多重債務が社会問題化し,貸金業法が改正されたこともあり,債務整理という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。
しかし,債務整理と一言で言っても,様々な方法があることは,あまり知られていないように思いますので,今回は,個人の債務整理の種類について,ご紹介したいと思います。
債務整理を大きく分けると,①支払ができない場合,②条件を変更して支払を継続する場合の2つになります。
①支払ができない場合に取る方法が自己破産です。自己破産は裁判所に申立をするもので,裁判所に対して,資産,負債,破産申立に至った経緯(債務が増加した原因など)を報告します。
その上で,裁判所が自己破産手続開始決定,免責決定などを行います。
法律上,債務が請求されない状態になるのは,裁判所が免責決定を行ってからになりますが,免責決定は無条件になされるものではなく,免責されない事由(免責不許可事由。例:財産隠匿,浪費など)が法律上定められています。なお,免責不許可事由がある場合でも,裁判所の裁量により免責決定がされることもあります。
②支払を継続する場合に取られる方法がⅰ任意整理ⅱ個人再生手続です。
ⅰ任意整理は,裁判所を使わずに,弁護士が貸金業者等と話し合いを行い,支払条件を変更するものです。ただし,最近は貸金業者等の経営が悪化しているため,話し合いで合意できることが少なくなっているようです。
ⅱ個人再生は,民事再生の個人版で債務総額金5000万円以下の場合に利用できる手続です。
自己破産と同様に裁判所へ申立をし,返済総額を減額して,原則3年(最大5年)の分割払いを認めてもらうものです。
一般的な債務整理の方法は上記のとおりですが,債務整理をなされる方の資産,収入状況,負債状況によって,取るべき方法が変わってきます。また,いずれの手続も法律上の知識を必要とする専門的な手続ですので,是非とも弁護士にご相談ください。
札幌弁護士会では,ひだか弁護士相談センターを設置しており,初回相談料無料となっております。予約制となっておりますので,是非お電話(電話番号0146-42-8373)を頂ければと思います。