紛争が裁判になり,裁判上お互いの主張が出揃った段階になると,最終的な証拠調べとして証人尋問がなされることがあります。
テレビなどで見る弁護士ドラマのクライマックスは,証人尋問をするシーンであることが多いので,弁護士の仕事のイメージとして証人尋問を思い浮かべる方も多いかもしれません。また,ゲームなどで主人公が「異議あり!」と叫んだりしているのもやはり尋問のタイミングかと思います。
このように,ある意味弁護士を象徴する手続きの一つである証人尋問ですが,そう頻繁に行われているものではありません。特に民事事件においては,裁判自体が証人尋問なしで終了するということも多いので,弁護士は証人尋問を1ヶ月に2.3回行う程度であることが通常かと思います。
このように,証人尋問は弁護士が行う仕事の中では,どちらかというと珍しい部類に入るもので,弁護士の主な仕事というと若干語弊があるかもしれません。このあたりはドラマなどでの弁護士のイメージと現実の弁護士が大きく異なるところかと思います。
さて,証人尋問とは大まかに言えば,証人となる方が法廷の中心に備えられた証言台に座り,弁護士や裁判官に質問をされるという手続きです。
法廷の証言台に立つことなど人生で何度もある経験ではありませんから,証人尋問の証人となった方はとても緊張されるのが普通です。前日はよく眠れないという方もよくお見かけします。
これだけ聞くと証人尋問はとても恐ろしいことのようにも思えますが,実際はそうでもありません。
証人が緊張していることを代理人である弁護士は当然知っており,出来る限りのフォローをします。また,裁判官も証人が緊張していることを当然知っていますので,証人が緊張でうまく答えられない状況であることが多いということを差し引いて証人尋問の結果を見くれているはずです。
したがって,緊張してうまく答えられなかったからといって落ち込んだりする必要はありません。また,うまく答えられなかったらそれですべてが終わってしまう,などと考えて,必要以上に緊張する必要もないのです。
以上,つらつらと述べてきましたが,証人尋問は裁判官に自分の認識している事実を直接伝えることのできる大事な手続きです。裁判所で証言することは精神的にも時間的にも大変ではありますが,弁護士のフォローを受ければ自分の伝えたいことは裁判官に伝わるはずです。
不安も大きいかとは思いますが,証人となったときには,自分の味方となっている弁護士を信用して,安心して証人尋問に望んでいただきたいと思います。