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2020/10/14

サービス残業は違法です 「未払い残業代」を取り戻せ!:北海道新聞 どうしん電子版

札幌弁護士会

※以下の記事は、北海道新聞社のどうしん電子版に掲載された広告記事となります。
当会が作成に協力したもので、北海道新聞社の許諾を得て掲載しております。

サービス残業は違法です 「未払い残業代」を取り戻せ!

 新年度がスタートし、思いも新たに仕事に取り組む人も多いことでしょう。定時以降や休日まで頑張って働いているみなさん、残業代はきちんと支払われていますか。「お金より、やりがい」「残業は能力不足のせい」などと言いくるめられていませんか。求人の募集案内で、給料が高い!と喜んで応募したら、実は固定残業代が基本給に上乗せされた額だったということはありませんか。
 時間外労働に対する賃金が支払われない「サービス残業」は、れっきとした法律違反です。今回は残業代について、考えていきましょう。

「週40時間、1日8時間」を超えたら
25%割増の残業代が発生

 労働時間には、労働基準法第32条で定められた「法定労働時間」と、法定労働時間の範囲内で会社が定める「所定労働時間」があります。
 法定労働時間は1日8時間・週40時間です。これを超える労働を時間外労働時間と呼び、1時間あたり25%増しの賃金が発生します。
 所定労働時間が1日6時間、7時間などの企業に勤めている場合、法定労働時間の8時間までは法律上、割増の規定はありません。8時間をオーバーした分からは割増賃金の対象となります。ただし、就業規則などで所定労働時間をオーバーした分も割増賃金の対象としている会社も多いです。

1カ月の残業時間どれくらい?

 みなさんは自分が1カ月にどれだけ残業をしているか把握していますか。
 実労働時間が法定労動時間を超えていれば、超えた分が残業時間となります(ただし、休憩時間は含まれないので、注意しましょう)。
 もし残業代がきちんと支払われていなければ、請求するのは労働者の正当な権利。正社員はもちろんアルバイトや契約社員、派遣社員でも請求できます。
 会社がさまざまな理由をつけて残業代を支払わないケースもあります。
 もしこんなことを言われても諦めてはいけません!


「固定残業代を払っているからこれ以上は払わない」

 固定残業代とは、企業があらかじめ1カ月の残業時間を想定して、残業代と残業時間を就業規則などに明記し、固定の残業代を支払うという制度です。
 実際の残業時間が、定められた残業時間(みなし時間)に満たなくても、企業は固定残業代を全額支払う必要があります。
 一方、実際の残業時間が、みなし時間を超えた場合、企業は追加で残業代を支払う義務があります。固定残業代を払っているからと言って、社員にいくらでも残業させていいということではありません。

 固定残業代を基本給に上乗せし、手取り賃金を高く見せかけた求人広告を出す会社もあります。賃金に固定残業代が含まれているか、含まれているなら超過労働分の追加支給などを明記しているか、しっかりチェックする必要があります。


「社員が自主的に残業している」
「仕事が遅いから残業は仕方ない」

 上司の指示を受けずに自発的に残業している場合でも、上司が知っていて、何も言わない場合は、「黙示の指示」と見なされ、残業時間にあたることもあります。
 客観的にみて、残業しなければ仕事が終わらないほどの仕事量や内容を与えた場合も、「黙示の指示」と見なされ、残業時間と認められるでしょう。


「管理職には残業代を支払わなくてよい」     

 労働基準法では「管理監督者」には残業代を払わなくてよいとされています。ただし管理監督者とは社員の採用や解雇、労務管理などに関する決定権限があり、実質的に会社の経営者と一体的な立場と定義されており、部長や店長などは該当しないケースがほとんど。管理職の肩書きを与えて残業代を払わないのは違法です。

こんな場合も残業代を請求できます

Case1
中途半端な業務時間を切り捨てる

 労働時間数は原則として1分単位で計算されるものです。毎日の労働時間の端数切り捨ては認められていません。

Case2
定時でタイムカードを押させる

 就業時間内に仕事が終わらないのに定時でタイムカードを押すように指示されても、従う義務はありません。実際の労働時間を記録しましょう。自前の日記やメモも残業代請求のための有効な証拠になることがあります。

Case3
フレックスタイム制

 始業および終業時刻を自由に決められるフレックスタイム制でも、一定期間について総労働時間が定められており、上限を超えると残業代が発生します。

Case4
持ち帰り業務やテレワーク

 これまでの実務では持ち帰り業務は原則として残業として認められませんでしたが、近年は働き方改革により社内残業が禁止され、急ぎの仕事の場合など会社の指示でやむなく自宅に持ち帰るケースもあります。
 また、新型コロナウイルスの影響により、テレワーク推進の動きが加速。会社の指示による自宅作業であれば、残業として認められる可能性があります。労働時間の記録を残しておきましょう。

未払い残業代請求するには

証拠を集める

 基本資料となるのはタイムカードやICカードなどの出退勤時刻のデータです。コピーや、タイムカードのモニター画面を撮影した画像などを保存しておきましょう。
 タイムカードを定時に押すことを強要される、会社で出退勤記録を残してくれないなどの場合は、出退勤時刻やパソコンのログイン・ログアウト時間を毎日自前で記録しましょう。
 業務上の送信メールを保存する、出社・退社時に会社の時計を毎日撮影するなどの地道な記録も大切です。客観的な証拠がない場合、労働時間を立証する上で有効です。
 給与明細書、源泉徴収票、雇用契約書、就業規則の写しも用意しておきましょう。残業代の算出に必要です。

会社と交渉する

 自分で直接交渉するのが不安な人は労働組合に相談しましょう。労働組合は労働者の権利を守る心強い味方。未払い残業代だけでなく今後の待遇改善も含めた団体交渉ができるので、働きやすい職場づくりにも有効です。
 企業内に組合がない場合は、外部の個人加入できる労働組合に加入することも一つの選択です。

労働基準監督署に申告する

 直接交渉しても払ってもらえない場合は、労働基準監督署に申告する方法も有効です。労働基準法に違反していた場合、労基署が会社に対して指導勧告を行い、残業代が支払われる可能性があります。

未払い残業代の請求は「時効」に気をつけて!

 未払い残業代は、在職中はもちろん退職後でも請求できます。
 ただし、請求できる期間が決まっており、2020年3月31日までに支払われる賃金に対しては2年、20年4月1日以降の賃金に対しては3年(※)で時効になります。
 退職すると、会社との関係悪化を恐れる必要がなくなり、残業代請求を考える人も多いのですが、請求できる金額は月を追うごとに減っていきますから、急いで行動を起こすことが大切です。

※従来の規定では未払い残業代を請求できる期間は2年間でしたが、2020年4月1日の改正民法施行に合わせて、労働基準法が改正され、「当面3年」に延長されました。もっとも、一般の債権なら民法で行使できることを知ってから5年で時効にかかるのに、労働者を保護すべき労働基準法では一般の債権よりも労働者に不利な3年で時効にかかるのはおかしい、との批判があります。

残業代請求には弁護士が力になります

 これまで長時間の残業を強いられ、巨額の未払い残業代が想定される場合には、弁護士に相談することをお勧めします。請求金額が大きくなると会社が支払いを拒否して争ってくる可能性があるため、裁判も見据えた交渉ができる弁護士は強力な後ろ盾となります。

提供/札幌弁護士会 企画制作/北海道新聞社営業局