周波数 | 三角山放送局 76.2MHz「トークinクローゼット」内コーナー |
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放送時間 | 毎週火曜日 AM 9:15~ |
ようこそ、法律相談センターへ
第2、目次
(1)市民の司法参加
(2)司法委員とは?
(3)調停委員とは?
(4)裁判官の他職経験制度
(5)弁護士任官制度
放送日 | 2018年2月6日、2018年2月13日 |
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ゲスト | 野﨑真弘 弁護士 |
今週の放送 キーワード |
司法委員、調停委員、簡易裁判所、民事調停、家事調停、裁判官の他職経験制度、弁護士任官 |
―今週も「札幌弁護士会の知恵袋」の時間がやって参りました。
毎週火曜日の午前9時15分から15分間、役立つ情報を月替わりのテーマで放送します。
今日のゲストは、札幌弁護士会所属の野﨑真弘(のざきまさひろ)さんです。
よろしくお願いします。
野﨑:よろしくお願いします。
―野崎さんはご出身はどちらなんですか。
野﨑:私は、岡山の出身です。
―岡山ですか。
私も岡山なんです。
野﨑:そうなんですか。
―まさかこんなところで岡山の方にお会いできるなんて。
野﨑:珍しいですね。
―珍しいですよね。
岡山と札幌だと気候がずいぶん違いますよね。
野﨑:そうですね。
こっちのほうが大分寒いです。
―そうですよね。
まだまだ私も慣れません、この寒さ。
札幌には、来たことはあったのですか。
野﨑:そうですね。
何度かありました。
高校の修学旅行も北海道だったんですよ。
―そうなんですか。
どこに行かれたのですか。
野﨑:札幌の時計台や小樽、登別の熊牧場に行きました。
富良野のあたりも行ったと思います。
―そうなんですね。
私も修学旅行、北海道でしたよ。
野﨑:えっ、そうなんですか。
―やっぱり憧れの地みたいな感じで北海道は選ばれやすいんですかね。
懐かしい気持ちになってしまいましたが、それでは本編のほうに移っていきますね。
野﨑:はい。
第1、市民の司法参加
―本日のテーマなんですが、本日は、「市民の司法参加」というちょっと耳慣れないテーマだと伺っています。
「司法」とは、小学校高学年あたりで習った「三権分立」の中の裁判所のことでいいでしょうか?
野﨑:はい。正解です。司法というより裁判所とお話しした方がわかりやすいですよね。
その裁判所に、田島さんは行かれたことがありますか?
―見学に行ったことも、当事者として行ったこともないんですよ。
野﨑:そうなんですね。
では、裁判所にはどんな人がいると思われますか。
―裁判所の職員の方と裁判官、そして弁護士さん、あとは、裁判を戦っている当事者の方たちでしょうか。それから傍聴に来られている市民の方も多いと聞いています。
野﨑:そうですね。
他には、刑事裁判だと検察官もいますね。
他に思い当たる人はいますか。
―いや、他にはちょっと思い当たらないですね。
野﨑:実は、他にも裁判に関与している市民の方が多くいらっしゃいます。
今日は、その中でも「司法委員」と「調停委員」という方のお仕事についてお話をしようと思います。
「司法委員」と「調停委員」、お聞きになったことがありますか。
―「調停委員」の方については、家庭裁判所の離婚調停などで調整してくれる人だと聞いたことがあります。「司法委員」の方については初耳です。
「司法委員」の方はどのような役割を果たしているのですか?
第2、司法委員とは
野﨑:まず、司法委員についてお話します。
司法委員は、簡易裁判所の民事訴訟において、裁判官が和解を試みるときにその補助をしたり、審理に立ち会って、裁判官に意見を述べたりする人です。
―簡易裁判所というのは、何ですか。
野﨑:主に、民事調停や請求金額が140万円以下の民事訴訟などを行う裁判所です。
―司法委員は、裁判官とは違うのですか。
野﨑:裁判官とは違います。
最終的な判断は裁判官がするのですが、司法委員は、社会的な経験を生かして、どのような和解をすれば争いが抜本的に解決されるかなどについて裁判官に助言をしたりする非常勤の裁判所職員です。
―司法委員として選ばれるのに、特別な資格は必要なんでしょうか。
野﨑:特別な資格は必要ありません。
ただ、社会人としての良識や経験のある人の中から選ばれます。
弁護士や大学の法学部教授などが選ばれることもありますが、法律知識の有無とは関係なく、地域の事情に詳しい人や、医学知識や不動産の鑑定に関する知識を有する人なども選ばれています。
―そうなんですね。
司法委員には、どのようなことが期待されているんでしょうか。
野﨑:司法委員には、民間の方が選ばれるので、健全な市民の常識や感覚、社会常識を民事裁判に反映することが期待されています。
―なるほど、そうなんですね。
次に、調停委員とはなんでしょうか。
第3、調停委員とは
野﨑:調停委員とは、調停において、裁判官とともに、調停委員会のメンバーとなり、当事者が話合いでうまく解決できるよう仲立ちをする人です。
―「調停」と「裁判」は少し違うんでしたっけ?
