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2014/09/10

9月13日開催「日弁連人権擁護大会プレシンポジウム」のご案内

広報委員会

平成26年9月13日(土)午後2時から5時まで,札幌市教育文化会館(札幌市中央区北1条西13丁目)講堂で,日弁連人権擁護大会プレシンポジウム(札幌弁護士会,北海道弁護士会連合会,日本弁護士連合会共催)が開催されます。シンポジウムのテーマは「精神障害者の地域生活移行とその課題」,タイトルは「社会的入院の解消と地域で暮らす権利の実現に向けて」です。

今年10月2日,第57回日弁連人権擁護大会(函館)で「障害者権利条約の完全実施を求めて」というテーマのシンポジウムが開催されます。本シンポジウムは,これに先駆けて開催されるものです。

今回は,札幌弁護士会の高齢者・障害者支援委員会の副委員長であり,同シンポジウム実行委員長である齋藤健太郎弁護士に,インタビューを行いました。

札幌弁護士会の高齢者・障害者支援委員会の副委員長、同シンポジウム実行委員長 齋藤健太郎弁護士

———シンポジウムのテーマとして「精神障害者の地域生活移行とその課題」が選ばれた理由は何ですか

精神保健福祉法には,近親者の要請によって、精神障害者の方の意思に反して強制的に入院をさせるという制度があります。この制度は,一部の急性期の患者の治療に必要な面もありますが,実質的には精神障害者の方を身体拘束するに近いものがあり,正しく運用されないと人権侵害となるおそれもあります。

一方,日本は,世界的にも,精神科病院の入院患者の人口比率が高く,また入院の期間も長く,さらに,北海道,札幌地区は,全国でも,精神科病院の病床数が多いという現状があります。

このことから,日本,なかでも,北海道,札幌地区には,医療的に入院の必要がないにもかかわらず,身寄りがないなどの社会的理由によって精神科病院に入院せざるを得ない方が少なくありません。

このような社会的理由による入院を少しでも解消するためには,医療制度等を変えるほかにも,地域社会での受け皿が必要となります。

本年1月,日本は障害者権利条約を批准し,精神障害者の権利保護に対する意識の高まりが見られるところであり,精神障害者の方が地域で生活するためのサポートが徐々に形作られつつあります。

このような現状と課題,そして課題を解消するための取り組みを知っていただきたいと考え,テーマを「精神障害者の地域生活移行とその課題」に決めました。

———シンポジウムの内容やポイントを教えてください

まず,冒頭の基調講演では,北海道大学名誉教授の小山司氏からお話いただきます。

次に,看護師や福祉関係者などからなるサポートチームと一体となって精神障害者の地域での暮らしを支援する事業を行っている株式会社north-ACT社長中村慎一氏から,事例報告や現状とその課題についてお話いただきます。

最後に,私がコーディネータを務め,帯広で精神障害者の地域生活移行に携わっておられるおおえメンタルクリニックゆう院長鎌田裕樹氏,中村社長,北海道精神保健福祉士協会副会長佐藤志津氏,ピアサポーターとして同じ精神障害者のサポート活動をされておられる精神障害者の方をパネリストとしてパネルディスカッションを行います。

精神障害者の方が地域で生活することは当然の権利であること,その権利の実現のためにはどのような支援が必要であるのか,そして支援活動の現状と課題を御理解いただけるものと思います。

———最後に記事をご覧の方に一言お願いいたします。

精神疾患はだれもがなりうる病気でありながら,まだまだ日本においては偏見が強いように感じられます。先ほど述べましたとおり,精神保健福祉法に基づく強制入院の制度は実質的には身体拘束であり,誰もがその対象となる可能性があります。さらに,現状のままでは,医療的には入院の必要性がなくても,周囲の社会的要因から精神科病院から退院できない状況(社会的入院)を余儀なくされてしまう可能性が,日本,さらには北海道,札幌地区に住む皆さん全員に秘められています。

精神障害者の方が,精神科病院ではなく,地域生活を送ることのできる方法や制度をみなさんと一緒に考えていきたいと思います。ご参加をお待ちしております。

リンク: 人権擁護大会プレシンポジウムのお知らせ