執筆:ひだかひまわり基金法律事務所
原 英士 弁護士
お金や家を借りるとき、貸主から「保証人」をつけるよう求められることがあります。保証人は、お金の借主が約束どおりお金を返さなかったり、また、家の借主が家賃を支払わなかったり、家を出るとき原状回復しなかった場合など、借主が契約を守らなかったとき、自分はお金や家を借りていなくても、借主と同じ責任を負うことになります。一般的には、「連帯」保証人になる場合がほとんどです。連帯保証人になると、例えば、お金を借りた人が返済しない場合、貸主は、借主ではなく、いきなり連帯保証人に対し返済を求めることができます。また、連帯保証人は、借主がお金を持っていること等を証明しても、貸主の請求を拒めません。
保証人の責任について、保証人は「人的担保」といい、抵当権や質権などの「物的担保」のように、その物を手放せばそれ以上の責任は負わないというわけではありません。借主が契約を守らなかったとき、保証人の差押可能な資産(例えば、預金等の金銭債権や不動産、自動車等の物など)はすべて責任財産になりますので、貸主が債務名義(確定判決や支払督促等、強制執行するために必要なもの)を取得すると、取立請求されたり、換価されてしまうおそれがあります。
このように、保証契約には「借りた人と同じ内容の義務を負う」という重大な効果がありますので、みなさんが保証人になる場合、本当に保証人になっても構わないのか、十分に検討しなければいけません。民法は、保証人になることを慎重に判断してもらうため、「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。」という規定を設けています(民法446条2項)。保証契約書に署名押印をする前に、是非、このコラムに書いてあったことを思い出して、保証人になることについて、慎重に判断してもらいたいと思います。
「保証債務の請求書が突然きたが、どうしたら良いか」、「保証債務の取り立てで困っている」、「保証債務を返済できない」等、疑問や悩み等がございましたら、ご遠慮なく、お近くの弁護士に相談してみてください。
以上