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2023/10/12

右折と直進、どっちが悪い? 「右直事故」で泣き寝入りしないために:北海道新聞デジタル

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※以下の記事は、北海道新聞社のWEBサイトに掲載された記事体広告となります。
当会が作成に協力したもので、北海道新聞社の許諾を得て掲載しております。

右折と直進どっちが悪い?「右直事故」で泣き寝入りしないためにPR

 「右直(うちょく)事故」とは、交差点などで右折車と直進車の間で起こる事故のこと。交差点では原則、右折車よりも直進車が優先されるため(道路交通法37条)、右直事故では右折車の過失が大きいとされます。しかし事故の状況によっては、過失割合が変わる可能性もあるのです。万が一、右直事故の当事者となってしまった場合、過失割合はどうなるのか、過失割合を少しでも抑えるためにできることはあるのか、事故の状況別に解説します。


交差点に潜む右直事故の危険性

 「令和3年度版 北海道 交通安全緑書」によると、交通事故の発生場所は市街地交差点、発生時間帯は16~18時がそれぞれ最多となっています。仕事や買い物からの帰宅を急ぎ、慌てて右折した車と直進してきた車が衝突……という状況も想像に難くありません。
右直事故は正面衝突に次ぐ危険な事故です。直進車は減速せずに交差点に進入することが多く、その衝撃が大きいゆえに、右折・直進の両車ともフレーム損傷を伴う破損を被るケースが少なくありません。
また、衝突の衝撃により右折車が横転したり、車体の側面が構造上最も弱いため、乗っている人が重傷を負う危険性も高くなります。
さらに、右折車を避けようとした直進車が歩道に突っ込み、歩行者が二次被害に遭うケースも。この場合、事故の原因を作った右折車は刑事責任を問われるとともに、高額の損害賠償請求を受ける可能性があります。

右直事故の悲劇大津・園児死傷事故

2019年5月8日、滋賀県大津市内の県道交差点で右折車と直進車が衝突。直進車が歩道を散歩中だった保育園児の列に突っ込み、園児2人が死亡、園児11人と保育士3人が重軽傷を負った。
右折車の女性は過失運転致傷などにより、禁錮4年6カ月の実刑判決が確定。直進車の女性は速度超過や前方不注意などがないとして、不起訴処分になった。


急な右折は歩行者や自転車をはねるリスクも

 一般国道の1車線あたりの幅員は3.0~3.5m、片側2車線だと6~7mあります。右折車が交差点内を徐行して進む速度を時速約10kmと仮定すると秒速2.8m、右折を完了するのに2秒以上かかる計算になります。その間に時速約50kmで走行する直進車があった場合、秒速13.8mで30mあまり接近する計算になります。
接近する直進車を避けるために急いで右折しようとすると、横断歩道上の歩行者や自転車への注意が疎かになりがちです。特に右後方から来る自転車は目に入りにくく、突然視界に飛び込んできます。歩行者や自転車をはねて重傷を負わせた場合の責任は重く、高額の賠償金を課せられる可能性があります。

※自転車は車両扱いとなりますが、手押しして横断歩道を渡る人は「歩行者」として扱われます。


過失割合の目安は直進車2:右折車8だが例外も

 信号機がある交差点内の優先順位は ①直進車 ②左折車 ③右折車 と定められています。つまり、右折車は直進車の進路を妨害しないよう、直進車が通過してから右折しなくてはなりません。そのため、右直事故の過失は原則として2:8の割合で右折車の方が大きいとされます。
とはいえ、道路交通法36条に「車両等は(中略)右折する車両等及び当該交差点又はその直近で道路を横断する歩行者に特に注意し、かつ、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない」と定められている通り、直進車にも注意義務があります。速度超過や赤信号無視などの過失が認められれば、直進車の過失割合が大きくなる可能性もあるのです。

直進車の危険運転大分・時速194キロ死亡事故

2021年2月9日、大分県大分市内の県道交差点で右折車と直進車が衝突。右折車を運転していた男性が死亡した。
直進車は衝突直前に時速194kmで走行しており、危険運転致死容疑で書類送検されたが、翌年7月に地検が過失運転致死罪に切り替えて在宅起訴。遺族が約2万8千筆の署名とともに危険運転致死罪への訴因変更を請求し、同年12月に認められた。今後は裁判員裁判で審理される。

