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2023/02/20

不動産相続登記の義務化が決定! 親から相続する家や土地、どうしたらいい?:北海道新聞デジタル

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※以下の記事は、北海道新聞社のどうしん電子版に掲載された記事体広告となります。
当会が作成に協力したもので、北海道新聞社の許諾を得て掲載しております。

不動産相続登記の義務化が決定! 親から相続する家や土地、どうしたらいい?

 親が亡くなった後、住む人のない実家の相続を不安に思っている方も多いのではないでしょうか。これまで相続登記は義務ではなく、手続きの費用もかかることから、登記をせずに空き家のまま放置されるケースが少なくありませんでした。しかし2021年4月の法改正の成立により、2024年4月1日から不動産の相続登記が義務化されます。思い当たる家や土地がある方も、将来的に相続の予定がある方も、今から手続きに向けた準備を始めることをお勧めします。

2024年までに相続登記の義務化が施行予定

 「相続登記」とは、家や土地などの不動産の所有者が亡くなった場合、不動産の所有権を相続人の名義に変更する手続きのことです。
 2021(令和3)年4月21日、「民法等の一部を改正する法律」(民法等一部改正法、令和3年法律第24号)及び「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(相続土地国庫帰属法、令和3年法律第25号)が可決成立。法施行は2024(令和6)年4月1日に予定され、これまで任意だった不動産の相続登記が義務化されることになりました。

主な改正項目

相続登記の申請の義務化
相続による不動産の取得を知った日から3年以内に申請すること。施行日前に相続が発生した不動産も義務化の対象となります。
正当な理由なく申請を怠ると罰則により10万円以下の過料が科せられます。
住所変更登記等の申請の義務化
所有権の登記名義人の氏名や住所に変更があった場合、2年以内に変更登記すること。
施行日前に住所変更等が生じた場合も対象となります。正当な理由なく申請を怠ると罰則により5万円以下の過料が科せられます。

相続登記が義務化される背景

1.所有者不明土地が公共事業の妨げに

 これまで相続登記は当事者の任意に委ねられており、亡くなった親の不動産をすぐに名義変更しなくても罰則などはありませんでした。
 地価が高い都市部の不動産なら相続して利用したり売却することもできますが、地価低迷が続く地方自治体にある不動産だと売却しても利益が見込めないため、相続登記せずに放置されているケースが多くありました。
 しかし、土地の相続登記を長期間放置すると不動産登記簿が更新されず、所有者がわからなくなって売買取引による処分が困難となってしまうため、公共事業や再開発事業の支障となる懸念があります。
 東日本大震災の被災地でもこうした「所有者不明土地」が多数見つかり、復興事業の妨げとなりました。
 全国の所有者不明土地は2016年時点で九州本島を上回る規模に広がり、2040年には国土の2割、北海道の総面積に迫るとの試算もあるほどです。

2.空き家をめぐる危険やトラブルが発生

 家屋を空き家のまま放置していると、老朽化による倒壊、草木の繁茂や害虫の発生などのリスクが高まります。行政が地域住民からの苦情を受けて登記を確認すると、相続人の死亡や所在不明で空き家を処分できず、地域住民が迷惑をこうむるケースも増えています。

相続登記の放置は子孫を困らせる

 「数年前に父が亡くなり、母が実家に住み続けている」というのはよくある話ですが、父の配偶者である母が相続登記をしないまま亡くなった場合、子が相続登記をするためには、父と母の出生から死亡までの「戸籍謄本」を取り寄せて手続きをする必要があります。
 また、「遺産分割協議書」も準備しなければなりません。遺産分割協議書を作成する際には、すべての法定相続人が合意した上で署名・押印しなくてはなりませんから、子に兄弟がいればその全員で作成する必要があります。
 事例のように親子二代ならまだしも、三代、四代と長い間相続登記を放置していると、その間に親族が増えて法定相続人の数もどんどん増えてしまいます。時には法定相続人が数十人に及ぶこともあり、会ったこともない親族の住所を特定しなければならないケースも。こうなるともはや個人の手には負えません。

