周波数 | 三角山放送局 76.2MHz「トークinクローゼット」内コーナー |
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放送時間 | 毎週火曜日 AM 9:15~ |
札幌弁護士会広報委員会が昨年7月からお送りしている「札幌弁護士会の知恵袋」。
11月の月間テーマは「弁護士になろう!」です。
札幌弁護士会のフレッシュな弁護士5名が、5週にわたり、弁護士になるまでの道のりや、それに対して札幌弁護士会でどのようなサポートをしているかについて説明していきます。
11月の第1週目は、土田史弁護士に担当いただき、「法科大学院とは何か」というテーマで、法科大学院がどのような制度か、土田弁護士が法科大学院でどのようなことを学び、生活してきたかについてお話しいただいています。受験勉強中のストレス発散の方法についても紹介されています。
ぜひ、お聞きください。
放送日 | 2016年11月1日 |
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ゲスト | 土田史弁護士 |
今週の放送 キーワード |
弁護士、法科大学院、未修、既修、司法試験、受験資格 |
— はい、今週も「札幌弁護士会の知恵袋」の時間がやって参りました。今週から「法科大学院とは何か」というテーマで放送します。
ゲストは、札幌弁護士会に所属の土田史(つちだふみと)さんです。
土田:よろしくお願いします。
— 今回は「法科大学院とは何か」という内容なのですが、まずは土田さんの自己紹介をお願いします。
土田:私は、中央大学法科大学院を卒業して、昨年の12月に札幌弁護士会に登録しました。弁護士になってまだ1年目の新人です。札幌弁護士会で法科大学院支援委員会に所属しています。今日は、法科大学院について、そもそもどのような学校なのかを、私の中央大学法科大学院での経験を踏まえて、法科大学院を良く知らない方々にもわかるように、お話しさせていただけたらと思います。
第1 法科大学院とは
— では早速ですが、法科大学院とはどのような学校なのでしょうか?
土田:法科大学院というのは、法曹に必要な学識及び能力を養うことを目的とする専門職大学院です。
法曹というのは、裁判官、検察官、弁護士のことで、法科大学院は、裁判官、検察官、弁護士になるために必要なことを学ぶ大学院です。
— なるほど。その法科大学院は何年くらい通うんですか?
土田:2年間又は3年間です。
法科大学院には、二つのコースがあります。
一つは未修というコースがあります。未だ修めていないと書くのですが、このコースは、3年間で卒業するコースになります。
もう一つは既修というコースがあります。既に修めていると書くのですが、このコースは2年間で卒業するコースになります。
法科大学院の標準としては未修の3年となっているのですが、入学試験で、受験生が受験した法科大学院から、法律がある程度分かっていて、既修コースの水準にあると認められた場合、1年目のカリキュラムは履修せず、2年間で卒業できるようになっています。
第2 法科大学院と司法試験の関係
— 法曹になるには、司法試験を合格する必要があるように思うのですが、司法試験と法科大学院の関係はどのようになっているのですか?
土田:司法試験を受験するには、受験資格が必要なのですが、法科大学院を卒業すると、司法試験の受験資格をもらえるようになっています。
今は、法科大学院という制度ができてずいぶん経っているせいか、多くの若手弁護士が法科大学院を卒業していて、弁護士になったばかりの新人弁護士なんかは、自己紹介などで、自分の法科大学院がどこかを言う機会も多いですね。
— 司法試験の受験資格を得るには、必ず、法科大学院を卒業しなければならないということですか?
土田:いえ、司法試験の受験資格を得るには、法科大学院を卒業するという方法もありますが、それ以外にもありまして、予備試験に合格すると司法試験の受験資格が得られますので、予備試験の合格を狙うという方法もあります。
ただ、予備試験は、まだまだ予備試験の合格者の枠が少なく、多くの人が法科大学院を卒業して司法試験を受験している印象です。
第3 法科大学院での勉強
— 法科大学院では、実際にどのような事を勉強するのですか?
