周波数 | 三角山放送局 76.2MHz「トークinクローゼット」内コーナー |
---|---|
放送時間 | 毎週火曜日 AM 9:15~ |
弁護士の日常について
第2、今週のテーマ
弁護士の日常 その2
第3、目次
(1)「軒弁」とは?「イソ弁」とは?
(2)弁護士事務所の経営について
放送日 | 2017年8月8日 |
---|---|
ゲスト | 見野彰信 弁護士、山口治香 弁護士 |
今週の放送 キーワード |
弁護士,日常業務,法律事務所,軒弁,イソ弁、事務員,プライベート,弁護士事務所の経営 |
―はい,今週も「札幌弁護士会の知恵袋」の時間がやって参りました。
今回は,「弁護士の日常について」というテーマで放送します。
ゲストは札幌弁護士会に所属の見野彰信(けんのあきのぶ)さんと山口治香(やまぐちはるか)さんです。
見野・山口:よろしくお願いします。
―今回は,前回に引き続き弁護士の日常についてのお話ということですが,まずは,見野先生の自己紹介をお願いします。
見野:私は,札幌弁護士会に所属しております見野彰信と申します。私は弁護士18年目です。私は,現在札幌市中央区で法律事務所を開設しております。今日は,弁護士業を経営の観点も絡めてお話しできたらと思います。
―見野先生は,18年も弁護士をなさってらっしゃるんですか!ずいぶんお若く見えますがご年齢をお伺いしてもよろしいでしょうか。
見野:43歳です。
―43歳ですか。そう言われると不思議と年相応に見えてきますね。見野先生は年齢不詳ですね(笑)。
見野:良く言われます。
―ありがとうございます。山口先生は,前回に引き続きご登場ですが,女性に年齢を聞くのは止めておきます(笑)。でも,とってもお若いですよね。
改めて,簡単に自己紹介を頂けますか。
山口:私は札幌弁護士会に所属しております山口治香と申します。私は,弁護士になって4年目です。先輩の見野先生とご一緒して頂きまして,とても緊張しております。
―確かに,前の週とは打って変わって,緊張が見えますね(笑)。
第1 「軒弁」とは?「イソ弁」とは?
―さて,前回に引き続き,弁護士の日常業務と言うことで,普段弁護士さんがどんな仕事をやっているのかということですが,折角,いわゆるボス弁の見野先生がいらっしゃっているので,見野先生に早速お話しをお伺いします。
見野先生の事務所は,どのような体制なのですか。
見野:私の事務所は,現在は弁護士1名,事務員1名の2人体制です。
弁護士,いわゆる軒弁を雇っていた時期もありましたが,現在,弁護士は私一人ですね。
―「軒弁」という言葉が出てきましたが、「軒弁」とはどのような意味ですか?
見野:「弁護士事務所の軒先を貸す」という意味ですね。弁護士として一緒に事務所で働いてもらうんですが,基本的に,毎月決まった給料を事務所から支払うわけではなく,その弁護士の売上げが自分の収入になるという形です。もちろん,その弁護士も事務所のスペースを使ったり,事務所の職員さんを使ったりするわけですから,毎月一定額の経費を事務所に入れてもらうことが多いと思います。また,弁護士になりたてのような場合には,その弁護士も売上げが多くないこともありますので,一定金額までその事務所が本人の収入を保証するような形もあります。
―弁護士さんの働き方にも色々とあるのですね。
見野先生はどのようなジャンルの仕事が多いのですか?
見野:普段取り扱っている仕事はさまざまなのですが,離婚とか相続とか,家庭の問題と取り扱うことが多いかもしれませんね。その他にも,逮捕された人を弁護する刑事弁という仕事や,会社のご相談に乗ったり,会社の代理人として活動したりといった,会社関係の仕事もしています。
―見野先生は,お一人で経営していらっしゃるとのことですが,不安のようなものはありませんか。
見野:もちろん,不安なこともあります。難しい事件や悩ましい事件のご相談やご依頼があったとき,もう一人でも弁護士がいれば,その弁護士にぱっと相談したり,一緒に事件をやってもらえたりするでしょうが,今は弁護士が私1人の事務所ですので,そう簡単にはいきません。
ただ,事件の相談などは,気軽に相談することができる同期の弁護士もいます。場合によっては,私と共同で事件を受けてもらうこともできますので,そこまで不都合はないかもしれませんね。
―そうなんですね。でも,事件のことを相談したら実は紛争相手の弁護士だったとか,自分が今どんな事件を手がけているか,事務所の内情を知られてしまうんじゃないかと不安になったりしませんか。
見野:まず,最初の点からお答えしますと,相談する際には「○○っていう会社と関係ありますか?」とか「○○さんって人から相談受けたりしたことありますか?」と確認を取ります。そこで利害関係が分かれば,それ以上の話はしません。
山口先生はどうしてますか?
山口:私も基本的には,見野先生と同じです。特に,私はイソ弁なので,個人で受任した事件ではなく,事務所で受任した事件に関しては,外部の先生には相談しないようにしています。もっとも,私には,所長や先輩弁護士がおり,気軽に相談できる環境がありますので,苦労したことはありません。
―今、「イソ弁」という言葉が出てきましたが、さきほど出てきた「軒弁」とは、また少し意味が違うのでしょうか?
