私は、ここ数年、札幌弁護士会の広報に関わっています。
私は弁護士として、自分の仕事に誇りを持っています。同時に、自分の仕事は間違いなく皆さんの役に立つはずなので、もっと多くの人に弁護士を利用して欲しいと感じています。
しかし、一般の方からの弁護士イメージは、相変わらず「敷居が高い」というイメージのままあまり変わっていないように思います。
これは、私たち弁護士が、一般の方に、弁護士の実態というものをきちんとわかりやすく知らせようとしてこなかったことに原因があるのではないかと考えています。
それが、弁護士会の広報に取り組むことにした理由の一つです。
もう一つの理由としては、「もっと早く相談してくれればよかったのに」と感じる場面に遭遇することが多いことが挙げられます。
もっと早く相談してくれていれば、紛争を予防する方法を教えることができた、あるいは紛争自体は避けられないけれども後のために備えをしておくことができたと思われるケースもありました。
もっと弁護士を積極的に利用してもらえばみなさんの利益になるのだということを、もっと知ってもらいたいという気持ちも、弁護士会の広報に力を入れたい理由の一つです。
そんな私が、弁護士会の広報で強く意識していること。
それは、「わかりやすく伝えること」です。
弁護士は、物事を正確に伝えたがる傾向があります。そのため、何かを話すとき、つい専門用語を正確に使いたくなります。また、なるべく正確に説明しようとするため、誤解が生じないように丁寧に話すばかり、長々と話してしまう傾向があります。
しかし、これでは、前提知識のない人にとってはただの難しい話でしかなく、興味を持ってもらえなければほとんど話を聞いてもらえないかもしれません。聞いてもらえなければ、実は全く話していないのと同じことになってしまいます。
ですから、相手に伝えたいと思うのであれば、自分が話したいことをただ話すのではなく、「100%理解してもらえなくてもよいので、相手にとってわかりやすい形で伝えて、少しでも多くわかってもらう」ことが大事だと思っています。
「広報」は、もともと英語でpublic relationsと書きます。その本来の意味は、「大衆(=public)との関係性(=relations)を構築すること」です。決して自分の話したいことを一方的にアピールすることではありません。
私が力を入れたい広報も、一方的なアピールではなく、あくまでもこの双方向の関係性、相互理解を深めることを目指す広報です。
私が今後、弁護士会の広報で目指したいと思っていることは、「弁護士に少しでも早く相談をすれば利益になる」ということを、一般の方にもっとわかってもらえるようにすることです。
そのために、弁護士や弁護士会の実態や、弁護士がみなさんに対してできることを、これからもよりわかりやすく伝えていきたいと思っています。