弁護士の仕事といっても,法廷に立つことから任意の交渉まで様々なものがありますが,その一つに法律相談があります。法律相談は,依頼者から事件の内容を聞き取って,それに対して今後の方針等のアドバイスをするものです。民事事件では,アドバイスで終了することもままありますし,他方でそこから裁判等の手続に進むこともあります。また,刑事事件においても,初めて被疑者・被告人と会うときには,民事の法律相談と同じように,事件の内容を被疑者から聞きとって,何か法的に問題となることはないか,今後の方針をどうするかということを検討することになります。
このように,民事事件にせよ,刑事事件にせよ,法律相談を起点として,今後の対応についてアドバイスし,かつ,場合によっては事件を引き受けて弁護活動をすることになりますので,法律相談というのは非常に重要な役割を果たすことになります。刑事事件では,被疑者が留置場に逮捕・勾留されているのがほとんどですので,弁護士が留置場に行って直接話を聞くことになりますが,民事事件においても,直接,対面で話を聞くということが大切になります。
確かに,法律が決められていることは動かないので,ある事件が起これば,全て機械的に一定の結果,結論が出るものであるという側面はありますから,そのような事実を聞き取ってお答えするのであれば,わざわざ対面で相談しなくとも,電話やメールなどで相談は十分という場合もあります。しかし,法律はある程度包括的・概括的な定めをしているものですから,その法律が定めている場合に当てはまるかどうかを判断するために,その事実の聞き取りは慎重にならざるを得ませんし,聞き取った事実を裏付けるためには証拠も必要で,その証拠にどのようなものがあるか,どのような内容になっているかも確認しながら相談を行わなければ,今後の見通しが立てられなくなります。また,対面の方がより相談者の意思を適切に反映させることが期待できます。
札幌弁護士会でも,ハロー弁護士相談という制度が設けられ,15分間無料で法律問題に応じるものがありますが,簡単な相談や法律問題なのかどうかを判別するのに役に立つ一方で,充実した法律相談とはならないこともしばしばあります。そのようなときは,電話だけで早合点せず,札幌弁護士会の法律相談センターなどに直接行って弁護士に会うことをお勧めします。何か違ったアドバイスを受けられるかもしれません。