執筆:阿部 竜司 弁護士
(以下、日高報知新聞に掲載されたものです。)
「うちは仲が良いから、遺言書なんて作らなくても大丈夫」
そう思っていませんか?
相続問題は家族仲や財産の多少だけで起こるわけではありません。遺言書がないことで、実は家族に大きな負担をかけてしまうこともあります。相続が「争族」になるのを防ぐだけでなく、大切な家族への「最後の思いやり」として、遺言書作成のメリットを3つご紹介します。
【メリット1】相続手続の負担を劇的に軽くする
最大のメリットは、相続手続が格段にスムーズになることです。
遺言書がない場合、相続人全員での「遺産分割協議」と、全員の実印・印鑑証明書が揃った「遺産分割協議書」の作成が必要です。相続人が遠方にいたり、多忙であったりすると、この手続は大変な負担となります。
遺言書があれば、この協議が原則不要になり、不動産の名義変更や預金解約がスムーズに進みます。特に、手続を担う「遺言執行者」を指定しておけば、負担をさらに軽減できます。
【メリット2】あなたの「想い」を財産の分配に反映できる
法律によって相続する形をとった場合、必ずしも、ご自身の想いと一致するとは限りません。「長年連れ添った配偶者には多めに遺したい」、「事業を継ぐ子に財産を集中させたい」、「特に世話になった子に感謝を形にしたい」といった願いは、遺言書でしか実現できません。相続権のない事実婚のパートナーや、お世話になった子の配偶者へ財産を遺すことも、遺言者であれば可能です。
【メリット3】家族の絆を守る「最後の手紙」になる
財産分割の指定だけでなく、「付言事項」として家族へのメッセージを残せるのも大きな利点です。なぜそのように分けたのかという理由や、感謝の気持ちを綴ることで、残された家族も納得しやすくなります。「みんなで仲良く」という一言があるだけでも、家族の絆を守る道しるべとなるでしょう。これは、法的な効力以上に大きな意味を持つ「最後の手紙」です。
遺言書は、人生の総仕上げとして、家族へ贈る「最後のプレゼント」です。元気で判断力が確かなうちに、大切な人たちのために作成を検討してみてはいかがでしょうか。
以上