周波数 | 三角山放送局 76.2MHz「トークinクローゼット」内コーナー |
---|---|
放送時間 | 毎週火曜日 AM 9:15~ |
6月の月間テーマは、「インターネット上のトラブル」です。
最終回である第4週の今週は,「弁護士会の知恵袋」のエグゼクティブプロデューサーである坂口唯彦弁護士が再度出演し,最終回に華を添えます。最終回の今週は,ワンクリック詐欺,著作権法上の問題,SNS上のトラブルについて説明します。
4週間にわたってお送りする「インターネット上のトラブル」大特集。
最終回の第4週を、ぜひお聞きください。
放送日 | 2017年6月27日 |
---|---|
ゲスト | 坂口唯彦 弁護士 |
今週の放送 キーワード |
インターネット、ワンクリック詐欺,未成年者,フィルタリング、著作権、肖像権、コミュニティサイト、SNS |
―はい、今週も「札幌弁護士会の知恵袋」の時間がやって参りました。
今月はインターネット上のトラブルについて札幌弁護士会の法律相談に寄せられる皆様の質問に、弁護士がズバリ答えます。
毎週火曜日の午前9時15分から15分間、役立つ情報を週替わりのテーマで放送します。
今月のテーマは「インターネット上のトラブル」ですが、このテーマでは最終回(4回目)で、ゲストは札幌弁護士会所属の坂口唯彦(さかぐちただひこ)さんです。
坂口:どうぞよろしくお願いします。
―今日は最終回ですが、どんなお話ですか。
坂口:今日もネット上でよくある3つのトラブル、1つめはワンクリック詐欺、2つめは著作権法上の問題、3つめはSNS上を使ったコミュニティサイトでのトラブルの話をしたいと思います。
第1 ワンクリック詐欺
―分かりました。まず1つめはワンクリック詐欺の話ですね。
坂口:そうですね。
―最近もテレビや新聞に出ていましたよね。
坂口:そうですね。
こういった詐欺の被害が増えているんですよ。
最近よくあるケースとしては、自分で使っているパソコンに届いた見知らぬメールを開いたら、パソコンにあるファイルが暗号化されてしまい「暗号化を解除して欲しければお金を振り込め」という指示が表示された、そんなケースがあります。
―私のパソコンにも、たまに、見知らぬ人から請求書を装ったメールがよくきます。
坂口:私のところにもよく来ます。
―これはまず開かないに越したことはないですね。
坂口:そうですね。
最近は用意周到に、宅配業者やコンピュータの会社を装ったメールの形で送られてくることもあります。いったんメールの添付ファイルを開いたり、メール中のメッセージにあるアドレスをクリックしてしまうと、一瞬でパソコンがコントロールされてしまう。そして、こういう被害に遭ってしまうと、これは法律的に解決するのは本当に難しいんですよ。
―なぜ難しいのですか。
坂口:警察に届け出たり、裁判を起こすことができたとしても、相手の名前や住所も分からない、裁判を起こし判決が出たとしてもお金を取り戻すことができない、そんなことがいま頻繁におきています。
―どうすればよいのでしょうか
坂口:これは皆さんおわかりのことと思いますが、まず、少しでも怪しそうなメールは開かない、これに尽きると思います。
添付ファイルを開いたり、メールの中にあるアドレスにクリックしたりすることは更に危険ですね。その中にウイルスが仕組まれ、それが不正な請求に利用される場合が多いです。
また、興味本位で、アダルト系や出会い系サイトなどは不当請求の罠が潜んでいる場合も
ありますから、そういった怪しいサイトにはとにかく近づかないことも大切です。
―ウイルス対策も大事ですよね。
坂口:そうですね。
ただし、ウイルスソフトが入っていたとしても、それだけで絶対に安心とは限りません。日頃の注意も当然必要です。
―実際に被害に遭ってしまったらどうすればよいのでしょうか
坂口:警察に相談すること、弁護士に相談することが考えられます。
ただ、被害が現実に回復できるかは分かりません。だからこそ、トラブルを未然に防ぐことが大切です。
それから、要求通りのお金を支払ったとしても、データを取り戻すことができる保障は全くありません。簡単に要求に応じることももちろんいけません。
第2 著作権法上の問題
―分かりました。それでは、2つめは著作権についてのお話ですね。
坂口:田島さん、よく映画館の予告編の時間に「違法アップロードはやめましょう」という映像が流れているのをご覧になったことはないですか。
―ありますね。
坂口:あれです。あれは著作権法上の問題です。
―そうですね。あの映像の中では著作権法違反と言っていますよね。
坂口:そうです。
著作権法というのは、例えば映画や漫画、小説といった作品、これを著作物というのですが、こういった著作物の制作者の権利を保護するための法律なんです。