土田:まず、基本六法の勉強が中心です。六法というのは、憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、あと、行政法ですね。私の卒業した中央大学法科大学院では、憲法Ⅰ、憲法Ⅱとか、民法Ⅰ、民法Ⅱなんていう名前の授業がありましたね。
あと、選択科目の勉強もあります。労働法、倒産法、知的財産法、経済法、租税法、環境法、国際私法、国際公法などから、一つ選んで勉強するのです。
これらは司法試験の受験科目と一致していて、法科大学院での勉強が、司法試験の受験科目という関係になっています。
— なるほど。司法試験の受験科目だけを勉強するのですか?
土田:いえ、受験のためだけの勉強以外にもいろいろありますよ。
法曹になった後に必要になる知識を学ぶ授業もあります。例えば私は、ローヤリングという授業で、模擬法律相談をして、法律相談の練習ですね。この授業で、現役の弁護士にどのように聴き取ったら良いかアドバイスをもらったりしました。
他にも、法律文書作成の授業もあって、架空の事案を元に内容証明を書いてみたり、契約書を書いたりしました。
あと模擬裁判という授業もありました。模擬裁判の授業は、学生たちが裁判官役、検察官役、弁護士役に分かれて、実際に裁判をやってみる授業です。
このような授業では、座学で頭に入れた知識が、実際にはどのように使われているかを体験させてもらいました。
— なるほど。必ずしも座って勉強する(座学)だけではないのですね。
土田:はい。他にも、特に選べば関心のあるテーマを勉強することもできます。
— どのようなものがありますか?
土田:例えば、私は、授業の名前は忘れてしまいましたが、子供の権利を考える授業があって、児童虐待防止法を勉強したり、実際に児童相談所や児童福祉施設に行ったりしました。新宿にある児童福祉施設は施設内に公園があって、そこで子供たちが遊んでいるのを見てきたりしました。
これは、私が法科大学院に入学前には教育学部にいて、児童虐待について考える授業もいろいろ取っていたんです。その延長というか、法律という視点でもう一回考えたいと思ったので取りました。
— そうなんですね。他には何か関心を持った授業がありますか?
土田:はい、全く司法試験に関係しませんが、入管法の勉強もしました。入管法というのは、出入国管理及び難民認定法というちょっと言いにくい法律なのですが、ざっくりとイメージだけで言うと、主に日本に来る外国人がどのような手続をすれば良いのか定めた法律です。
この授業は、私が東京の高田馬場に長く住んでいて、この高田馬場という町には、ミャンマー人の方が多かったんですね。ミャンマー料理屋とかも結構ありまして、自然とロヒンギャの問題、あ、ミャンマーで迫害されている民族なのですが、そのような問題にも関心をもつようになったんです。それで取ってみました。
— なるほど、司法試験の勉強だけじゃないのですね。
土田:そうですね。少し、私の場合、興味関心ごとに走りすぎたかもしれませんが。
第4 法科大学院での日常生活
— 法科大学院では、授業以外には、どんな日常生活だったんですか?
土田:中央大学では、自習室が一人一人に割り当てられていて、そこで結構夜遅くまで毎日勉強していた気がします。法科大学院によって自習室の割り当てとか、どのような自習室かは結構バラバラなので、自分が卒業した中央大学のことしか経験していないのですが、自習室が深夜0時までやっていたので、テスト前とかは、夜の11時過ぎても結構人が残っていたりしましたね。入学した直後は、ストイックな人たちの中に入ってしまったとプレッシャーを感じていました。付いていくのに必死だった記憶があります。
— なかなか大変そうなところなのですね。
土田:そうですね。普通の大学では、ある程度遊ぶつもりで行くのが良いかもしれないですが、法科大学院の場合は、卒業したら司法試験が待っているということもあって、競争の中に飛び込むという意識が強い人が多かった印象です。
そんな中で勉業すると緊張感もありましたが。
— 授業と自習以外には何かありますか?
