執筆:原 英士 弁護士
ある日、突然、自分や親族や知人が警察に逮捕されてしまったら、あなたはどうしますか。ほとんどの人は、これからどうなってしまうのか、いつ釈放されるのか、警察に何でも話さなければならないのか、身内に連絡できないのか等、たくさんの不安が押し寄せ、気持ちが動揺し、冷静な判断ができなくなると思います。
そのような状況をできる限り解消するための制度として、「当番弁護士制度」というものがあります。
「当番弁護士制度」とは、自分が逮捕されたとき、警察官や検察官に「当番弁護士を呼んでください」と伝えたり、また、親族や知人が逮捕されたとき、札幌弁護士会の刑事弁護センター(電話番号011-272―1010)に電話をかけて当番弁護士の申込みをすれば、弁護士会から派遣された弁護士が逮捕された人に面会に行くというものになります。
当番弁護士制度の特徴は、弁護士が1回「無料」で面会に来ることにあります。当番弁護士制度を利用するとお金がかかるのではないかと心配して、当番弁護士の要請が遅れると、その間に、検察官による勾留請求、さらに裁判所による勾留決定がなされ、釈放が遅くなってしまうこともあり得るので、当番弁護士を要請するタイミングは、逮捕後、早ければ早いほど良いと言えます。
当番弁護士は、逮捕された人に面会に行き、逮捕された人の話を聞いて、今後、どのように対応すべきか、逮捕された人にどのような権利があるのか等を具体的にアドバイスしてくれます。当番弁護士との面会は、警察官の立会いなく行うことができ、また、当番弁護士には守秘義務があるので、逮捕された人は弁護士に何でも話すことができます。
なお、自分や身内が犯罪になるようなことをしてしまい、逮捕されてしまうのではないか等と悩んだりすることもあります。このような場合、万一逮捕されてしまう前に、弁護士に相談して、弁護士から刑事手続きの説明やアドバイスを受けることをお勧めします。勿論、このような相談においても、弁護士には守秘義務がありますので、何も遠慮することなく、お近くの弁護士にご相談いただければと思います。
以上