平成24年4月1日,昨年に一部改正された民法が施行されました。改正の主な内容は,離婚などに伴う未成年者の福祉に関する事柄ですが,特に離婚にあたっての養育費や面愛交流の取決めが,まず第1に子どものためを考えてなされるべきものであることが明記されました。
男女を問わず,ある日突然夫婦の一方が家を出て行き,その後一方的に離婚を要求するという例が増えているように思います。もちろん,それぞれに事情や言い分はあるのでしょうが,突然家を出るわけですから,離婚に際して決める必要がある事柄について,何の話合いもされていないことがほとんどです。
当然,出て行かれた側の当事者は,何かと納得がいかず,離婚ができるかどうかということと同じくらい,場合によっては離婚そのものよりも激しい対立が養育費の支払いや子どもとの面会交流(面接交渉とも言います。)をめぐって起きてしまいます。
その場合,一番の被害者は子どもになります。親の都合で,父親か母親と一緒に生活することができなくなる上,自分の生活のための費用や片方の親との面会の是非を巡って両親が対立するのですから,物心がついた子どもにとって,それはもう大変な負担です。
離婚成立後は,お互いに一切縁を切って,連絡も取りたくないという方々もいらっしゃいます。また,子どもと面会させてくれるなら金は払うとか,お金はいらないから子どもにも会わせないという話もよく耳にします。
今や夫婦の3割以上が離婚すると言われていますが,今回の法改正は,単に離婚件数が増加傾向にあるというだけではなく,夫婦間の感情対立が激しくなるあまり,子どもへの配慮が難しくなってしまう例が増えてきたことの現れではないかと思います。
離婚をしても,子どもの親でなくなるわけではありません。離婚はやむを得ないとしても,離婚にあたっての条件,特に面会交流や養育費の取決めについては,子どものために最善の方法を選択していただきたいと思います。
裁判所では,若干の費用を納付すれば,調停委員という第三者に話を聞いてもらい,適切な条件を提案してもらうことができますし,弁護士への法律相談や依頼によって,回避できる問題も少なくありません。
感情に任せた行動に出て,問題をこじらせる前に,こういった制度を利用されることを強くおすすめします。