執筆:吉川 賀恵 弁護士
弁護士へ相談するのは、いつがよいのでしょう。相談してみたいけれど、「まだ早い」と思うことは、ありませんか。今回は、離婚の相談を例に考えてみたいと思います。
一度結婚した夫婦が離婚するまでには、様々な決断を経ることが多いと思います。離婚するか、夫婦生活を続けるか悩むこともあるでしょう。別居して生活してみようか、同居を続けるか悩む時期もあるかもしれません。別居することは決まっているが、いつ、家を出ようか悩むこともあるかもしれません。
このような時、離婚する、別居する、いつ家を出る等、自分の方針を決めてからでないと弁護士へ相談できないと思っていませんか?
確かに、離婚するか、結婚生活を続けるかは、個人の人生の選択であり、弁護士が決定できる事柄ではないといえます。この意味で、方針を決めるのは、自分自身といえます。
しかし方針を決めようと自分だけで考えても、答えが出るものではありません。自分にとって有益な情報を収集し、状況を整理することを通じて、冷静な判断ができるようになるのです。そこで、方針を決めるためにも、弁護士への相談をおすすめします。
例えば、弁護士への相談を通じて別居期間中にどの程度の生活費を配偶者から支払ってもらえるのかが分かれば、別居への不安が解消されることもあると思います。また家を出るときに、何を準備する必要があるかが分かれば、別居するまでの準備期間がどの程度必要かが分かってくるかもしれません。離婚にあたって、親権者、養育費、財産分与、慰謝料、年金分割等の各種取り決めについて、弁護士がアドバイスすることもできます。
「弁護士は社会生活上の医師である」と言われることがあります。これは社会の紛争などに対して弁護士が法律の専門家としてアドバイスし、紛争状態を解決へ導くことを指しています。皆さんは、少しばかりの熱や咳では、安静にすれば治ると考え、医師への受診をしないかもしれません。しかし、弁護士への相談はもっと早くて良く、この意味で、「医師」と多少異なるかもしれません。思い立ったが吉日、まずは相談してみませんか。一人で考えていた時よりも、すっきりしたり、症状も改善するはずです。
以上