弁護士になって丸5年、初めて長い夏休みをとった。
父が今年古希を迎えるため、父、兄家族とともに総勢8名で九州旅行した。新千歳空港から福岡空港までの直行便に乗り、ハイエースを1台借りてみんなでわいわいしながら、福岡、別府、熊本、長崎をまわり楽しい4泊5日の旅だった。
中学校2年生になる姪は生まれつき足が不自由であり、車以外の移動はもっぱら車椅子である。私は、姪の車椅子をおして観光地を巡った。
札幌でも姪の車椅子をおしたことは何度もあったが、長い時間一緒に旅行をするのは初めてのことだった。今までと少し違う景色がみえた。
長崎の街を歩いてみた。長崎は大学時代にも一度訪れたことがあったが、そのときより坂がとても急に感じた。上り坂よりも下り坂の方がきつかった。道に何気なくある排水溝に意外な段差を感じた。ホテルの入り口にはスロープがなく、フロントまで抱きかかえて移動した。
熊本城にも行ってみた。やはり坂はきつかった。天守閣に行くまでの道はバリアフリーになっていたが、砂利道がなかなかの振動だった。
さすがに天守閣の中にはエレベーターはなく、姪はてっぺんまでは登ることはできなかった。
高速道路のインターでトイレ休憩をした際、車椅子用の駐車場がふさがっていた。空くのを待っていたところ、実際にとめていたのは車椅子利用をしていない若いご夫婦だった。悪びれることもなく走り去る姿に少々腹がたった。
普段当たり前のように目に入っていてあまり感じたこともなかったが、バリアフリーのためのスロープ、エレベーターなどが設置されていることや車椅子用の駐車場が設けられていることなどがとてもありがたく感じた。
当たり前のものがそこにあること、当たり前でいることの幸せを感じた。
初めて行った観光地を巡ったことも今回の旅行の良い思い出であるが、車椅子をおして感じたことがこの旅で一番得られたものかもしれない。
さて、来年は皆でどこに行ってみようか。
2012/10/01
【隔週一言】旅の思い出