野﨑:調停とは、裁判のように勝ち負けを決めるのではなく、話合いによりお互いが合意をすることで紛争の解決を図る手続きです。
調停には、民事調停と家事調停の2種類があります。
―民事調停と家事調停、これはどういう違いがあるのですか。
野﨑:民事調停は、民事に関する紛争を取り扱います。
例えば、金銭の貸し借りや物の売り買いをめぐる紛争、交通事故をめぐる紛争、アパートの賃貸借や建物の建築をめぐる紛争など多岐にわたって扱ってくれます。
家事調停は、離婚や相続など家庭内の紛争について取り扱います。
―調停委員にはどのような人がなるのでしょうか。
野﨑:調停委員は、社会生活上の豊富な経験知識や専門的な知識を持つ人の中から選ばれます。
具体的には、原則として40歳から70歳未満の人で、弁護士、医師、大学教授、公認会計士、IT専門家、不動産鑑定士、建築士などの専門家のほか、保護司、カウンセラー、消費生活アドバイザーなど、社会で広く活躍してきた人が選ばれています。
―幅広いですね。
民事調停と家事調停で立ち会う調停委員は違ったりするんですか。
野﨑:それぞれの事件の内容から適任と思われる調停委員が指定されます。
例えば、民事調停では、建築関係の事件であれば建築士などの資格を持つ人、医療関係の事件であれば、医師の資格を持つ人などが指定されます。
家事調停では、夫婦・親族間の紛争なので、男女1名ずつの構成で2名の調停委員が指定されます。
―調停委員にはどのようなことが期待されているんでしょうか。
野﨑:調停に市民の良識を反映させることが期待されています。
―なるほど。
司法委員や調停委員には、市民の感覚や民間での社会経験、知識を裁判や調停に生かすことが期待されているのですね。
野﨑:そうですね。
―裁判所が、司法委員や調停委員を選んで、外部の経験などを取り入れていることが分かりました。
同じような考え方に立って、例えば、裁判官自身が、民間で経験を積むということはあるんでしょうか。
第4、裁判官の他職経験制度
野﨑:裁判官は、原則として、司法試験合格後、弁護士、検察、裁判官になろうとする者が受ける司法修習といわれる研修を経て、その研修終了後、すぐに裁判官として任命されます。
大学生の時に司法試験に合格した人だと、22歳で裁判官になる人もいます。裁判官になるとすぐに裁判官として事件を担当していますが、アルバイト等を除いては裁判所以外の仕事をした経験がない人が殆どだと思います。
そこで、裁判官が外部経験を積む機会として、「他職経験制度」があります。
―他職経験制度とはどのような制度ですか。
野﨑:裁判官が、弁護士として法律事務所で働いたり、民間の会社で勤務したり、裁判所以外の官公庁で勤務して、外部経験を積む制度です。
―そうなんですね。裁判官の外部経験制度について知りませんでした。
弁護士会としては、裁判所に外部経験者を取り入れることについて、何か取り組みはしていないんでしょうか。
第5、弁護士任官制度
野﨑:弁護士会としては、「弁護士任官」の取り組みを推進しています。
―具体的にはどのような制度ですか。
野﨑:弁護士としての一定期間の経験を有する人が、裁判官となる制度です。任期制の非常勤裁判官と任期制ではない常勤裁判官の2つの道があります。
ただ、いわゆる裁判官の中途採用っぽい常勤裁判官になるには多くの壁があります。今の採用システムが出来てから十数年が経ちますが、志望者の少なさや採用率の低迷等の理由から、常勤裁判官はあまり増えておらず、採用者数は1年間に数名程度しかいません。
弁護士会では、この弁護士任官制度を裁判所の向上に非常に有益な制度と考えていますので、弁護士からの任官者、つまり裁判官に転身する人を増やすことは、今後の課題だと思います。
―なるほど。みんなでよりよい裁判を実現するために試行錯誤しているのですね。
今日は市民の司法参加についてお話を聞くことができました。
札幌弁護士会の知恵袋は、札幌弁護士会のホームページで過去の放送分をテキストで見ることができます。また、音声でも聞くことができます。今日の放送で聞き漏らした部分があるという方はぜひチェックしてください。
進行は田島美穂(たしま みほ)でした。
制作・著作
<エグゼクティブプロデューサー>
弁護士坂口唯彦(札幌弁護士会)
<プロデューサー>
弁護士秀嶋ゆかり,弁護士北山祐記,弁護士髙橋健太,
弁護士村本耕大(札幌弁護士会)
杉澤洋輝(三角山放送局)
<脚本>
弁護士野﨑真弘(札幌弁護士会)
<出演>
番組MC 田島美穂(三角山放送局)
ゲスト 弁護士野﨑真弘(札幌弁護士会)
<監修>
弁護士上田絵理,弁護士山田敬純,弁護士佐藤敬治(札幌弁護士会)
<初回オンエア>
平成30年2月6日