執筆:福田 直之 弁護士
(以下、日高報知新聞に掲載されたものです。)
ACP(アドバンス・ケア・プランニング)という言葉を聞いたことはありますか?
ACPは、もしものときのために、あなたが望む医療やケアについて前もって考え、家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有する取組をいいます。
厚生労働省も「人生会議」と名付け普及啓発に努めていますが、令和4年度に実施された認知度調査でも、約7割の国民は知らないと回答しており、医師、看護師といった医療者でも約2割が知らないと回答をしているなど、その認知度、普及啓発は道半ばと感じています。我々法律家でもACPという取組を知らない人は多いのではないかと思います。
私が思うACPは、どんな医療を受けたいか、最後延命措置を望むのか、などの医療的な行為の自己決定だけではなく、「人生最後の生き様を本人中心に本人が語り、みんなで考える」ことだと思っています。
「ケア」とは、広義には、心づかいや配慮という意味もあり、本人の悩みや困りごとは、医療、介護の問題にとどまらず、死後のことも含め様々あります。ときには、その悩み、困りごとが法的、倫理的問題であって、法律家のサポートが必要になることもあり、ご本人による意思決定を支援していくには、法律家も含めた他職種が連携したケアチームで多角的な観点から、繰り返しアプローチすることがより望ましいと考えています。
そして、本人の意思を自発的に「話す」ことを促し、その意思を形あるものに「残す」、その意思をご家族、支援者、関係者に「伝える」、また、意思は、時間とともに、心身の状態、ご家族等の事情など様々な外的要因から変わることもあることから、折に触れて、「見直す」ことを繰り返す、まさに、ACPのサイクルを回すことが重要です。
このACPサイクルが医療、介護の現場だけではなく、法律家も関与しながら、広く認知されることによって、より良い人生を過ごすきっかけとなり、将来的には、在宅でも、ご家族、ご本人が気軽に取り組める日常会話の延長となる文化が形成されることを期待しています。
まずは気軽に周りの方と人生を「話す」ことから始めてみませんか。

