執筆:原 英士 弁護士
最近、本屋や図書館で、子ども向けの法律関連書籍やマンガを目にすることがあります。手に取って読むと、なかなか面白く、子どもが法律に興味を持ってくれそうな内容になっています。
私が、最初に「法」というものを知った機会は、小学校高学年の社会科の授業でした。日本には「日本国憲法」というルールがあり、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という3つの基本原則があるという内容でした。しかし、それ以上に何かを教えてもらった覚えは(何十年も昔の話なので忘れてしまっただけかもしれませんが、)ありません。例えば、憲法と法律の違い(概要として、「憲法」は国民の自由を守るために国家権力の行いを制限するもの、一方、「法律」は国民みんなが快適に暮らすために国民の行いを制限するもの)についても、学校で習った覚えはありません。また、子どもの頃、弁護士、裁判官、検察官、司法書士等の法律の専門家と接する機会もなく、法律というものを身近に感じることはありませんでした。
法務省のホームページによると、「法教育」とは、法律専門家ではない一般の人々が、法や司法制度、これらの基礎になっている価値を理解し、法的なものの考え方を身につけるための教育のことをいいます。
平成27年、選挙権年齢は18歳に引き下げられました。また、令和4年4月1日から、「成年」についても、現行の「20歳」から「18歳」に引き下げられます。「成年」は、例えば、単独で契約などの法律行為をすることができますが、これは、「未成年」を理由に法律行為を取消すことができなくなるというリスクを伴うことを意味します。このような昨今の法改正を踏まえても、子どもの頃に、法律を身近に感じ、また、法的な考え方を身に付けることは、教育上、また、社会生活上、極めて大切なことだと思います。
札幌弁護士会では、中学生・高校生を中心とした一般の方々を対象として、法律を身近に感じてもらうため、また、法的なものの考え方や見方を体験的に身に付けてもらうため、模擬裁判やディスカッション形式の授業などの法教育活動に取り組んでいます。法教育について関心がありましたら、札幌弁護士会、または、お近くの弁護士にご気軽にご連絡・ご相談いただければと思います。
以上