職場の上司が私に対してよく「やる気があるのか!」と怒鳴りつけるんです。私は一生懸命やっているのに、これってパワハラですよね、と相談に来られた方がいました。
パワハラ、これはパワーハラスメントの略語ですが、最近よく耳にされるかと思います。パワハラの定義は、法律では定められていないのですが、平成24年3月に厚生労働省が「同じ職場で働く者に対して,職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に,業務の適正な範囲を超えて,精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義しました。これは職場でのパワハラの問題が増加していることを問題視し、パワハラの定義を定め、その上で職場においてパワハラの問題を解消させることを目的としています。
このパワハラの定義によれば、上司から部下に対する高圧的な言動のみならず、パソコン操作に弱い年配の職員に対し、若手職員が嫌がらせをすることや、同僚間で無視をするといったこともパワハラにあたります。
もっとも、中には簡単にはパワハラかどうか判断できないものもあります。職場では、当然上司から部下へ指示がなされますし、一人前の仕事ができるように指導もしなければなりません。忙しい時期には、やや過大な仕事を指示しなければならないこともあります。そして、仕事に慣れていない職員に対し厳しい指導をすることもありますし、職務上ミスをすればそれは指導の対象になります。このような指示、指導はパワハラにあたらないと考えられています。そのため「やる気があるのか!」といった発言はそのときの状況や前後の文脈によっては指導の範囲内と判断される場合もありえます。
このようにパワハラといえるか判断が難しいものもありますが、パワハラは労働者の働く気力を奪い、また精神的疾患を招きうる大きな問題です。悩まれている方は決して一人で抱え込むことなく、ぜひ一度札幌弁護士会の法律相談センター等にご相談ください。