執筆:原 英士 弁護士
(以下、日高報知新聞に掲載されたものです。)
最近、借金の相談が増えています。法人・個人、性別、年齢を問わず、幅広く相談を受け、また、必要に応じ、債務整理(破産や民事再生手続きを含む)の依頼を受けています。借金の理由は、生活費、遊興費、ギャンブル、住宅・自動車ローンの支払い等、ある程度、類型化できますが、非常に様々で、相談者それぞれに理由があります。
弁護士が債務整理の依頼を受ける場合、原則として、依頼を受ける弁護士が自ら面談して、債務の内容、資産、収入、生活状況等の事情を聴取しなければならないことが、日本弁護士連合会の「債務整理事件処理の規律を定める規程」で定められています。この定めは、「弁護士による面談」がもっとも相談者の事情聴取に適しており、ひいては「相談者の利益」になるという考え方に基づくものと解されます。私の経験上、代理相談や電話相談よりも、ご本人と直接面談して事情を聴取する方が、借金の理由や借金が増えた経緯等を把握しやすく、また、債務整理のメリット・デメリット等の説明もしやすいので、この定めは、実際に「相談者の利益」になっていると思います。
「借金の相談のタイミング」について、例えば、借金返済のためにさらに借金をしたり、お金を借りることができなくなったのでショッピングローンで購入した物を換金したり、ヤミ金からお金を借りたりするような事態になる前に、相談することをお勧めします。また、(借金返済額の上限は、相談者の生活状況等によって異なりますので、あくまで私見ですが、)債務者の借り過ぎを防ぐため、貸金業者からの借入残高が年収の3分の1を超える場合、新たな借入れができないという「総量規制」が貸金業法で定められていること等を踏まえると、手取り月収の3分の1を超える金額を毎月の借金返済に充てている場合、すでに借金返済額の上限を超えており、自分の収入のみで約定どおり借金を返済することができない状態になっている可能性がありますので、相談することをお勧めします。
借金の悩みがありましたら、ご遠慮なくお近くの弁護士にご相談いただければと思います。