右直事故の過失割合が修正されるケース

 右直事故の基本過失割合は直進車2:右折車8ですが、事故の状況に応じて過失割合が修正されることがあります。ここでは直進車・右折車ともに青信号だった場合を例に、状況別の過失割合の目安をご紹介します。

資料:別冊判例タイムズ38号「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」

直進車・右折車ともに
青信号で交差点に進入した場合

Ⓐ直進車
Ⓑ右折車
事故の状況 過失割合の目安
直進車 右折車
基本 20% 80%
直進車 直進車が交差点に進入する時点で右折車が右折を完了している状況 +10%
道交法50条違反(渋滞など交差点内への進入が禁止される状況で交差点内へ進入) +10%
時速15Km以上の速度違反 +10%
時速30Km以上の速度違反 +20%
その他の著しい過失(前方不注意、酒気帯び運転、操作ミスなど) +10%
その他の重過失(居眠り運転、酒酔い運転、無免許運転など) +20%
右折車 徐行なし +10%
直近右折(直進車の至近距離での右折) +10%
早回り右折(交差点の中心の直近の内側に寄らずに右折) +5%
大回り右折(道路中央に寄らずに右折) +5%
ウインカーによる合図なし +10%
その他の著しい過失・重過失 +10%

直進車・右折車ともに青信号で
右後方から自転車が走行してきた場合

Ⓐ直進車
Ⓑ右折車
事故の状況 過失割合の目安
自転車 右折車
基本 15% 85%
自転車 既右折(直進車が交差点に進入する時点で右折車が右折を完了している状態) +10%
著しい過失・重過失(前方不注意、2人乗り、無灯火、酒酔い運転など) +5~
10%
右折車 徐行なし +5%
直近右折 +5%
早回り右折・大回り右折 +5%
ウインカーによる合図なし +5%
自転車が横断歩道を通行 +5%
自転車が自転車横断帯を通行 +10%
自転車が児童・高齢者 +10%
その他の著しい過失・重過失 +5~
10%


客観的証拠である「ドライブレコーダー」が決め手になる

 右直事故の当事者になった場合、過失割合によって慰謝料などの損害賠償額が大きく変わる可能性があります。過失割合の修正を巡って当事者間で争いが起きた場合、原則として修正によって有利になる側が修正要素の事実を証明しなくてはなりません。
相手の過失を追及するにも、自分の正当性を主張するにも、最強の味方になるのがドライブレコーダーの記録です。国土交通省の調査※によると、自動車を保有している人のドライブレコーダー搭載率は約46%。北海道は全国で最も低い約38%にとどまっています。目撃者も防犯カメラもない郊外で事故に遭った場合、過失割合の決め手となるのはドライブレコーダーという「客観的証拠」以外にありません。夏のレジャーシーズンが迫る今こそ、ドライブレコーダーの設置をお勧めします。

※国土交通行政インターネットモニターアンケート「自動車用の映像記録型ドライブレコーダー装置について」(令和元年)


右直事故のトラブルに巻き込まれたら弁護士に相談を

 事故の過失割合は、双方の保険会社の担当者同士が話し合って決めるケースがほとんどです。明らかに相手側に過失があったとしても、相手側の保険会社は支払う損害賠償額を少しでも抑えるために、こちら側が考える過失割合とは大きく異なる過失割合を主張してくることも珍しくありません。このような交渉が長引くとストレスがたまるものですが、早く終わらせたい一心で納得のいかない示談に応じてしまうのは得策ではありません。
事故によるケガや損害賠償金への不安を抱えながら、保険会社と交渉を続けるのは心身ともにつらいもの。過失割合をめぐるトラブルに巻き込まれた時は、ぜひ弁護士にご相談ください。弁護士はドライブレコーダーの記録に加え、個人では集めることが困難な警察の実況見分調書などの証拠を確保し、依頼者に有利な賠償額を提示して示談交渉や民事訴訟を行います。
札幌弁護士会(公益財団法人 日弁連交通事故相談センター札幌支部)が開設する「法律相談センター」では、交通事故に関する経験豊富な弁護士が無料でご相談に応じています。ひとりで思い悩まず、ぜひお気軽にご予約のお電話をください。平日は毎日、法律相談を実施していますので、比較的早く面談日を設けることが出来ます。

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