執筆:浦河ひまわり基金法律事務所
小荒谷 勝 弁護士
早いもので今年も半分が過ぎようとしています。6月といえば、全国的には梅雨の時期ですね。北海道には梅雨がないというものの、実際には「蝦夷梅雨」と呼ばれる雨が降る時期が続きます。これは、オホーツク海高気圧から冷たく湿った風が吹くことによっておこるものであり、本州に梅雨をもたらす梅雨前線とは異なるメカニズムによるもののようです。
今回のテーマでは、そんな雨水によって引き起こされる問題について考えてみましょう。
お隣さんの土地が自分の土地より高いところにあるため、雨が降った際に土地の高低差により私の土地に雨水がたまってしまいました。私は、お隣さんに対策をとるよう求めましたが、応じてもらえませんでした。このような場合に法律ではどのように解決できるでしょうか。
民法214条では、「土地の所有者は、隣地から水が自然に流れて来るのを妨げてはならない。」と規定されています。雨が降った場合、その大部分は地面に吸収されますが、水を吸収しにくい地面の場合などには、水流となり、低いところに流れていきます。そこで、土地の所有者は土地の自然の高低差から生ずる自然的流水については受忍する義務があるとされています。つまり、低地の土地の所有者は、雨水などの流入を妨げることはできません。また、お隣さんへ、排水設備を設置するよう求めることや、損害賠償を求めることもできません。
それでも、土地を良好な状態で利用するために排水設備を設置する必要がある場合もあるでしょう。そのような場合には、お隣さんの土地からの雨水の流れを妨げることなく、お隣さんの通常の土地の利用に支障がないようにすれば、排水溝にいたる水路などを設置することはできます。もっとも、排水設備の設備費用は原則として設置する側の全額負担となります。
実際の事案では、さらに個別的な事情や特殊性が存在することで簡単には解決することができない場合もあるかと思います。そのような場合は、お近くの頼れる弁護士にぜひご相談ください。
以上