執筆:徳永 賢太郎 弁護士
“国選弁護”という言葉を聞いたことがある方は少なくないと思いますが、この国選弁護という制度が具体的にどのような場面で活用できる制度であるのか、ということをご存知の方は少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、この“国選弁護”という制度について、少し変わった角度から説明をしてみたいと思います。
国選弁護制度は、勾留された被疑者、刑事裁判を起こされ被告人となった方について国の費用で弁護人を付す、という制度であり、①あくまで刑事事件を対象とした制度ですが、②“勾留された”被疑者の方を対象とした制度であることがもう一つの重要なポイントです。これは、刑事事件の被疑者となってはいるものの、身柄を拘束されていない方は国選弁護制度の対象外である、ということを意味します。
しかし、身柄を拘束されていない状態、身柄拘束に至っていない段階で、弁護士に刑事弁護に関する相談をすることは極めて重要です。
まだ捜査機関に発覚していないと思われる事件について自首をすべきであるのか、そもそも自分の言動が犯罪行為に該当するのか否か、被害者の方と示談をするにはどうすればいいのか…身柄を拘束されていない状態、身柄拘束に至っていない段階で弁護士に相談をすれば、刑事事件の結末を左右する事柄について専門家のアドバイスを受けることができるからです。
また、捕まってしまうのではないか、刑事罰を科されるのではないか…こういった不安を解消し安心するための方策として、弁護士への相談に勝るものはありません。
そして、秘密は守られますから、弁護士に相談をした結果、捜査機関に事件が発覚するということもありません。
一方で、刑事事件という、私生活に重大な影響を及ぼす出来事について、インターネット上の情報や、他人の体験談をもとに自己判断をすることは極めて危険です。自分だけで悩まず、専門家に相談して判断を仰ぐこと。これは、刑事事件に携わることの多い弁護士として、できるだけ多くの人に大切にして欲しいことであると思います。
相談し、安心して帰ってもらえたら、相談を受けた弁護士として、これほど弁護士冥利に尽きるものはありません。刑事事件に関して少しでも不安を感じたら、是非弁護士に相談をしてください。
以上