IT分野が急成長を始めた時代、年配の政治家が「IT革命」を「イット革命」と言って笑われたニュースがありましたが、既に遠い昔の話となりました。今では、一般市民の誰もがケータイやスマホなどの端末を持ち歩き、インターネットを利用することでIT技術の恩恵を受ける時代ですから、「知っているのが当たり前」「使えるのが当たり前」のようです。
私もネットショッピングをよく利用しており、化粧品や雑貨から家電製品に至るまで、「クリック」すれば自宅まで届く手軽さや、送料を入れても店頭購入より安い価格に驚かされますし、海外旅行に行く際には、航空券やホテルの予約はもちろん、現地の交通機関や天気予報も「クリック」するだけで、欲しい情報が瞬時に得られて助かっています。遥か昔の学生時代、貧乏旅行者用のガイドブック片手に世界各国を旅した際には、現地の安宿を一軒一軒回り、直接部屋を見せてもらいながら「この部屋、一泊いくら? マケてよ~」と、宿の主人と直談判したものですが、今では全てネット検索とネット予約とは・・・便利になったものです(宿の主人との直談判という愉しみは無くなりましたが)。
しかし、ITなるものは、誰もが使いこなせているわけではありません。私がよく利用する店舗では、以前はハガキで郵送していた会員向け割引クーポンを、モバイル用の電子クーポンに変更し、レジでクーポン画面を見せれば済むようになりました。確かに、企業のコストは大幅に削減できますし、顧客もハガキを持ち歩かなくて済みますが・・・レジで店員の説明を聞いても、「私、ケータイは使えなくて・・・」と、割引価格を諦めてしまう高齢者を見かけると、世の中が便利になればなるほど、『使えない人=便利な世の中から取り残される人』との差が広がっていくような気がします。
そのうち、私自身も取り残される側になるんだろうな・・・(既になってる?)と漠然とした不安を抱きつつ、せっかくなら、「使えない人なんていない」方向で、IT技術がもっと進化してくれれば良いのになぁと思う今日この頃です。