執筆:伊藤 吉輝 弁護士
(以下、日高報知新聞に掲載されたものです。)
近年、「闇バイト」という言葉を新聞やニュースで目にする機会が多くなりました。「闇バイト」とは、SNSやインターネット掲示板などで「高収入」、「即日払い」、「楽な仕事」といった甘い言葉で募集されているものの、その実態は特殊詐欺や強盗などに加担させる組織的犯罪行為です。
多くの場合、募集のときに仕事内容を明かされていないか、もしくはウソの仕事内容で募集をされていますが、いざ応募してしまうと「受け子(被害者から現金やキャッシュカードを受け取る役)」や「出し子(だまし取ったキャッシュカードで現金を引き出す役)」といった犯罪の実行役を担わされます。
闇バイトは、単なる「バイト」ではなく、犯罪行為そのものです。軽い気持ちで応募してしまうと、犯罪行為に加担させられ、結果として重い刑罰が科される、多額の賠償責任を負うなどの法的リスクがあります。また、一度でも「闇バイト」に関与してしまうと、犯罪組織に氏名、住所、顔写真、家族の連絡先といった個人情報を握られてしまい、「家族に危害を加える。」、「勤務先や学校にバラす。」などと脅され、自力で抜け出すことは困難になります。
世の中に「楽して稼げる」仕事はおよそ存在しません。少しでも怪しいと感じたら、絶対に手を出さないでください。万が一、すでに「闇バイト」に関わってしまった場合は、決して一人で抱え込まず、警察や信頼できる人に相談してください。
また、「闇バイト」に手を出してしまう原因として、借金問題に悩んでいたというケースも見受けられます。
札幌弁護士会は、日高地方において、札幌弁護士会ひだか弁護士相談センターを運営しており、静内相談所、浦河相談所、様似相談所、えりも相談所、門別地区相談所を設けております(相談無料)。ご相談の際には、お電話で事前予約をしていただく必要があります(予約受付電話0146-42-8373)。また、日高地区においては、平取町でひだか・平取ちいき弁護士相談センター(電話01457-4-6113)も運営しております。借金に悩んで「闇バイト」に関与してしまう前に、ぜひ弁護士にご相談ください。