執筆:鍛冶 香織 弁護士
(以下、日高報知新聞に掲載されたものです。)
試用期間中は『お試し』だから、簡単に解雇されても仕方ないと思っていませんか。実は、試用期間であっても、一度結ばれた労働契約は法的に保護されており、会社が一方的に理由なく解雇することは許されません。
試用期間中の契約は、解約権留保付労働契約と解釈されるのが一般的です。これは、最高裁判決で示された考え方で、本採用後の解雇より広い裁量が会社に認められます。しかし、その解雇が有効となるのは、「採用時には知ることができず、また知ることが期待できなかった重大な事実が試用期間中に発見され、その労働者を雇用し続けることが客観的に見て相当でない」と認められる場合に限られます。
裁判例の傾向を見ると、判断はケースバイケースです。
即戦力として高い能力を期待され中途採用された場合、その能力が著しく不足していると判断されると、解雇が有効とされやすい傾向にあります。
一方、新卒者の試用期間は、社会人としての能力を身に付けるための教育・研修期間と見なされるため、期間全体を通じた学習能力や改善の可能性が重視され、解雇の判断はより慎重に行われる傾向があります。
労働者の能力・適正との関係では、労働者の失敗や能力不足が事業の根本的な側面を直接的かつ取り返しがつかない形で損なう場合に解雇を有効と判断する傾向にありますが、最近、危険な機械の操作で重大な事故を繰り返し、指導後も改善が見られないとして、わずか10日での解雇が有効とされたケースもありました。他方で、過去の裁判例では、営業成績が一時的に振るわないといった理由だけでは、まだ改善の可能性があるとして解雇を無効としたケースもあります。
労働者として働く場合、試用期間は評価されている期間だと意識し、真摯に業務に取り組みましょう。事業主となる場合には、解雇は慎重に判断すべきです。十分な指導や教育を行い、改善の機会を与えたか、その記録を書面で残しているかが重要になります。
試用期間をめぐるトラブルは、双方にとって大きな負担となります。もし解雇に関して疑問や不安を感じたら、一人で悩まず、お近くに相談できる弁護士がいない場合は、札幌弁護士会が運営する法律相談センターをご利用ください。