土田:私は学校の友人たちとゼミを組んで勉強していました。
— ゼミですか。それは何をするのですか?
土田:一言で言うと、勉強会ですね。
気の合う友人と一緒に曜日と時間を決めて、勉強していました。
— どんな勉強をしていたのですか?
土田:いろいろやりましたが、例えば、司法試験の過去問を一緒にやったりしていました。司法試験には論文試験があって、一人で2時間とか3時間とか書いていると私の場合、途中でさぼりたくなったりするんで、一緒にやってました。みんなで一緒にやれば、途中でさぼれないですからね。書いて、お互いに検討する作業もしました。
他には、判例百選の検討会もしました。基本六法と選択科目、私は労働法だったのですが、それらの法律には、判例百選という、重要な判例をまとめた本があるんです。それをみんなで読み込んで、司法試験にどのような形で出題されるかを検討する、みたいなことをやっていました。これも、一人で作業していたら予定通り終わらなかったり、延々とやってたら気が滅入ってきたりするので、みんなで集まって、その都度順番にきちんと頭に入れて行くということをやっていました。やっぱり、途中でさぼらないみたいな意味が私の中ではありましたね。あと、どうしても科目ごとにそれぞれゼミのメンバーが得意不得意があって、得意な人の発言を聞いて、自分の見落としや、理解の甘さを確認したりしていました。
第5 法科大学院で行っていた趣味
— 毎日勉強ばかりで大変そうですね。法科大学院では息抜きとかはしなかったのですか?
土田:いえ、飲み会とかも定期的にありましたし、勉強で疲れたときには、友人としゃべっていたり、遊んでいました(笑)
— 遊ぶって何をするのですか?
土田:私は、学校の屋上でボクシングをしていました。
— ボクシングですか?
土田:はい、私は以前ボクシングをやっていた時期がありまして、今でも好きなスポーツなんですけど、中央大学法科大学院の学生で、ボクシング経験者が割といたものですから、ミット打ちやら、軽いマスボクシングなんかをして汗を流していました。
— ボクシング経験者ってそんなにいるものなんですか?
土田:中央大学法科大学院は学生数が多いので、偶然かもしれませんが、けっこう多かったですね。他にも空手をやっていたり、何かしら格闘技をやっている人も一緒に遊んでいました。
お互いに声を掛け合って、「ちょっとパンチを受けてくれないか?」みたいにして始まることが多かったですね。だいたい論文を上手く書けずに苛々している時が多かったです(笑)苛々している時のパンチはちょっと荒くなるので、ミットでパンチを受けているとすぐに分かります。30分とか1時間とかミットに八つ当たりして、すっきりして、汗を拭いて、また自習室に戻るみたいなことをしていました。
— すっきりしそうですね(笑)
土田:はい(笑)今では良い思い出です。
— 土田先生、ありがとうございました。
そろそろお別れに時間が近づいてきました。
次回も引き続き法科大学院についてのお話と伺っております。
それでは次回もよろしくお願い致します。
札幌弁護士会の知恵袋は、札幌弁護士会のホームページで過去の放送分をテキストで見ることができます。また、音声でも聞くことができます今日の放送で聞き洩らした部分があるという方はぜひチェックしてください。
進行は田島美穂(タシマミホ)でした。
制作・著作
<エグゼクティブプロデューサー>
弁護士坂口唯彦(札幌弁護士会)
<プロデューサー>
弁護士清水勝裕、弁護士北山祐記、弁護士髙橋健太、弁護士村本耕大(札幌弁護士会)
杉澤洋輝(三角山放送局)
<脚本>
弁護士土田史
<出演>
番組MC田島美穂(三角山放送局)
ゲスト弁護士土田史(札幌弁護士会)
<監修>
弁護士上田絵理、弁護士山田敬純、弁護士佐藤敬治(札幌弁護士会)
<初回オンエア>
平成28年11月1日