山口:はい,「イソ弁」とは居候弁護士の略ですが,先ほど話に出た「軒弁」とは違って,基本的に,毎月決まった給料が,その事務所から支払われるという形です。会社の社員さんに近い感じで,自分が担当する事件のうち,事務所で受任した事件の割合が多くはなりますが,毎月決まった額の給料をいただけるので,経済的には安心できます。
見野先生は,お一人でやっていらっしゃるので,本当に大変なことと思います。
見野:まあ,そうでもないんですけどね(笑)。
次に,事務所の内情を知られてしまうんではないか,との点ですが,もちろん親しき仲にも礼儀ありですから,いくら信頼している十何年来の付き合いがある同業者でも,すべてを明かすことはしません。それは,お互いにそうだと思います。
ただ,一方で,これはお互いそうなんですが,事件のことを相談し合うような仲ですから,とても強い信頼関係があります。ですから,実際のところ経営に関しては,ここまでは話して良い,ここまでは話してはいけないとは,余り難しく考えていないというのが本当のところですかね。
むしろ,気をつけているのは,依頼者の個人情報や企業の経営情報を話さないようにすることです。
―なるほど。札幌の弁護士さんはお一人や少人数で経営されている方も多いと聞きますが,事務所の枠を越えた横のつながりが強いんですね。
見野:そうですね。それは,札幌弁護士会の大きな強みだと思います。
第2 弁護士事務所の経営について
―なんか良いですね(笑)。見野先生は,どのような形で1日お仕事をされているのですか。
見野:その日によってさまざまなのですが,朝9時頃に事務所に来て,メールをチェックしたり,その日の仕事の準備をしたりします。10時頃から裁判所に行ったり,お客様のご相談を聞いたり,すでにご依頼いただいているお客様と打ち合わせをしたりしていて,あっという間に夜になります。夜は書類を作ったり,弁護士会の活動に参加したりしています。札幌市内の仕事だけで1日が終わることもありますし,札幌市外の,例えば函館とか旭川とかに出張に行くこともあります。家に帰るのは大体夜9時か10時頃でしょうか。
―聞いているだけでも大変な気がします。
山口先生,今,見野先生の働き方をお聞きになって,やはり現在の事務所の所長さんとは,色々違うものですか。
山口:そうですね。共通する部分もありますし,まったく違うところもあります。
ただ,見野先生もご自分のやりたい仕事をできていらっしゃるようなので,そこは私の事務所の所長と同じかなと思います。この仕事の醍醐味ですよね。
私は,今の事務所に何の不満もありませんが,見野先生のお話を聞いて,経営していくって本当に大変なことだということを痛感しました。明日,所長の肩でも揉もうかと思います(笑)。
―そうですね,経営って本当に大変ですよね。ところで,見野先生は先ほど事務職員さんが1名というお話しをされていましたが,その方は,弁護士会から斡旋されたりしたのですか。
見野:いえ,私の場合は,求人情報が載っている雑誌に載せて応募しました。結構な人数の応募があったのですが,その中から最終的には面接をして1人に決めました。そのとき採用した事務職員は,私のところで仕事をして10年以上になるのですが,非常に良く働いてくれて助かっています。
―そうですか。良い事務員さんなんですね。ところで,見野先生は,休日はどう過ごされているんですか。前回の山口先生と菊地先生は,なかなか大変のようですが(笑)。
見野:そうですね。私も若手の頃は,お二人くらい働いていたような気もします。大分昔のことなので忘れてしまいましたが(笑)。
今は,平日に遅くまで仕事をする分,休日は意識して休むようにしています。経営者という立場なので,ある程度時間の融通はききますが,逆に,私の代わりの弁護士がいないので,休日のご相談を希望されるお客様にも自分で対応しないといけないですね。
―ちなみに,山口先生や菊地先生は,同業の弁護士の先生方と飲みに行く機会も多いと仰っていましたが,見野先生は如何ですか。
見野:そうですね・・・割と同業者が多いかも知れません。
ただ,結婚してからは家のこともやりますので,飲みに行く回数自体減ってしまいましたね。
本音を言えば,もう少し,山口先生や菊地先生のような若手の先生ともう少しお酒を飲む機会をもって,最近の若手事情のようなものを知りたいんですが(笑)。
山口:是非とも宜しくお願い致します(笑)。
でも,見野先生が素晴らしいイクメンだということは聞いておりますので,家事育児の邪魔にならない程度で(笑)。
―今回も楽しいお話をありがとうございました。
さて,本日の札幌弁護士会の知恵袋は以上になります。札幌弁護士会の知恵袋は,札幌弁護士会のホームページで過去の放送分をテキストで見ることができます。また,音声でも聞くことができます。今日の放送で聞き漏らした部分があるという方はぜひチェックしてください。
進行は田島美穂(たしま みほ)でした。
制作・著作
<エグゼクティブプロデューサー>
弁護士坂口唯彦(札幌弁護士会)
<プロデューサー>
弁護士北山祐記、弁護士髙橋健太、弁護士村本耕大(札幌弁護士会)
杉澤洋輝(三角山放送局)
<脚本>
弁護士見野彰信、弁護士山口治香(札幌弁護士会)
<出演>
番組MC 田島美穂(三角山放送局)
ゲスト 弁護士見野彰信、弁護士山口治香(札幌弁護士会)
<監修>
弁護士上田絵里、弁護士山田敬純、弁護士佐藤敬治(札幌弁護士会)
<初回オンエア>
平成29年8月8日