近時は,契約期間の定めのない正社員だけではなく,契約期間を6ヶ月や1年として雇用される契約社員が増えてきています。このような契約社員としての契約期間が満了となった場合に,労働者の側から会社に引き続き雇用してくれるよう求めることはできないのでしょうか。
契約期間が満了した際に会社が労働契約の更新をしないことを雇止め(やといどめ)といいます。当初の労働契約で契約期間が定められていた場合には,契約期間の満了によって労働契約が終了するのが原則といえます。したがって,最初の契約期間の満了によって雇止めがなされた場合には,通常は,その雇止めは有効となり,労働者から契約更新を求めることはできないケースが多いといえましょう。
しかし,契約の形式が契約期間1年,などと有期の労働契約であったとしても,正社員のように期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に至っている契約といえる場合や,契約更新による反復継続の実態や契約締結時の経緯などから雇用継続への合理的期待が認められるといえる場合には,会社は雇止めをできずに労働者からの契約更新の申し込みに応じなくてはいけないこともあるのです。
たとえば,契約社員として雇用されたとしても,雇用の際に契約更新を前提とした書面が作成され,仕事の内容も正社員と違いがなく,他の契約社員も契約更新されており,自らも何度か契約更新をしてもらっていた,といった事情があれば,会社に契約更新を求めることができる場合があります。このことは,労働契約法という法律に規定されています。裁判例においても,様々な事情をもとに事案に応じた判断がなされています。
また,平成25年4月1日から施行された改正後の労働契約法においては,5年間(法律施行後の契約からカウントされます)を超えて労働契約が更新された場合には,労働者から期間の定めのない労働契約へ変更する申し込みが可能となりました。
このように,契約社員であったとしても,突然の雇止めに対して会社に契約更新を求めることができる場合がありますし,長期間契約更新された場合には期間の定めのない労働契約へ変更してもらえる場合がありますので,お困りの際には,お気軽に弁護士に相談されてみてはいかがかと思います。