執筆:佐々木 泰平 弁護士
最初に、表題は筆者の実体験ではないということをくれぐれもご承知おきください。筆者はむしろ一番自分に向いている職業は専業主夫だと思っています。
これは半分冗談ですが、実際面倒なことはとかく後回しにしがちであり、その結果最初は大したことがなかったはずの問題が膨れ上がって手が出せなくなってしまう、という意味で至言だと思っています。日常生活含めそういった問題は色々ありますが、今回は相続登記の義務化についてお話させていただきます。というのも、実は相続登記はまさに上で述べたようなことがストレートに当てはまってしまうのです。
筆者も担当したことがありますが、数次にわたって相続手続が放置された結果、相続人が20名を超えて収拾が付かなくなるケースは意外と珍しくありません。ちなみに筆者が担当した事案は最終的に解決できたものの、「それなりの」時間と労力を要しました。
相続登記を放置したままだと最終的には所有者をたどることすらできなくなることも少なくありません。そこで、このような事態を防ぎ、または解消しようと導入されたのが今回の相続登記義務化で、ごく単純にいうと、相続により不動産を取得した相続人は、相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。令和6年4月1日から制度がスタートするのですが、過去の相続についても遡って適用されるので注意が必要です(その場合の申請期限は、令和6年4月1日から3年以内となる場合が大半と思われます)。
そして、正当な理由(相続人が多数にのぼり手続に時間を要するとか、遺産分割でもめている、申請義務を負う相続人が重病で動けない等)がないにもかかわらず申請をしなかった場合、10万円以下の過料が科されることがあります。
実は、一般的な相続登記の場合、不動産の数が多数にわたるなどの特殊なものでなければ、さほど時間もかかりませんし費用が高額になることもありません。また、既に複雑化してしまっている場合、いつまでも相続登記未了の正当理由があると認めてくれるわけではないと考えられます。
いずれの場合であっても、専門家に相談していただければ、なるべくみなさんの労力をかけないように対応してくださるかと思いますので、お気軽にご相談いただければ、と思います。
以上