法律相談を受けていると、裁判を起こしたい方は、恐る恐る裁判にかかる費用をお尋ねになります。私たち弁護士は、もちろん事案に応じて弁護士費用を提示しますが、実は裁判を起こすのに弁護士は必須ではないのです。
例えば、友人に50万円を貸したのだけれども、最近返済を催促しても返答がない場合には、50万円の貸金返還請求訴訟を簡易裁判所に起こすことになります。
この裁判にかかる費用は、基本的に裁判所に納付する印紙代5000円と郵便代4000円弱で1万円以下です。支払督促という手続を利用すれば印紙代は2500円で済みます。
もちろん、弁護士を使わない場合は、「訴状」と呼ばれる書類の作成や証拠の収集・整理等を自分でやらないといけませんし、およそ月に1回開かれる裁判の期日にも御自身で出頭しなければなりません。
ただ、貸金返還請求訴訟等は、借用書等が手元にあれば、訴状作成はそんなに難しいものではありません。インターネット等で検索すると、訴状の書き方についてもひな形が公開されていたりします。
したがって、複雑な事件ではなく、証拠も充実していて、勝訴が確実な事件などでは、お時間が許すなら御自身で裁判をやられてみるのも良いかもしれません。
しかしながら、紛争の内容が複雑な事件、証拠が不十分な事件ということになりますと、まず、どのような法律を根拠に請求していくか、それを証明する証拠は十分なのか等、訴状を作成する段階で、慎重な判断が必要になります。訴訟の進行中にある程度、軌道修正することも可能なのですが、やはり入口で間違えると、挽回するのが大変になることもあります。
したがって、複雑な事件、相手に請求する金額が大きい事件、裁判後の強制執行まで見据えないといけない事件、家事事件のようにお金だけではなく、人生の中で大変重要なターニングポイントとなる大切な事件等は弁護士に委任して悔いが残らない戦いをしていただきたいと思っています。