執筆:ひだかひまわり基金法律事務所
原 英士 弁護士
先日、文部科学省が、小中高校及び特別支援学校で確認されたいじめ件数が、前年度より9万1235件増加し、過去最多の41万4378件であることを公表しました。
いじめについて、国は、平成25年、「いじめ防止対策推進法」という法律を公布・施行しました。この法律は、いじめが児童に与える影響の重大性等を踏まえ、いじめの防止等のための対策に関し、国や地方公共団体等の責務を明らかにする等して、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進することを目的としています(同法1条)。そして、この法律において、「いじめ」とは、「児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの」と定義され(同法2条1項)、また、「児童等は、いじめを行ってはならない。」と明確にいじめの禁止が定められています(同法4条)。その上で、この法律では、いじめの防止等に対し、国、地方公共団体、学校の設置者、教職員、保護者の責務を定めています(同法5~9条)。「いじめ防止対策推進法」が施行されて5年間が経過しました。冒頭のとおりいじめの認知数が増加したのは、同法の施行により、いじめの防止等の対策に関し国や地方公共団体等の責務が明らかになり、各関係者が積極的にいじめの認知に努めたことがひとつの要因であると思われます。
いじめは、子どもの健全な成長や人格形成に重大な悪影響を与えるだけでなく、ときに、その生命や身体に重大な危険を生じさせるおそれがあります。取りかえしが付かないことにならないよう、いじめの防止、または、いじめを早期発見することが重要です。いじめに関し、疑問やお悩みがあるときは、すぐに、ご遠慮なく、お近くの弁護士にご相談いただければと思います。
以上