―この法律に違反するとどうなるのですか。
坂口:例えば、動画共有サイトで、違法だと知りながら、ソフトをダウンロードすることは、それが個人で楽しむ範囲であったとしても、2年以下の懲役、または200万円以下の罰金(またはその両方)が科されることになります。
これは刑事上の罰則ですが、それ以外に民事上の賠償責任を負わされることもあるんですよ。
―怖いですね。
映画館で無断で撮影することはもちろん駄目だと分かりますが、ソフトをダウンロードするだけでも、だめなんですね。
坂口:そうなんですよ。
―個人的に楽しむだけでもだめなのですか。
坂口:だめなんです。例えばそのことで儲けたりしていなくても駄目なんですよ。
気をつけてくださいね。
それから、著作権についていえば、例えば漫画とか小説にも当てはまりますが、たとえ一部であっても、著作権者の許可なく掲載することはやめた方がよいでしょう。
―皆さんも気をつけてくださいね
坂口:著作権法の問題は、まだまだありますよ。
最近では、SNSの自分のプロフィール欄にキャラクターや有名人の写真を使ったりする場合がありますが、これも無断でやっているとすれば著作権や肖像権上問題のある行為です。
―えーっ!これは多くの方がやってしまっているように思うのですが
坂口:そうなんです。たまたま今は問題視されていないとしても、将来削除を求められたり、民事上の請求を受けたりする可能性がありますから、控えた方がよいと思いますよ。
第3 SNS上を使ったコミュニティサイトでのトラブル
―そして、最後のお話はSNSを利用したコミュニティサイトでのトラブルですね。
坂口:そうですね。これも最近とても増えているんですよ。
警察庁の統計では、平成27年にコミュニティサイトに起因して被害に遭った児童は1700人もいるそうです。
例えば同じ趣味のファンという男性とSNS上で会話をしていた中学生が、実際に会ってみると、SNS上で名乗っていたのとは写真も年齢も全く違う人で、無理矢理車に乗せられそうになった、そんな怖いケースもあります。
―1700人ですか!すごい数ですね。
坂口:そうですね。怖いですよね。
危ないサイトには近づかないこと、ネットを介して優しく接していたとしても、それが本当の姿とは限らないことをSNSを使う側がしっかり自覚することが大事ですね。
先ほどご紹介した例などでは、親御さんがしっかりお子さんに伝えることが大事ですよね。
それから、お子さんがパソコンやスマホを使う場合、フィルタリングの設定も大事ですね。
―フィルタリングとは何ですか
坂口:インターネット上のウェブページなどを一定の基準で評価判別し、選択的に排除する機能ことを言います。お子さんがパソコンがスマホを利用される場合には、必ずフィルタリングの設定が必要だと思いますよ。
―お子さんがトラブルに巻き込まれたら大変ですものね。
坂口:そうですね。
―今月のテーマはインターネットでしたが、お話を聞いていますと、ネットって使い方に気をつけないと本当に怖いところもありますね。
坂口:そうですね。インターネットは本当に便利ですし、ネットがあることで世の中が進んだ部分もたくさんありますよね。
でも、怖いこともたくさんある。ネットを使う皆さんが全員トラブルに巻き込まれる可能性もある。
技術の進歩が早すぎて、法律の方が追いついていない部分もありますし、法律の理解が皆さんに伝わりきっていない部分もたくさんあります。
まずご自身で注意して行動されることが必要です。
―そうですね。総務省の調査では、9歳までのお子さんの約40%がすでにネットを利用しているようです。お子さんのいるご家庭の方はお子さんがトラブルに巻き込まれないよう注意が必要ですね。
坂口:そうですね、
―そして、万一何かトラブルに巻き込まれてしまったら・・・
坂口:弁護士に相談をしてみてくださいね。
―そうですね、ありがとうございました。
札幌弁護士会の知恵袋は、札幌弁護士会のホームページで過去の放送分をテキストで見ることができます。また、音声でも聞くことができます。今日の放送で聞き漏らした部分があるという方はぜひチェックしてください。
制作・著作
<エグゼクティブプロデューサー>
弁護士坂口唯彦(札幌弁護士会)
<プロデューサー>
弁護士北山祐記、弁護士髙橋健太、弁護士村本耕大(札幌弁護士会)
杉澤洋輝(三角山放送局)
<脚本>
弁護士坂口唯彦(札幌弁護士会)
<出演>
番組MC 田島美穂(三角山放送局)
ゲスト 弁護士坂口唯彦(札幌弁護士会)
<監修>
弁護士上田絵里,弁護士山田敬純,弁護士佐藤敬治(札幌弁護士会)
<初回オンエア>
平成29年6月27日