、身近な人から憲法について聞いたこと、感じたことなど、憲法にまつわる体験や憲法についての考えを自由に書いてもらいたいと思います。
— 難しく考えなくていいのですね。
応募方法はどのようにしたらいいですか。
伊藤:来年2017年2月10日必着で札幌弁護士会「憲法作文コンクール係」宛てに郵送でご送付ください。
入賞作品には賞品も用意します。憲法作文コンクールの詳細な内容、応募方法などについては11月頃に札幌弁護士会のホームページでお知らせする予定です。
— たくさんの応募を期待したいですね。
伊藤:はい。ぜひ奮ってご応募ください。お待ちしています。
第5 若い世代に伝えたいこと
— さて、今日お聴きした様々な機会に、若い世代へ憲法を伝える取組を続けてきたとのことですが、どのような思いで活動に取り組んでいますか。 若い世代にはどのようなことを伝えたいですか。
伊藤:これからの社会をつくるのは若い世代です。
私達の活動を通じて、これからの主権者となる若い世代に、ぜひ憲法を知ってほしいと考えてきました。そして、憲法が一人ひとりの違いを認めながら、一人ひとりをかけがえのないものとして尊重していることを伝えたいのです。
それから、憲法は権力の横暴に歯止めをかけるものという憲法の根本の考え方を知り、主権者の一人としてぜひ社会に興味を持ち、自ら考え、行動してほしいと思っています。
一見難しいイメージを持たれがちな憲法ですが、できるだけ分かりやすく、より深く、より面白く伝えたいと思います。
— これからも取り組みが広がるといいですね。
今月は、今年憲法公布70年を記念して、札幌弁護士会憲法委員会からゲストをお招きして、今ホットな憲法の議論や、弁護士会の取り組み、若い世代へ憲法を伝える最前線のお話をお伝えしました。
伊藤さん、今日はありがとうございました。
伊藤:ありがとうございました。
制作・著作
<エグゼクティブプロデューサー>
弁護士坂口唯彦(札幌弁護士会)
<プロデューサー>
弁護士上田絵理, 弁護士北山祐記(札幌弁護士会)
杉澤洋輝(三角山放送局)
<脚本>
弁護士伊藤絢子(札幌弁護士会)
<出演>
番組MC 田島美穂(三角山放送局)
ゲスト 弁護士伊藤絢子(札幌弁護士会)
<監修>
弁護士上田絵理,弁護士山田敬純,弁護士佐藤敬治(札幌弁護士会)
<初回オンエア>
平成28年10月25日