広報委員会札幌弁護士会では、１０月１０日（金）１８：３０～、かでる２・７大ホール（札幌市中央区北２条西７丁目）で、「迷走する集団的自衛権と日本の民主主義」と題した市民集会を開催します。
この集会の内容や、アピールポイントなどについて、企画担当者である札幌弁護士会憲法委員会の成田悠葵弁護士にインタビューしました。
札幌弁護士会憲法委員会 成田悠葵 弁護士
———今回の企画の概要を教えてください。
「迷走する集団的自衛権と日本の民主主義」と題した市民集会です。題名からお分かりと思いますが、集団的自衛権の問題を取り上げます。
今回は講師に柳澤協二さんをお招きし、講演を頂いた後、質疑応答で議論を深めていきます。
柳澤さんは、これまで内閣官房副長官補などを務め、日本の安全保障・危機管理を担当してこられましたが、現在は、安全保障の専門家の立場から、集団的自衛権行使容認に反対されています。
———この時期にこのような内容の企画を立案したのはなぜでしょうか？
今年７月１日に集団的自衛権の行使を容認する閣議決定がなされました。これまでの政府の憲法解釈では集団的自衛権の行使は否定されてきました。
今回の閣議決定は、これまでの政府解釈を大きく変更するもので、憲法に定められた平和主義の中身を大きく変容させるものです。近い将来、この閣議決定を実現するために、防衛に関する法律の制定や改正が行われることは明らかです。
集団的自衛権については、私たちの国のあり方を大きく変えるものであることから、テレビや新聞といったメディアで大きく取り上げられ、国民の大きな関心事となっています。
そうした流れの中で、そもそも集団的自衛権とは何なのか、私たちの生活とどう関わってくるのか、なぜ今集団的自衛権が“必要”と言われているのか、集団的自衛権を行使することによって他国の戦争に巻き込まれる危険はないのか、集団的自衛権で国際問題は本当に解決できるのか、他に国際的な紛争を平和的に解決する方法はないのか、国のあり方に関する重大な問題が時の政府の閣議決定だけで変えられてよいのか、などなど数々の疑問が頭に浮かんでくるかと思います。
弁護士会としては、こうした疑問を市民の皆さんと一緒に考える機会を持つ必要があると考え、今回の企画を立案することになりました。
———今回の企画のアピールポイントはどこですか。
柳澤協二さんというビッグな講師をお迎えするということです。柳澤さんは、現在、「国民安保法制懇」の一員として日本全国で引っ張りだこです。
ここで、国民安保法制懇について紹介しておきましょう。
国民安保法制懇は、「憲法解釈の変更により集団的自衛権の行使を容認することは立憲主義を破壊する」として、これに反対している団体です。ネーミングからもわかるとおり、安倍首相の下で安全保障問題を検討する「安保法制懇」に対抗する団体です。国民安保法制懇は、さまざまな経歴と専門分野を持つメンバーがおり、全国各地で講演や著書の出版など精力的に活動されています。
柳澤さんは、これまで政府の中枢に、しかも、第１次安倍政権時にも、安全保障・危機管理の中枢にいた方です。そうした方が、憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使を容認する動きを批判し、反対している理由を、鋭く分かりやすく語っていただきたいと思います。
これまで、集団的自衛権が議論される場合、「国際法で認められているのだから行使できないのはおかしい」といった意見や、架空の事例を想定した上で「その事例で自衛隊が何もできないのはおかしい」といった意見が出されるなど、感覚や印象による議論が行われてきた節があります。
しかし、この問題は、集団的自衛権の行使を認めなければならないほどの問題が現実に起こっているのか、集団的自衛権を行使すると具体的にはどのような事態が生じるのかなど、地に足の着いた議論をする必要があるのではないでしょうか。そうしたとき、安全保障に精通されている柳澤さんをお招きすることで、より具体的・現実的に集団的自衛権の真相に迫るお話が聞けると考えています。
———最後に、ウココロWebをご覧のみなさんへのメッセージをお願いいたします。
集団的自衛権というと、実際に現場へ行くのは自衛隊員だし、自分達にはあまり関係がない、と思われていた方も多いかと思います。
しかし、この問題は、今、目の前に、すぐそこにあるのではないでしょうか。そして、集団的自衛権のメリットもデメリットも、私たちの生活や安全に直結する問題なのではないでしょうか。これからの私たちの国をどのような国にするのか、私たちの子どもや孫の世代にどのような国を残すのか、真剣に考えなければならない時が来ています。
難しい問題ですが、今回の集会が、私たちの国のあり方をみなさんと一緒に考えるきっかけ、材料のひとつとなれれば幸いです。
集会は参加費無料、事前申込不要ですので、ぜひご参加ください！
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