執筆:むらやま法律事務所
徳永 賢太郎 弁護士
弁護士にとって,“弁護士事務所へ足を運ぶ”“弁護士と相対して話をする”ということについて,世間一般の皆様にいかに抵抗感や敷居の高さを感じることなくアクセスして頂くか,というのは,弁護士の永遠のテーマの一つであるように感じます。
今回は,弁護士バッジをつけたあの人は一体どういう物の考え方をしているのか,という観点から,このテーマに挑戦してみようと思います。
全ての弁護士が相談に臨んでいるときに共通して考えている言葉のキーワードは,「要件事実」と「立証」です。これはどういうことかと言いますと,弁護士は相談者の要望に従い,何らかの法的措置をとることを考えるとき,それが実現可能なものであるのかを考えますが,法律には〇〇という事実がある場合には△△という請求をすることができる,といったように法的措置を講ずるために必要となる条件(ハードル)が定められています。
そのため,弁護士は常に,相談者の話から,相談者が抱えている紛争において,相談者の要望に沿って法的措置を講ずるために必要となる条件をクリアーしているのかを考えているのです。そして,人の話で証明するのか,文書で証明するのかを問わず,“条件をクリアーしている”ということが立証可能なものであるのかを考えているのです。
言葉にすると当たり前に思えてきますが,ご相談の際に相談者の方が力点を置かれているポイントと,弁護士が重視する話のポイントは異なることが非常に多いと感じます。
そして,相談者や相談者から相談を受けた家族や知人とは全く別の視点があるからこそ,弁護士の存在意義があるのではないかと考えています。
つまり,弁護士というのは,抱えている悩み事について,独特な視点を持った話し相手,ということになりますでしょうか。
弁護士の助言が絶対的に正しいということはないと思いますが,悩み事を抱え,出口がない。そんなときに我々弁護士に相談をすることは,悩み事に新しい風を吹き込み,突破口を見いだせる,そんな可能性を秘めています。
そして,札幌弁護士会で運営する法律相談センター(日高近郊では静内と苫小牧に相談窓口があります。)では,無料で弁護士によるご相談を実施しています。本当にご相談のみで構いません。ご自身で悩みを抱え,動けなくなっているのであれば是非,“独特な視点を持った話し相手”のところまでお越しください。
以上