北海道特有の相続事情

1.処分した方が赤字になる

 北海道は地方市町村の過疎化が著しく、地価低迷で売るに売れない土地を持て余しているケースが少なくありません。中には業者にお金を払って引き取ってもらうケースもあるほどです。
 更地でも売却が難しいのに、空き家として放置されている場合はさらに問題が深刻です。
 札幌中心部やニセコ周辺以外は現状有姿売却額より家屋解体処分費の方が高くつくことが多く、解体費用は一般的な木造住宅で2.5万円/坪(約3.3㎡)が平均と言われていますが、隣が民家だった場合の解体費用200万円、アスベスト(石綿)を使用した古い建物の特殊解体で300万円以上という高額な事例もあります。
 倒壊リスクや不衛生などの理由で自治体から著しく問題のある空き家=「特定空き家」として指定されて勧告を受けると、固定資産税の優遇措置が解除されたり、さらに、その後出される命令に従わないままでいると過料が科せられることもあります。自治体ごとに解体費用の補助金制度もありますが、予算枠は大きくありません。

2.農地売却の手続きが面倒

 「高齢化や後継者不在で離農したい」「農地を相続したが活用する予定がない」など、農地の相続に関する悩みが多いのも北海道の特徴です。
 しかし農地の売却は農地法によって厳しく制限されており、農業委員会の許可が必要です。手続きも複雑で、農地内に居住用の母屋が建っているとさらに手続きが面倒になり、諦めて放置してしまうケースが少なくありません。

3.旧樺太時代まで戸籍を遡るケースも

 北海道には樺太で生まれて戦後に引き揚げてきた方の子孫がたくさんいます。相続登記の手続きには「被相続人の出生から死亡までの戸籍」が必要となるため、旧樺太に本籍地がある先祖の土地を相続登記する場合は、外務省に戸籍照会する必要があります。

面倒な相続登記手続きはプロに任せて安心

 相続登記の放置は、長引けば長引くほど法定相続人が増えて子や孫に迷惑をかけたり、所有者不明土地や空き家の老朽化によって地域や社会に損害を与えかねません。今回の義務化を契機に、早めに相続登記を行うことをお勧めします。
 ただし相続登記の手続きには専門知識が必要な上、必要書類の準備や申請書の作成には手間と時間がかかります。一般の方が行うと不備や不足が生じやすく、何度も法務局へ足を運ぶことになりかねません。
 迅速かつ確実に手続きを済ませるためには、弁護士や司法書士に依頼するのが確実です。

相続登記にかかる費用

登録免許税
不動産の固定資産評価額の0.4%
戸籍謄本等の取得費用
数千円〜3万円程度
弁護士・司法書士の報酬
不動産の件数とその評価額、法定相続人の戸籍など謄本の収集の有無、収集の労力やその数によって変動する

相続をめぐるトラブルは弁護士に相談を

 相続登記をしていない不動産は、遺産分割協議中は相続人全員の共有財産となります。そのため、固定資産税は相続人全員の連帯責任としてそれぞれが法定相続分を負担する義務を負い、相続人の代表者が納税します。
 遺産分割協議がまとまって不動産を相続する人が決まり、相続登記が完了すると、翌年度からはその人が固定資産税の納税者となります。
 兄弟や親族の仲が良く遺産分割協議が円満に進めば、遺産分割協議書の作成や相続登記の申請手続きなどをスムーズに行うことができます。しかし、遺産の相続分をめぐって兄弟や親族でもめるケースは非常に多く、お金にまつわる骨肉の争いを当事者同士で解決することは容易ではありません。
 このような紛争が想定される場合は、弁護士が解決のお手伝いをいたします(弁護士以外が報酬を伴う紛争解決をすることは法律で禁じられています)。札幌弁護士会では相続・遺言相談センターを開設、担当の弁護士がご相談に応じています。お電話またはインターネットでお気軽にお申し込みください。相続人の間の紛争解決のみならず、相続登記までセットで行う弁護士も増えていますので、相談時にどこまでの作業でどのような料金になるのかもご遠慮なくお尋ねください。

札幌弁護士会の「相続・遺言相談センター」予約受付電話
相談料
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<受付時間>月~金(祝日除く)10:00~12:00/13:00~16:00

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