未知の問題に遭遇して,とりあえず当該分野の情報を入手したいと考えたときに,まず始めにすることといえば,インターネット検索という方も多いと思います。インターネット隆盛のこの時代,私も,調査の端緒となる情報を得るために,手始めにG××××E先生に頼ることはままあります。
しかし,ネット上の情報を見ていて危険だと感じることは,匿名で発信できるという性質上,玉石混合であって,正しい情報もあれば誤った情報もあるということです。「インターネットサイトではこのように解説されていましたが・・・」と,誤った知識を持って相談に来られる方もよく見かけます。相談に来られた方であれば,正しい情報をお伝えすることもできますが,相談に来ずにそのままになっている方の数は,かなり多いのではないでしょうか。
そこで,ネット上の情報を信用する前に,情報の発信源が信用できる機関であるかを確認したり,引用されている情報の原典にあたったり,専門家の意見を聞くなどして,自ら調査を尽くすことをおすすめします。そうしないと,誤った情報に振り回されて,後で痛い目を見ることになります。G先生は,検索ツールとしては大変優秀ですが,正しい情報が何であるかを教えてくれる訳ではありません。
私の場合,上記のような理由で,インターネットの情報を話半分で見ている節はありますが,それだけでなく,やはり紙ベースの情報のほうが,自分で苦労して調べただけに頭に残りやすい気がして,最近はアナログに回帰しています。
私が司法試験受験生だった頃は,常に重たい六法を持ち歩いていましたが,今や六法もアプリで入手できます。デジタル版の六法は,検索するスピードが段違いに速く,また物理的にも軽いため出先で調べ物をするには大変便利で重宝していますが,ある分野についてじっくり考えたい場合に用いるのは,やはり紙ベースの六法が落ち着きます。
毎年法令改正があるため,年度ごとに六法を新調しますが,使用していくうちに,よくめくる法令の部分だけが,なんとなく変色していきます。これを見るにつけ,「そういえば,あの事件でこの条文解釈が問題となって,なんども条文と睨めっこしたな・・・」などと思い出して感慨深くなるのも,アナログならではの醍醐味でしょう。